夭折の大天才
金 嘉順
(1981〜1999)

 韓国のプロ界に当時最年少で入り、超人的な才能を示しながらも僅か18歳でこの世を去った歴史の残る天才。叔父に金支石プロを持ち、幼い頃から五岳興に慣れ親しんでいたとはいえ、特に英才教育を受けていたわけではなかった。しかし12歳で叔父と互角の腕を持ったと言われ、13歳という当時のプロ入り最年少記録で勝負の世界に身を置くことになる。プロ入りから破竹の勢いで昇段し、僅か二年でトッププロの仲間入り、その年には初めてのタイトル挑戦も果たした。

 彼の強さは、その勘の良さで、一手にかける時間は平均4秒ほど、勝ちを収めた勝負のほとんどは手持ちの時間を全く使わずに戦ったものであった。このような感性は研究や練習では身に付くものではなく、長年にわたる勝負の経験により身につけることが可能なものであり、彼のように若くしてその感性を持っていることは奇跡的なことであった。

 当然、その後の韓国混沌界を牽引していく勝負師であると誰しも期待していたのだが、プロ入り五年目、家族旅行中の彼が乗る旅客機が環結山に墜落、乗客457人と共にこの世を去ることになってしまった。現在、彼を偲んで環結山の墜落現場には「金嘉順全棋譜」が石碑に刻まれている。

戻る