カタカタカタ… 火延「だいぶ風が強くなってきたなぁ。」 シフ「黒い雲がどんどんこっちにちかづいてきますよぉ。」 火延「どっちかっつうと、この島が台風めがけて突進していると言ったほうが正しいがな。」 シフ「はやく戸締まりしないと…」 火延「まだメイが帰って来てないぞ。」 シフ「もぅ。どこいっちゃったのかしら…あの子ときどき居なくなるのよね」 シフ「探検だとかいって…危険なところにいかなきゃいいけど。」 メイ「ただいまぁ〜!はぁはぁ…雨が降りはじめたよ〜。」 火延「よ〜し、戸締まりするぞー!メイは2階を頼む。」 メイ「は〜い。」ぱたっぱたっぱたっ… シフ「玄関は…これでよし、と。」 シフ「あ〜!」 火延「どうした!」 シフ「モントルーバナナ!モントルーバナナを忘れてた!」 シフ「2、3日前見た時、そろそろ食べごろだったから。この嵐で落ちちゃう!」 火延「なんだぁ…」 シフ「なんだじゃありません!だめになっちゃう前に取りに行かなきゃ!」 |
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マタタビを越えると言われる、ねこの大好物として 知られる。 見た目はこれと言って変わった物ではないが、 中身はバナナに良く似たペースト状の果肉を持つ 事からこの名が付いたと言われる。 非常に珍しい果物で、年に一回だけ実を付ける。 |
火延「…いや、それなんだが、な…」
−−−−−−−−【回想中】−−−−−−−− 火延「なんだメイ、随分ご機嫌な………?」 メイ「えへへぇ〜…これこへぇ〜。」 火延「その実、もしかして。」 メイ「い〜ぱいなってたのお〜。ごしゅしんはまにもあげゆ〜」* ̄▽ ̄* 火延「えらい沢山あるようだが。」 メイ「でんぶとっちゃったぁ〜。おなかぽんぽん〜もぉたへれなひからぁ〜」 火延「ぜ、全部…?」 メイ「うん〜。ひゃあねぇ〜」@ ̄▽ ̄@ 火延「…と、言うことが昨日あったのだよ。」 シフ「そんなぁ!」 メイ「2階終わったよ〜」 火延「あ〜メイ?ちょっとこっち来て後ろに居なさい。」 メイ「?…なんで?」 火延「いいから。」 シフ「メ・イ・プ・ル…」 メイ「な、なに?しふぉん、なんか目がコワイよ。」 シフ「う、う…うわ〜ん!」 シフ「あたしの〜あたしのモントルーバナナぁ〜!」 火延「メイ…ごにょごにょ…」 メイ「えー?あれ…」 シフ「メイプル!う゛〜!」 メイ「ご、ごめんなさい、ごめんなさい!そんな、知らなかったから…ごめんなさい!」 シフ「あ…謝らないでよ!怒れなく…なっちゃうじゃない…」 火延「まぁまぁ、シフそんな子供みたいな…」 シフ「あたし、子供なんです!まだ14なんです!」 シフ「ほんとはこんな孤島でこんなおやじの相手してる歳じゃないんですよ!」 火延「おま、どさくさでヒドイ事言ってんな…。まぁ、そうだな…今のは謝る。まだ遊びたい盛りだもんな。」 シフ「子供扱いしないでください!」 火延「…(どっちなんだよ)」 |
シフ「…出て行きます。探さないで下さい…」 火延「戸締まりしちまったから、出られないぞ。」 シフ「……………うっうっ…」 火延「なぁシフォン?モントルーバナナってさぁ、凍らすと旨いって行ってたよなぁ。」 シフ「ごしゅじんさま、非道いです…」 火延「凍らしてからかき氷みたいにして食べるのが一番って言ってたよなぁ。」 シフ「…そんなにあたしを…惨めにして楽しいんですか…?」 火延「アレな、人間が食べてもこれと言って旨いモンじゃないんだわ。」 火延「メイに貰った分な、全部凍らせてあるんだが。」 シフ「…ほんとですか?」 火延「うむ。全部シフにやるよ。」 シフ「…ほんとにほんと…ですか?」 火延「ウソ付いてどうするんだ?」 |
シフ「…………ごしゅじんさまぁあああ〜」T▽T ぎゅうう〜 火延「お、おま、手袋したまま抱きつく…だはーーーーーーーー!!!」 ばきばきばき………… |