香柳園

イベント報告

私が実際に拝見した展覧会についてのレポートを掲載しています。もしご覧になっていない場合はどのようなイベントだったか分かる手助けになればと思います。また、できるだけ展覧会の会期中にレポートを書いてこのページで紹介したいと思っています。



<報告4>

「現代根付−匠の細密彫刻
(Contemporary Netsuke: Masterful Miniatures)」
Museum of Arts and Design(アート&デザイン・ミュージアム)にて
2007年1月25日(木)から6月17日(日)まで


久しぶりに米国本土で現代根付展の開催となりました。現代根付コレクターのロバート・キンゼイ氏をはじめ米国各地のコレクターが所蔵し、これまであまり公開されていなかった作品が100点以上出品されています。1月24日には両親と共にオープニングレセプションと関係者主催のホームパーティに出席し、ニューヨーク・アート界の一端を垣間見ることができました。展覧会についてはこのミュージアムの評議員を務め、デザイン界で国際的にご活躍の海老原嘉子さんがジャパンデザインネットの下記ページで詳しく紹介なさっていますので、ぜひご一読下さい。
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/NY/0704_02/4.html

2007年4月21日 駒田牧子




<報告3>

Leaflet 「根付師伊多呂の『根付彫刻展』 ・・・ポケットの中に・・・」
Tea & Gallery 花影抄(はなかげしょう)にて
2004年9月7日(火)から19日(日)まで


展示されている20点余りの作品の中で、伊多呂さんが一位一刀彫に触発されて作った数点の作品が私としては特に気に入りました。伊多呂さんは根付作家としては新人さんと言えますが、木口木版画の世界ではすでに確固たるキャリアを築いているアーティストです。いつか伊多呂さんの制作した根付と版画を同時に拝見できる機会があったら素晴らしいと思います。例えば平面の版画に描いたある題材を、立体の根付ではどう表現なさるかなんて興味津々です!(ちなみに花影抄さんのお茶も大変美味でした。)

2004年9月13日 駒田牧子




<報告2>

Leaflet 「江戸粋人の贅 煙草道具の逸品展」
平野美術館にて
2000年4月8日から6月4日まで


この4月8日から静岡県浜松市にある平野美術館にて「江戸粋人の贅 煙草道具の逸品展」が開催されています。今回の展示品は同じく静岡県にある掛川市二の丸美術館が収蔵する木下コレクションから借り入れたものだそうです。そのコレクションは、もともと故木下満男氏が収集し、後に掛川市二の丸美術館に寄贈された喫煙具、刀装具、装飾品、書画などで構成されています。

この展覧会は、そのコレクションの中でも、煙管筒や根付の付いたたばこ入れ、とんこつ、たばこ盆、煙管、喫煙具が中に描かれている日本画や浮世絵などに焦点を当てています。

それらの展示品の中で特に目を引いたものが二種類ありました。まず一つはたばこ盆です。ふつう、展覧会などで見るたばこ盆というと、漆に金が施してあって、高貴な人々が持つようなきらびやかで豪華なものを思い浮かべがちです。しかしこの展覧会では、展示されている十数点のたばこ盆のほとんどは、庶民が使用したものではないかと思われる落ち着いた渋みのある品でした。趣味のよい品々で、和室に置くには素晴らしいものではないかと思います。そして、目を引いたもう一種類の展示品はとんこつ(木製たばこ入れ)です。根付や煙管筒付きで、大きさやデザインの異なるとんこつが10セットほど並んでいました。これほど多くのとんこつを一度に見たのは初めてでしたが、見た目にもとても面白いものだと思いました。

ところで、展示室のショーケースは喫煙具のように小さいものを飾るにはいくぶん大きいように見えました。聞いたところでは、平野美術館は仏教画のコレクションを収蔵していて、ショーケースはそれらの展示に適した大きさになっているそうです。しかしながら、カラーでたばこ入れや煙管の各部名称や解説が掲示されていて、ショーケースもそれほど空間が空いていることを感じさせませんでしたし、このことは、過去数十年にわたって使用されなくなってしまった喫煙具に対して観覧者が親しみを感じられるよう、学芸員の方々が努力なさっていることを表しているように見えました。

平野美術館の学芸員のお一人からお話を聞くことができたのですが、この美術館がもっと一般に知られるようになって、より多くの人たちに見に来てほしいという願いを語ってくださいました。また、展示品が5月初旬に一部入れ替えになり、展覧会自体は今年の6月4日まで開催とのことです。

GalleryTobacco trays Tonkotsu

写真はそれぞれ左から、展示室の様子、たばこ盆、とんこつ。
チラシ 平野美術館 (c) 2000

2000年4月26日 駒田牧子




<報告1>

Leaflet 「男の装い」展
たばこと塩の博物館にて
2000年2月26日から4月9日にて


去る2月26日より4月9日まで東京・渋谷のたばこと塩の博物館にて「男の装い」と題して展覧会が開かれました。この展覧会では様々なふくろものやお守り袋、印籠、根付約150点、緒締、矢立(携帯用筆記具)、煙管筒、たばこ入れ(左下の写真参照)、マッチケースやライターなどが展示されました。展示品は館所蔵品のほか、大阪市立美術館、掛川市二の丸美術館、江戸東京博物館、そして個人コレクションから借り入れたものだそうです。

この展覧会は次の三つの点で素晴らしいと思いました。まず一つめは、懸守(「かけまもり」と読み、ショルダーバッグのようなお守り袋)やマッチケース(右下の写真参照)、そしていろいろな種類のふくろものなど、私が知る限りでは美術館や博物館ではめったに展示されないようなものを含めてバラエティに富んだ品々が展示されていて、江戸時代から現代にかけて日本で使用された男性の装飾品がうまく概観できるようになっていたことです。根付の愛好家は根付を他と切り離してそれ自体で完結したものとして捉えたり鑑賞したりしがちですが、この展覧会で示された広い視点によって、根付は独立した鑑賞品ではなく、「装飾品」の流れの中でふくろものや印籠とのアンサンブルの一部として生まれ、発展していったことを再認識しました。

二つめの点としては、3月5日、11日、19日の三回にわたって、たばこと塩の博物館の学芸員さんがギャラリートークをしたことが挙げられます。ギャラリートークとは展示品を解説して回るツアーのことで、日本ではまだあまり一般的ではないように思います。私は3月5日に参加したのですが、他にも10名ほどの参加者がいて、そのうちの数名の方々が質問するなどして学芸員さんの専門知識の恩恵を受けました。学芸員さんの解説はとてもわかりやすく、私にとっては解説を聞く方が展示室のパネルに書かれた説明よりも、展示品を親しみやすくするのに効果的だったと思います。

三つめは、ギャラリートークで学芸員さんもおっしゃっていたように、普段は展覧会などではあまり注目されることのない「緒締」がかなり多く展示してあったことです。木、金属、ガラス、サンゴなど様々な材料で作られたあれほど多くの美しい緒締を見るのはまさに圧巻でした。

終りに、この展覧会は図録が作られなかったのが残念ですが、ギャラリートークがその代役を果たしたと思います。私自身、この素晴らしい展覧会を観ることが出来て幸運だったと感じています。

Tabako-ireMatch cases

写真提供 たばこと塩の博物館
チラシ たばこと塩の博物館 (c) 2000

2000年4月10日 駒田牧子





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