どんどん橋、落ちた 1999年10月9日第1刷
綾辻行人 講談社 1700円 ISBN4-06-209903-9

実に久しぶりにハードカバー本を購入しました。
綾辻さんの「新作読みたい病」の限界まできてますね。(笑)

この「どんどん橋、落ちた」は五話からなる短編集でいつもは気に入ったタイトルから読んでしまうんですが、今回は「並べられた順番どおりにお読みください」と注意書きがあったので真面目に一話から読み始めました。
読んでみると確かにこれは順番どおりでなければだめですね。特に一話と二話。

まず、その一話目「どんどん橋、落ちた」
登場人物が「ポゥ」や「エラリィ」等でまるで「十角館」を思い出します。まさか同じ手はつかわんよな、と注意深く読んでいったのですが、見事に騙されました。十角館かと思ったら黒猫館だった、という感じですかな。普通の人はまず騙されるでしょう、これは・・・

「ぼうぼう森、燃えた」
「どんどん橋」と対、というより二つ合わせて一つの中編といった方がいいかも・・
とにかくこちらは間違っても「どんどん橋」より先に読まないこと。「どんどん橋」のネタバレはもとより、こちらを後に読まないと詰まらないと思う。
こちらも登場人物は「ポゥ」「エラリィ」等々。そう何度も同じ手に引っかかるかと意気込んだのだが最後にはしっかり騙されていた。(笑)
作中の綾辻さん同様惜しいところまでいったんですが・・・(負け惜しみ)
それにしても、この二作に登場する「悩める自由業者リンタロー」というのがなんとも・・・頑張ってください法月さん。

「フェラーリは見ていた」
これはまあ前二作に比べると普通のミステリーかな。
最後が皮肉な結末になっていて、それがまたいいですな。この部分がないとちょっと詰まらなかったかもしれません。

「伊園家の崩壊」
タイトルと登場人物から解るように、これは国民的漫画「サザエさん」のパロディーですな。
井坂先生の依頼で伊園家の事件解明に向かった綾辻さんは・・・
おなじみ伊園(イゾノ)・福田(フクダ)一家に盛介(モリスケ)一家、中島田(ナカジマダ)くんも登場して、いやぁ面白い。
時が流れても育也(イクヤ)ちゃんは相変わらず「バブー」と「ハーイ」しか言わないし・・・
綾辻さんも相当「サザエさん」が好きなんでしょうね。
とはいえ、かなりブラックなので、そういうのが許せないない人は読まないようにしましょう。

「意外な犯人」
テレビドラマ用に書いたストーリーを小説化したものだそうです。
「どんどん橋」「ぼうぼう森」のU君が再び登場してなかなか面白かったんですが、これは早々に犯人が解ってしまったんですよ。
だって如何にも綾辻さんが考えそうなことなんだもの。

どの短編も面白く買って損のない一冊です。
でも、やはり早く「館シリーズ」の新作が読みたいというのが本音かな。

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