翡翠の城 建築探偵桜井京介の事件簿 / 講談社ノベルス

建築探偵桜井京介シリーズ第三弾。とはいえ私はこの作品から読んだので「建築探偵」とはなんぞやと思ったのですが、要は大学の研究室で建築関係の勉強をしているということだったんですね。そして古い建築物を調べているうちに事件に巻き込まれるというパターンのようです。それにしてもこの「建築探偵」というネーミングは凄い。そのうちに事件がらみで何かを建ててしまうのかもしれない。(笑)
日光オグラホテルと金精峠の先、片品村に建つ碧水閣を舞台に物語は展開。しかし何故か印象薄いなぁ。登場してくる人物も妙な人物が多いのだがあまり頭に残らない。唯一、探偵桜井京介の師である神代教授が印象に残った程度・・・。この教授の魅力で読ませたという感が否めない。途中から登場する刑事もこの作品の雰囲気には合っていないと思うし、物語も淡々と進み盛り上がりに欠けるなぁ。もっとも私が派手なミステリーばかり読みすぎて感覚が変ってしまったのかもしれないが・・・。
「建築」と「館」という言葉から綾辻行人氏の「館シリーズ」を思い浮かべてしまったのもいけなかった。雰囲気こそ違え謎の建築物に関わる事件だとばかり思っていたのだが、実は・・・。確かに「碧水閣」は妙な建物であった。しかし、しかし、不満が残る。どこがというのではなく、なにかこう漠然とした不満か・・・。
著者があとがきに書いていますが今回はかなり建築というものにこだわったようで、建築史に関する話が作品中にかなり登場します。こういった専門知識は興味があればいいのですが、そうでないと読むのが苦痛になったりするので痛し痒しといったところですか。
しかし、まあ、読後感も悪くないので他のタイトルも読んでみようとは思います。それによって篠田さんへの評価ががらっと変ったりするかもしれませんね。(笑)








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