1998年2月28日(土)18:30
武蔵野市民文化会館小ホール
ウィリアム・バード 《5声のミサ曲》 Mass for five voices ドイツ・ルネサンス宗教曲集 〜ハスラー・レヒナー・ヌキウス・プレトリウス〜 ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル 《大空に輝く星と》(二重唱)Tanti strali al sen 《主は言われた》 Dixit Dominus 他 ソプラノ 椋本浩子 アルト 穴澤ゆう子 ヴァイオリン 高田あずみ 竹嶋祐子 小池吾郎 秋葉美佳 ヴィオラ 諸岡涼子 上田美佐子 チェロ 諸岡範澄 ヴィオローネ 櫻井 茂 チェンバロ 水永牧子 オルガン 能登伊津子 合唱 スコラ・カントールム 指揮 野中 裕
3ヵ月ぶりにして98年初のコンサートはアマチュア合唱団の演奏会。 といっても上のメンバーを見てもわかるとおり豪華キャストでこれはもう BCJのサテライトチームともいえる。団員は合唱歴の長い大学 生・社会人を中心に、プロの合唱団員も参加しているそうです。 90年結成でルネサンス・バロック期の無伴奏宗教曲を中心レパートリとして 活動。これまでの演奏会では知られざる作曲家、曲の発掘も行われている。【関連リンク】今回は3部構成になっており、まずバードの5声。第3声は男声が担当 (S9+A5+T7+B6)。出だしが恐る恐るだったものの進むにつれ和音が安定。 (バードのミサってキリエの和音がピタっと決まるか決まらないかで その後のリラックス度に大きな影響を及ぼすよな〜、^^;)。 第2部のドイツ・ルネサンス宗教曲集。全曲私の知らない曲でしたが、 結構演奏難易度の高い曲だったのでは。和音が保たれているものの バードに比べると音楽の流れにスムースさがいまひとつなかったように思いました。
この日のメインイベントはやはり第3部のヘンデルでしょう。 《大空に輝く星と》でソプラノとアルトの2重唱。 ソプラノの椋本浩子さんはプロとして各種演奏会でソリストを務めながら 団員としても参加されているそうで、天に広がっていくような声が印象的。 しかし表現力と存在感ではBCJのアルト、穴澤ゆう子さんに一日の長があるように 思いました。決してソプラノと張り合うのではなく、ソプラノを包み込むような 余裕の歌い方が両者に相乗効果をもたらし、質の高い音楽が生み出されたことが 結果的にアルトの存在をアピールしているといった感じでしょうか。 最近のBCJはアルト・ソロはほとんどCTが担当するので、穴澤さんがソリストを 務める機会はあまりないのですが、ぜひまたどこかで彼女のソロを聴いてみたいと 思います。 《主は言われた》は女声ソロ、合唱、弦楽器群の合奏。 BCJ器楽陣の演奏を聴くのは超久々だったんだけど、正確な演奏はやはり安心して 聴けます。しかしここで一番目立っていたのは指揮の野中氏かも(^^;)。パワフル な中にも繊細な表現でソロ、合唱、器楽を誘導し、奏者のパフォーマンスを十分に 引き出しているようでした。
合唱は人数の関係かアルトがやや弱い感じでしたが、男声陣の安定した響きも あって全体としてすばらしい演奏だったと思います。1年半前、蔵の街で 聴いた時と比較しても格段の進歩があり、今秋の蔵の街でアマチュア団体にも かかわらず招待公演を持つというのも納得できるところです。 それにしても、音楽学の先生のバックアップもあり、BCJのメンバーと一緒に 練習したり演奏会を持ったりできるという環境はそうそうありません。 アルトを中心に若干名団員募集中とのことなので、東京方面の方はトライしてみては。