ペルシャ猫の謎 1999年5月5日第1刷
有栖川有栖 講談社ノベルス 780円 ISBN4-06-182071-0

国名シリーズ第五弾の短編集。
火村助教授物は長編よりも短編の方が私の好みなので、このシリーズはお気に入りです。しかし、どうしたことか今回は変な物語が多いぞ・・

「切り裂きジャックを待ちながら」
法月綸太郎「パズル崩壊」の雑感でも書いた関西エリアのみ放送された推理ドラマの脚本、有栖川版。
今回収録された短編の中では一番まともな作品ではないかと思う。

「わらう月」
いつもの有栖視点ではなく、他の登場人物から見た視点が新鮮な短編。
しかし、こんなにも細かいことにこだわる犯人があんな重大なことに気がつかないのは疑問。だって私でさえ知っているもの。まあ有栖川氏にしてはちょっと意外な「月」のエピソードが面白かったからいいか。

「暗号を撒く男」
殺人事件よりも残された暗号解きに焦点があてられた短編。
いかにも暗号好きの有栖川氏らしいが、今回の暗号はちょっと変だ。

「赤い帽子」
火村・有栖コンビが登場しない短編。それもそのはず大阪府警の社内誌に連載された作品。 ガチガチの捜査物で驚きはないけれど、よくまとまっています。
でも有栖川作品としては不満が残るなぁ。

「悲劇的」
これはミステリーではなくて火村助教授の日常風景かな。
読む人によっていろいろと捉えられるのではないか、と思う。

「ペルシャ猫の謎」
これはなんとも・・ 私はこういったことを否定はしないけれども、それをミステリーの謎解きの中でやられるのは嫌だなぁ。まっ私も猫好きで猫を飼っているので許しましょう。だって、猫の描写が素晴らしくかわいいんだもの・・(笑)

「猫と雨と助教授と」
おまけ収録の一編。火村助教授の一面を描いた短いエッセイかな。
ここにも猫が登場、微笑ましいです。

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