香柳園

根付彫刻

このコーナーでは根付彫刻(あるいは彫刻全般)に役立つ話題をお届けします。


柳之の根付彫刻


ここでは、彫刻家として60年以上のキャリアを持つ現代根付作家・駒田柳之が使用する道具とその使い方を主にご紹介していきます。枠の付いている作品と道具の画像はクリックすると拡大した画像を見ることが出来ます。

[駒田柳之(こまだ りゅうし)略歴]
1934年東京に生まれる。15歳で父・柳水に弟子入りし、象牙彫刻、特に女性風俗物を学び始める。12年後の1962年に独立し、その2年後に根付の研究と制作を開始する。1981年に米国ロサンゼルスにて初の個展が開かれ、1992年には東京で第二回個展が開催された。1994年より10年間、国際根付彫刻会の会長を務める。女物を得意とするが、男性や子供、動物など幅広い題材を扱っている。

1999年に第22回日本の象牙彫刻展にて根付「未の刻」が文部大臣奨励賞を受賞。長年の根付彫刻家としての成果と後進育成の功績により、2009年4月にキンゼイ国際芸術財団からゴールデンドラゴン賞を、同年7月に国際根付ソサエティからブロンズ白澤(はくたく)賞をそれぞれ授与される。


柳之の手に根付「未の刻」 柳之の手と根付「未の刻」

午後のひととき、鈴を手にした女性が足元の猫と戯れている様子を描く。
この根付は1999年の文部大臣奨励賞の受賞作品。



<柳之が使用する根付彫刻の道具>

根付彫刻は様々な工程と道具が関わっています。詳しいことは順次ご紹介していきたいと思いますが、まずは日頃使用している道具をほんの一部ですが公開したいと思います。

ガンギとノミ 左側の5本はガンギヤスリ(またはガンギリ、ハマグリ)
右側の6本はノミ

下の二つの画像は刃の部分の拡大写真
ガンギのクローズアップノミのクローズアップ



ヤスリ各種
特注の手打ちヤスリ各種(市販品に比べて切れ味が天と地ほどの差あり)


左刃の小刀各種
左刃の小刀各種(ほとんどは自作)とその持ち方


柳之の作品
柳之の作品

象牙製
高さ5.2センチ
重さ12グラム





根付彫刻教室案内



朝日カルチャーセンター新宿教室
新宿の朝日カルチャーセンターにて現代根付彫刻の講座が2000年4月に開設されました。駒田柳之と黒岩明氏が講師としてオリジナル根付制作のために必要な基本的技術を指導しています。自分も根付を彫ってみたいという方はこの機会にぜひお問い合わせください。

場所
朝日カルチャーセンター新宿教室(新宿住友ビル4階)

日時
朝のクラス:第2、第4木曜日の午前10時から正午まで
夜のクラス:第2、第4木曜日の午後6時から8時まで

費用(朝、夜、いずれか一方の費用です)
入会金5,250円(初めて受講する人)、受講料3ヶ月分6回で25,200円(回数により変わります)。
施設維持費1,575円。 教材費20,000円。
詳しくは下記カルチャーセンターまでお問い合わせ下さい。

[朝日カルチャーセンター新宿教室]
場所:163-0204東京都新宿区西新宿2−6−1新宿住友ビル内私書箱22号
電話:03−3344−1946
交通:都庁前駅(都営12号線)A6出口、西新宿駅(丸の内線)C5出口、または新宿駅(JR線、小田急線、京王線)西口より徒歩
ホームページ:
http://www.asahiculture.com/shinjuku/


