アメリカン・サイコ 上・下 / 角川文庫

これは一体なにっ。思わずそう唸ってしまう作品ですな。

タイトル通りサイコ・サスペンスな作品ですが、これは小説なのだろうか?
そもそもストーリーらしきものがない。なにも意味のないことがずらずらと書かれているだけ。最近の若者はそういう意味のない会話をしているのですよ、という風刺なのだろうか?
それにしてもひどすぎるぞ。もう読むのではなく見ているだけでも途中で嫌になった。上下二冊そんな調子で進んでいくので呆れるほかはないです。この本二冊ともしっかりと「読めた」方は尊敬に値します、本当に・・

そんな意味のない言葉の羅列の中で急に凄まじい殺戮の場面が描写されていて、この場面だけ妙に生々しい。まさか、この効果を出すために意味のない文を並べたのか・・

この殺戮の場面は綾辻行人「殺人鬼」、我孫子武丸「殺戮に至る病」、南英男「切断魔」等の一連の作品よりも凄まじいかもしれない。もう考えつくかぎりの事を試しているようです。この主人公の狂気は半端ではないですね、ウン。
それでは、「殺人鬼」のような作品が好きな方にお薦めかというとお薦めしません。
「殺人鬼」をはじめきちんとストーリーがあり一つの作品としてまとまっているのですが、これにはない。
いくらスプラッター好きな方でもそれ以外の膨大なページを「見る」のは苦痛以外の何者でもないでしょう。話のタネにお金と時間に余裕のある方が覚悟を決めて読んでみるにはいいかもしれませんが、普通の方にはちょっとこの内容ではねぇ。

こういう作品を出して(出せる?)しまうことも凄いが、それを買って「見て」しまう私も私だな。(笑)








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