長期間の連用は副作用が出やすいため、注意が必要です。
内服や注射薬のステロイド薬は発作を抑える特効薬として、昔から使われてきました。特に、β2刺激薬(気管支拡張薬)の吸入だけでは治まらない重い発作に使用します。体内の副腎皮質というところで作られるステロイドホルモンに似せて作った化合物で、人や動物から取るわけではありません。
長期管理薬として喘息によくつかわれる吸入ステロイド薬とは、薬の形も種類も違います。注射薬を吸入しても、吸入ステロイド薬とはいいません。
喘息以外にも、抗炎症効果や免疫抑制効果を期待して、免疫が過剰にはたらく他の病気に,よく使われるお薬です。
ステロイドホルモンには、もともと強力な抗炎症作用があります。現在知られているアレルギー性炎症のほとんどすべての仕組みが、ステロイドで抑えることができます。喘息の元である「気管支の炎症」を抑えることで、痰がへり、気管支が拡張して呼吸が楽になると考えられています。
ただし、発作止めといっても、気管支拡張薬のように、使ってすぐに効果が現れるわけでは、ありません。効き目が現れるまでにおおよそ数時間かかります。
ステロイドホルモンは、抗炎症作用のほかにも、全身の様々な臓器に対して、幅広い効果を発揮します。内服や注射で体内に入ったステロイド薬は、血液を介して気管支だけではなく、全身に届くため、長期間、大量に使うほど、様々な副作用に注意する必要があります。
特に小児はステロイドホルモンに対して大人より敏感に反応するため少量のステロイドでも、より強い効果を発揮し、成長などにも影響を及ぼす場合がありますので、十分な注意が必要です。
ステロイド薬を飲む場合には、必ず主治医に内服する量や、いつまで飲むのか、といったことを確認して、医師・薬剤師の指示どおりに服用してください。
以下は主なステロイド薬(吸入以外)の副作用一覧です。主に長期間のみ続けたり、繰り返し注射や点滴で使用した場合に出るものです。
主な副作用
説明
備考 重い副作用
糖尿病 もともとある人は悪化しやすい 重篤な副作用のため、これらの副作用に気が付いたら、ステロイド薬の減量又は中止が必要(医師の指示が必要。自分だけの判断で減量や中止は絶対しないこと) 胃潰瘍 軽症の場合、胃炎など 骨粗しょう症 骨がもろくなる 高血圧 もともとある人は悪化しやすい 無菌性骨壊死 股関節などがもろくなる 中枢神経障害 けいれんや意識障害など 白内障 悪化すると失明の危険あり 比較的軽い副作用 多毛 毛深くなる 重篤な副作用ではない。ステロイドを減量・中止すれば症状も消えるが、必ずしもその必要はないので、医師との相談が必要。 痤瘡(ざそう) にきび 満月様顔貌 顔に脂肪がついて丸くなる 紫斑 皮下出血 食欲増進 食欲が増し、体重が増える