予告された殺人の記録 1991年9月5日第1刷発行
高原伸安 講談社ノベルス 720円 ISBN4-06-181577-6

表紙裏の「著者のことば」でクリスティーの「アクロイド殺人事件」を超えるのが目標、とあったので期待していたのですが、まだまだ超えたとは言えないように思います。

舞台はアメリカ。これは、事件やトリックが日本ではまだ不自然にみえるかもしれない、という配慮からだと思うな。なにしろ様々な種類の銃が登場し、主人公の「私」も銃の腕前は一流という設定。とはいえハードボイルド小説とは違う。「私」はフィリップ・マーロウを気取っているようではありますが・・・

そして、この「私」が理屈っぽくて、重箱の隅をほじくるタイプで身近にいたら本当に嫌な奴なんですな。その「私」の鼻に付く会話が延々と中盤まで続くので読むのが苦痛でした。ほとんど斜めに飛ばし読み。
中盤にようやく事件が起こるのですが、この事件自体もあまり魅力的とは言えず、これ以降も例の会話が延々と続き、思い出したように事件の話がでてくるのみ。

まあ、トリック自体が冒頭の会話から想像されてしまうし、そうなると何でもありの世界なので・・・
そして密かに期待していたもう一つのトリック。こちらも実は20年近く前、辻真先氏のミステリーで同様のトリックを体験してしまっていたので驚きが無く残念・・・
「ミステリー最後の放れ業」とあったので期待していたのにぃ。
まあ確かに大異色作であることは間違いないでしょうね。

BACK