ここで一番重要なのは、ダイアルアップルータの内線機能です。
内線機能というのは、ルータのアナログポート(電話機をつなぐためのポート。通常は2つ以上ある)間で、NTT経由で電話を掛けたのと同様に通話が出来る機能のことです。
現状で、内線電話機能を持っていることが確認できているのは以下のダイアルアップルータです。
これは要するに、ルータにNTTの交換機の真似事を、WindowsNT/2000 or Macintoshにプロバイダの真似事をさせてやろうということです。
そのための仕組みを、WindowsNT/2000とMac OS 9(確か8.5でも大丈夫だったと思いますが、未確認)は持っています。WindowsではRASサーバ、MacintoshではApple Remote Accessという機能です。
これらの機能により、内線電話経由で掛かってきたDreamcastからのPPP接続に対して、PC/Mac自体とPC/Macが繋がっているEtherネットワーク(とその先にあるフレッツISDN回線)を使わせてあげることができます。
コントロールパネルの「リモートアクセス」を開きます。
"リモートアクセス"メニューの"電話応対の設定..."を選び、"かかってきた電話に応対"をチェックします。"利用範囲"は"ネットワーク全体"にします。
"PPPサーバ設定"で、"PPP接続することをTCP/IPクライアントに許可"をチェックし、"省略時のクライアントIPアドレス"は、ネットワークで空いているアドレスを適当に振ります。ルータの設定を購入時から変えていなければ、"192.168.0.x"のxに1〜255までの適当な数字を振ってください。
"クライアントに自分のIPアドレスの使用を許可"もチェックしておいてください。
"リモートアクセス"メニューの"モデム"で接続されているアナログモデム用の設定をします。
"リモートアクセス"メニューの"利用者/状況"で、新規のユーザを登録します。
まずはポップアップメニュー"ID"でユーザ名とパスワードを入力します。
この時、今までDreamcast側で使っていたユーザとパスワードを使うと、Dreamcast側で設定を変えるのはプロバイダ電話番号とプライマリDNSサーバだけになるので楽ちんです。
次に、ポップアップメニュー"リモートアクセス"で、"このコンピュータに電話をかけて接続することを利用者に許可する"をチェックします。
以上でMacintoshの設定は終了です。再起動も特に必要ありません。
まず、DreamPassport3を起動してください。
ネットワークには接続せず、表示されたメニューから"プロバイダを確認する"を選びます。
プロバイダにユーザプロバイダを選択し、続いてその設定画面に移ります。
"ユーザプロバイダアクセスポイント"の電話番号に、ダイアルアップルータの内線番号を入れます。
MN-128 SOHO SL11の場合は「*0」です。
他のルータをお使いの方は、そのルータのマニュアルを参照してください。
ログインIDとパスワードは、WinNT/2000,Mac側で設定したものにします。
今まで使っていたログインIDとパスワードをWinNT/2000,Macに設定した場合は、ここを変更する必要がなくなります。
続いて、プライマリDNSの設定に、現在使用中のダイアルアップルータのIPアドレスを入力します。
出荷時の設定で使っている(特になにか設定した覚えがない)場合は、"192.168.0.1"になると思います。きちんと設定をした人はその値を入力してください。
もしかするとここは「自動設定」でも大丈夫かもしれません。
その他の情報は全て今まで通りにしておいてください。
以上で全ての設定が完了です。
全ての機器の接続を確認して、DreamPassportでホームにジャンプしてみてください。
DC上でどのゲームがどのポートを使用しているかはネットワークアナライザでも使ってみない限りは判りませんから、思い切ってパケットフィルタリングをしない、という手段も考えられますが、その場合はルータ経由で自分のネットワーク上のマシンがクラッキングされる可能性が非常に高くなることを覚悟しなければいけません。註8
BBAを使用した場合にも同じ問題は発生するはずなので、BBAを使う時に問題をどうやって回避しているのかは調べてみる価値がありそうです。これは今後の宿題にしておきます。BBAユーザの方の情報提供は大歓迎です。
なお、ルータの設定に付いては、私は詳しくないので質問されても答えることが出来ません(ここの記述を見れば、詳しい人には私がきちんと理解しないまま書いていることは一目瞭然でしょう)。
註2:Windows95/98/MeがRASサーバ機能を持っているかどうかはきちんと調べていません。いいかげんに調べた限りではダイアルアップサーバ機能を使えば出来そうな気がしますが、この件に付いて私に質問しても私は一般的なWindowsの環境と知識を持っていないので答えることは出来ません。Windows95/98/Meユーザの自助努力を期待します。
註3:PC UNIXとLinuxでもこれと似たようなことが出来るでしょうが、設定の仕方が分からないので特に言及はしていません。この件に付いて私に質問するくらいなら、自分で何とかしてください。UNIX使いなら。
註4:理論的にはダイアルアップルータではなくTA接続(TAにはアナログポート間の内線通話機能があることが前提)でも同じようなことが可能に思えますが、試していないのでなんとも言えません。
註5:MN-128 SOHO SL11を使ってこの設定をした場合、フレッツISDNで前提になっている64K接続では、ISDNの回線自体は一つ余っていますが、Dreamcastでネット接続中に掛かってきた電話を取ることが出来ません。
なぜならば、アナログポートの数が足りないからです。ポート1はPC/Macが使っていますし、ポート2はDreamcastが使っています。電話機をつないでいるポート3は口が別になっていますが、実はポート2と同じなので、ポート2使用中には使えません。
アナログポートがちゃんと全部別々になっている、RT50iなどではこの問題は発生しません。
註6:「ルータのパケットフィルタリング」という言葉自体が耳慣れない人は、ゲームが上手く動かなかったら諦めるのが無難です。
註7:ここの「●MN128シリーズのNAT設定補足 2000.10.11@-148」という記事に、MN-128シリーズのパケットフィルタリング設定があります。
私は三種類あるうちの一番セキュリティが低いと思われる一番下を取り敢えず設定してありますが、これでまともに動くかどうかの検証は行なっていません。
註8:この一文の意味が分からない人は、もしゲームが上手く動かない場合はこの接続方法を諦めた方が無難です。
註9:私はADSLやCATV接続及び専用線接続には詳しくありませんが、ADSLモデムやケーブルモデムが内線通話機能を持っているとはあまり思えないので、この方法は応用できないと思います。
世の中にはこの内線機能のみを実現した機械も存在するようですが、需要が少ないので高価なようです。ダイアルアップルータをISDN回線に接続せずに、内線機能だけを使えるかどうかは試していないので判りません。
私はこの文書に関して生じたいかなる障害に対しての保証を行ないません。全ては読んだ方の自己責任でお願いします。