聖者
羊頭
(シープヘッド)
(1912〜1949)

 戦後の裏社会で伝説となった外国人勝負師。本名はリチャード・ホーク。国籍はアメリカ。日本に渡る前は、キリスト教の新派と称して怪しげな新宗教を設立しては、信者達に高額の寄付金を要求する詐欺師として暗躍していた。戦後の混乱期には、一儲けしようと多くの外国人が日本に入国したが、その中には不正な手段で金銭を手に入れようとするいわゆる「不良外人」が多く入り込んでいた。リチャードもアメリカで詐欺行為で荒稼ぎをしたために警察にマークされ、再び派手に稼げる新天地として占領下の日本を選んだようである。しかし日本に入国して数ヶ月後に、米軍兵と新宿猛成会の構成員との喧嘩に巻き込まれ、喉の怪我によって声を失い、詐欺師として活動できなくなってしまった。

 その後は元米兵らとつるんでは荒っぽい犯罪行為で金銭を奪い、夜の新宿で毎夜酒によっては暴力事件を起こすようになっていく。その頃、上野近辺の賭場で天牢と出会い、アメリカの詐欺師時代の教祖名「シープヘッド(羊頭)」の名で真剣勝負を始め、数年後には裏社会では知らぬ者がいないほどに活躍した。

対戦中以外は常に酒で酩酊し、事ある毎に暴力を振るっているのだが、対戦になると、どういうわけか眠ったように動かなくなり、凄まじい集中力により圧倒的な勝利を収めてしまうという。その対戦中の姿は終日酒で酩酊している人間とは思えないほど神々しく、対戦者は何故か涙を流しながら裏社会から足を洗ってしまうという噂もあったほどだ。しかし裏社会で名前が売れだしてから2年ほどたった時、仲間と集団暴行した相手に逆にナイフで刺され死亡。あまりに短い活躍期間となってしまった。

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