<講座見学報告>

このページでお知らせしている通り、根付彫刻の講座が開催されています。講師や生徒の方々は教室でどのようなことをしているのか、そしてこの講座について関係者はどう感じたり考えたりしているのかを探るべく、2000年7月27日に教室を訪ねてみました。
image 賑やかな新宿駅から歩くこと10分、新宿住友ビルに到着、その4階に朝日カルチャーセンターがありました。このセンターは朝日新聞社が文化活動の一貫として主催し、センターは日本中で他に17ケ所もあるそうです。センター内に入ると、何百もの講座のチラシが列をなして置いてあるのに驚きました。料理、語学、コンピュータの使い方など実用的なものから、音楽、舞踊、小説の書き方など、講座の内容は実に様々です。これらは大学教授やそれぞれの分野の著名な専門家が担当し、ほとんどが趣味を追求したり、新たに何か始めようという大人を対象としているのです。
image 受付の前を通って、根付講座が行われている第7教室へ入っていきました。時計は午前11時を指し、授業が始まってから一時間が経過していました。8人の受講生全員が講師である二人の根付作家(駒田柳之と黒岩明氏)を囲み、その二人が受講生数名による根付の図案にアドバイスを与えているところでした。ちなみに、4月に講座が始まってからこの日までに、生徒の皆さんは根付の基本的な概念や日本の根付彫刻家が使用してきた小刀やヤスリの使用法の指導を受けました。生徒一人ひとりに小さく切った高級な象牙が渡され、丸いプレートを作るように指示がなされたのだそうです。それを削る過程で、生徒の皆さんは小刀やヤスリの基本的な使い方を練習したというわけです。そして自分自身でデザインした根付を彫ることになりました。(この場合、単に「彫る」というよりも「創作する」といった方が相応しいかもしれません。というのも、この講座ではすでに存在する根付のコピーを作ることは許されていないからです。)
image 生徒の方々は、自分の持ってきた図案に対するコメントや図案がどのように発展あるいは改善し得るかについての講師のアドバイスに真剣に耳を傾けていました。二人の作家はまた、自分達の経験に基づいて、図案と小さく切った材料の形をどのように結び付ければよいかという秘訣も伝授している様子でした。この話し合いは和やかな雰囲気の中、時には真剣に、また時には笑いもありといった調子で30分ほど続きました。そして講師は生徒達に各自で作業を進め始めるよう提案しました。図案を改良し始める人や木や象牙の小さな材料を彫り始める人もいれば、講師と道具について話す人もいました。それから講師はアドバイスをしたり道具や材料の適切な使用法を示すべく歩き回るのでした。講師や生徒の皆さんの意気込みや熱意が伝わってくるように思いました。
image 受講している方々の彫刻の経験は様々で、講座を通じて感じたことを、興味深く伺いました。何らかの彫刻を習っていたり、独学で彫刻をしたり、それまで全く彫ったことのない方もいます。しかし、皆さん長いことミニチュアに興味を抱いていたり、根付でないにしても何らかの美術に関わりを持っているようでした。例えば、15年に渡って仏像彫刻を習っていた方もいますが、その方曰く、根付彫刻は材料も図案も彫刻法も、仏像彫刻とは全く考え方が異なるので、これまでの経験はあまり助けにならないとのことでした。もうひとりの方は、これまで彫刻を習ったことはなかったそうですが、材料を心の中に描いた図案の形に彫っていくところが難しいと感じているようでした。別の方は、花を見ていて裏側がどうなっているのかひっくり返してみたというのです。根付は裏側も彫らなければいけないので、それらの面を見るためにひっくり返す癖がついてしまったのでしょうか。また、彫刻展などを美術館で観る時は以前より展示品を注意深く見るようになったり、どのような方法で彫刻がしてあるのか気になるようになったとのことでした。
 授業のあと、講師に話を伺いました。
−このコースのコンセプトや目標はなんですか?
柳之「参加者が基本的な彫刻を習得して、オリジナルの根付を創作することです。」
−回転工具の使い方も教える予定ですか?その場合、手工具とのバランスはどうなりますか?
柳之「はい、回転工具でしか出せない効果もいくつか発見したり開発したので、将来的には使用法を教えるつもりです。でも、小刀やヤスリといった道具は根付彫刻の基本なので、生徒はそれらをマスターしないといけないし、回転工具は補助的な道具と考えるべきだと思っています。」
−講師として二人でどのようにチームを組んでいるのですか?
柳之「授業の前に大まかな計画をして、一緒に準備をすることもあれば、別々にすることもあります。二人の知識や専門が重なる部分もあればそうでない部分もあるので、作家ひとりよりも広い分野をカバーできるんです。」
明「二人の先生がいるというのは生徒にとって良いことだと思います。二つ以上の見方を知ることができるし、二つの意見を聞けば何が自分にとって一番良いか考えるでしょうしね。」
−講座や生徒さんたちについてはどう思いますか?
柳之「生徒の皆さんは学ぶ熱意がすごくあるし、こちらも、初心者でも経験者でも教えたいことは沢山あるし、二週間に一度、二時間の授業では時間が足らないと感じています。実際、予定の時間を過ぎてしまうこともあります。皆さんそれぞれ個性があって、一生懸命なので、作品が仕上がるのをこちらも楽しみにしているんです。」
 この根付コースのセンター側の担当者にも話を伺いました。その方によると、朝日カルチャーセンターではここ数年、日本文化に関わりのある講座が増えているのだそうで、根付も茶道や三味線などと並んでその一つに挙げられるのです。このような工芸のクラスは定員が20名から30名で、根付講座は2000年7月現在8名しか受講生がいないのですが、根付が美術形態として日本人全般にもっと知られるようになれば、参加者も増えるのではないかと考えているそうです。
 終りに、私が教室で感じたあの熱心な雰囲気はこの根付コースの成功を予感させるものでした。参加者の皆さんは素晴らしい根付を仕上げられることでしょう。そして、入会は毎月初めに受け付けているとのことなので、根付彫刻に興味のある人はこれまでに彫刻の経験があってもなくても、ぜひこの機会を利用すべきだと思いました。

