無手流の始祖
右大将 源 行俊
(生没年不詳 平安中期)

 平安末期、幼くして宮中随一の才能を開花させ、黥布之夢を中心に活躍した才人。現在多くの流派が存在する無手流の始祖と考えられている。『公琴抄』に、「行俊、扇を打ち捨てて盤に向かひ(中略)駒は左右に開かれり。」とあり、その噂を聞いた時の帝が、「無手にて天地を返せり。」と言って大層驚いたという記述がある。ここから無手流の名がついたという説が最も有力されているが諸説あり、確定は難しい。行俊は病で若くして亡くなったというが、後に出家した実弟、辿源法師に無手流は受け継がれ、関西の山岳地帯を中心に流派が枝分かれしていったものと考えられている。

 行俊、及び辿源法師の棋譜は現在残されていないが、卓手派の林敏夫による文献研究の成果で、無手流の原型が再現されつつあり、今後更に無手流への注目が集まっていくと予想されている。

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