Jの神話 1998年2月5日第一刷
乾くるみ 講談社ノベルス 900円 ISBN4-06-182005-2

冒頭部分から、これは全寮制の女子高が舞台のサイコミステリーか、と思い読み進んでいくと・・
んっ医療ミステリーなのかな・・
読了後、茫然・・

とにかく本格物とは一線を画する大怪作です。
怪作といっても読みにくいわけではなく、読み始めるとぐいぐい引き込みラストまで一気にいく勢いはある。へたな蘊蓄天こ盛りのミステリーや、やたらに難しい言葉ばかり使い読むのが苦痛なミステリーなんかよりはるかにいい。とはいえ面白いかと聞かれれば、面白いのは間違いないんだけど私好みの作品ではないなぁ。
たぶん後味の悪さがそう思わせるのだと思うけど、まるでホラー映画のようなラストシーンである。後味の悪さで強烈に印象に残っている赤川次郎氏の「マリオネットの罠」とはまた違う嫌なラストですな。どろどろとしたストーリーなんだから最後くらいは爽やかに終わってほしかった。
古臭いと言われようが、やはり探偵が最後にスパッと事件を解決して大団円で終わる、というようなストーリーが好きである。とはいえ、もともとそういう本格ミステリーではないのだから仕方ない。

いっそのこと探偵など登場させずに女子寮内だけを舞台にしてヒロインが謎を追いかけるホラー小説にしてしまった方がすっきりしたかも・・

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