浪速の韋駄天
山形 十三
(1926〜1980)

 関西を代表する黥布之夢のアマ名人。健脚を生かした対局で「陸蒸気(おかじょうき)」の異名を持つ田之倉伝平を師匠に持ち、大阪の漢源門時代は真剣勝負で荒稼ぎをしていたと言われている。満州仕込みの俊足による稲妻戦法により相手を翻弄、その戦法には多くのプロも頭を悩ませたそうである。その実力からプロへの誘いも一度と無くあったが、「対局場は俺の足には狭すぎる」としてあくまでアマにこだわった。

 生来の酒好きが祟ってか若くして亡くなったが、その生き方が大阪庶民に人気を博し、彼をモデルにした映画『浪速の韋駄天』が製作され、有名な大阪新天地を山形が全力疾走するシーンは、混沌之庭の魅力を多くの人に紹介するのに大きな役割を担った。

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