2000年7月27日

駒田牧子


<追記>

2000年9月 鋼の棒から小刀の刃を作る方法を学んでいるそうです。

2000年11月 新たにお二人の方々が入会なさったそうです!

2000年12月 生徒の皆さんは各自の根付を完成させるべく奮闘中とのことです。

2002年10月 生徒さんの数も当初に比べて倍以上に増えました。

2007年1月 ここ数年で生徒数は20〜30名にまで増え、それぞれにオリジナリティ溢れる作品を制作なさっています。



コミュニティクラブたまがわ
東京・世田谷区の玉川高島屋S・C内のコミュニティクラブたまがわにて2003年10月18日より「現代根付彫刻入門」コースが開設されました。駒田柳之の指導のもと、道具の使い方から学び、作品を仕上げていきます。ぜひお問い合わせください。

場所
コミュニティクラブたまがわ(玉川高島屋S・CガーデンアイランドB1)

日時
第1、第3土曜日の午前10:15から昼12:45まで

費用
年会費(2年間有効)5,250円、受講料6ヶ月分(10回で42,000円)、
教材費(道具代含む)15,750円(全て消費税5%込み)。
お申し込み・お問い合わせはコミュニティクラブたまがわ事務局まで。
[コミュニティクラブたまがわ事務局]
電話:03-3709-2222
ファクス:03-3700-4338
場所:二子玉川駅近く(東急田園都市線または大井町線)
ホームページ:
http://www.cctamagawa.co.jp



根付の材料や道具が手に入るお店



<木の材料を売っているお店>

Wood & DIY Shop もくもく

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写真左:店の外観、右:店内の様子

 木彫をする方にとってはこのお店が提供する木の種類やサービスにわくわくしてしまうでしょう。「この店には世界中から集めた100種類以上の木が置いてあります。できるだけたくさんの種類を集めたいと思っているんです。」と社長の井関和郎氏も述べています。このお店は木の種類が豊富なだけでなく、大きさや形の違うピースも販売しています。いくつかの棚には小さく切ってある木が積み上げられていて、見たところでは値段は数百円から千円、二千円のものがありました。大きい材料を見て、それを好みの大きさに切ってもらうこともできます。値段は品質、大きさ、重さ、その他の条件によって異なります。
 もくもくでは、日本国内であれば電話での注文や発送にも応じていますが、購入前に実際に材料を見ることを勧めています。もくもくの「木の愛好会」会員になると、木工素材売場の商品が5%引きになったり、セールのお知らせの郵便が届くなどのメリットがあります。
 社長の井関氏は長年にわたって木材の卸売業を営み、大きさや量に関わらず誰でも木の材料が入手できるようこの小売店を10年ほど前に開いたそうです。店の名前は皆さんに親しんでもらえるように付けたとのことです(私としては木がもくもくと溢れ出るような印象を受けました)。井関氏とその息子で専務の政太氏は木に関する広い知識をお客さんたちに惜しみなく提供しています。お二人は時折お店にいらっしゃるので、運が良ければ会ってお話を聞くこともできるかもしれませんよ。もくもくは新木場(地下鉄で銀座から20分ぐらいで着きます)にありますので、木彫をなさる方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。


[Wood & DIY Shop もくもく]
場所:東京都江東区新木場1−4−7
交通:新木場駅(JR京葉線、地下鉄有楽町線、臨界副都心線)より徒歩約5分
電話:03-3522-0069
ファクス:03-3522-0084
営業時間:午前10:00〜午後6:00(工房加工は午後5:00まで)
年末年始を除いて年中無休
ホームページ:
http://www.mokumoku.co.jp




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