ドッペルゲンガー宮 1999年7月5日第一刷
霧舎 巧 講談社ノベルス 1100円 ISBN4-06-182083-4

現在、私が一番お気に入りの作家がこのミステリーの著者・霧舎巧氏。既にあと二冊刊行されているのに近辺の書店には置いてない・・。またまた、インターネットで注文だなぁ。送料かかるけれど、そのぶん早く読めるもので・・

さて、サブタイトルが「《あかずの扉》研究会 流氷館へ」というこのミステリー。島田荘司氏の名作「斜め屋敷の犯罪」と同じ名称の流氷館、まさしくこのタイトル通り館(やかた)物の一冊です。
そして、カケルとユイの青春ストーリーともいえますね。この二人、初々しくてものすごく応援したくなります。他のまわりを固める研究会のメンバーも各々個性的で、なおかつ魅力的。作者の思惑通りか、私は一発で探偵・鳴海雄一郎のファンになってしまいました。このキャラクター達の勢いだけでもシリーズ化して相当いけるんではないかと思ってしまう。雰囲気としては、初期の赤川次郎氏「三毛猫ホームズ」シリーズに似ていると感じましたがいかがでしょう。

このミステリーの魅力はたくさんあるけれどその一つ、二人の名探偵の関係。こういった設定だとお互い意識して張り合ったりするのが常だと思うのに、お互いがお互いを信頼しあっている。またメンバーの安否を気遣うある人物の台詞にも「こいつらってみんないい奴じゃん」とグッときました。
さてメインである流氷館のトリックもさすが島田荘司氏推薦だけのことはある。こういうトリックは大好きであります。

実は読み始める前「ドッペルゲンガー宮」というタイトルから、あることを想像してしまい、これってネタバレにならないのかと杞憂していたのですが、何のことはない始めからその場所を探すのが謎の一つなのでした。

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