今年こそ幌尻をやろうよ、連れてって!とせがまれれば“よしよし”と好顔をくずす羽田さん。登山暦40年の羽田武さんの地元山岳会では、いま二人の女性が燃えていた。百名山アト5〜6山に迫る平居秀子さんとそれに続く山崎きぬ子さん。
もう一人地元では、日頃マラソンで鍛えている中島邦男さん。私はと言えば、密かに“今に見ていろ僕だって”と憧れもあるが、今年古希を迎えたので早い内に難関は済ませたい。
一昨年は台風でダメ、昨年も不通ケ所が生じて今年は3回目の正直なのだ。ついでに秀子さんは雌阿寒岳、羅臼岳、斜里岳に登れば北海道の山は全て終了となるので今回それもこなす。
私は4連チャンで大丈夫かなあと足をいぶかりながら引きずられる。羽田さんは最短コースの「額平川遡行コース」を選んで下さった。
6:40羽田空港より飛行機に乗る。8:30頃千歳よりレンタカーが出発。約2時間後の10:30頃R237沿いの平取町振内に着くと沿道に「幌尻岳登山口へ」の看板あり。
それより約1時間脇道を行き11:30駐車場に駐車、弱雨の中歩行開始。12:00林道ゲートをくぐり約2時間歩き14:00北海道電力取水施設に着き道は終る。
この山は奥が深く、昔はアプローチに数日を要し簡単に登れる山ではなかった。ここで地下タビにワラジ姿の渡渉態勢を整えて、今夜泊まる避難小屋幌尻山荘まで約2時間、額平川遡行に入る。
右に左に20回ほど渡渉を繰返し両岸沿いに踏跡を辿る。深い所は股下まで水流があり、しっかり踏ん張らないと流される。ザイルを通して一人づつ渡る所も数ケ所あり。登山中増水あれば逗留を強いられる。そうして16:40幌尻山荘に着いた。
翌朝4:10小雨の中手ぶら同然で小屋をでる。額平川を外れ、いきなり急斜面のジグザグ登りとなる。トドマツの多い鬱蒼とした森の中高度を上げる。
5:05から20分間木の下で朝食を摂る。飽きるほどのターンを繰返し6:00太いダケカンバ帯の平坦な尾根上に登り着く。この間見かけた花はツマトリソウ、ミツバオーレン、ミヤマハンショウズル、イワブクロ、イソツツジ、カラマツなど。
6:15水場命ノ水を通過。ハイマツ帯と変り視界が少し開けたが小雨で回りの様子がよく判らない。半時計回りに進んでおり、左手は北カールの縁を辿っているようだ。チングルマ、エゾウサギギク、ツガザクラ類、エゾノキンバイ、イワウメ、エゾツツジなど高山植物が多くなる。
雪渓を幾つか登り8:10幌尻岳の山頂2052mに着いたが視界は殆どない。麓から大きく見えるこの山をアイヌ人達がポロ・シリ(大きい・山)と呼んだ。
8:20下山開始、9:40命ノ水、10:50避難小屋帰着。昼食を摂り荷物を詰め替えて再び2時間の渡渉、2時間の歩行の後16:10駐車場に戻った。本日は12時間も歩いたのだ。振内へ戻り民宿「長沼」へ入る。これが大変なレトロ調でオドロイタ。
●視界ゼロなれどわれポロ・シリにあり