参考文献・・・?

 シナリオのヒントになるような小ネタ集として、こんな本は如何でしょう?

 まずはオーソドックスに、中国の神仙思想関連の文献から。
 お勧めなのは『聊斎志異』(りょうさいしい)、『捜神記』(そうじんき)『列仙伝』(れっせんでん)の三冊です。

 『聊斎志異』『捜神記』は、実際にあった不思議な話をまとめたとされる物で、妖怪、幽霊、神様、仙人などの仕業(かもしれない出来事)に出くわした人々のショートショート・ストーリーが多数おさめられています。一話一話がコンパクトにまとまっており、余計な後日談などがないため、小ネタとして非常に使いやすいでしょう。
 事実、最近のものから古典的なものまで、いわゆる「中国物」の小説やマンガには、これらにヒントを得たと思われる作品が結構見受けられます。
 ただ、これらの小話には、インドの神話が形を変えて混入しているものもあります。「中国」にこだわりたい人は、そこに少し気をつけて読んだ方がいいかも知れません。・・・換骨奪胎されてますから、黙ってれば分からない可能性の方が高いですけど(笑)

 一方の『列仙伝』は、その名の通り様々な仙人を紹介している本です。有名所としては老子、東方朔辺りが紹介されていますが、一般にはほとんど馴染みのない仙人の方がほとんどです。そのため、そのまま借用しても新鮮さを与えられるのではないでしょうか。
 「こんな仙人がいてこんな神異を行った」と云った記述で統一されていますので、内容の検索が比較的容易です。どんな容姿が仙人らしいのか、どんな事をすると仙人と認められるのか等々、ネタ集としてなら、様々な角度から何度も利用できるはずです。
 央華的解釈で読んでみるのもまた一興。例えば、何度も死んでも生き返ったという仙人がいますが、彼について専門書の考察では、「死なない事が仙人の条件であるのに死んでいる事から、彼は未熟な仙人であったのかも知れない」となっています・・・さて?

 因みに、老荘思想は純粋な哲学ですので、いくら老子が太上老君として神格化されているとは言っても、この場合はあまり参考にならないと思います。

 一方、古典テキストではなく現代の本を当たるのも一手です。
 こちらでしたら『中国の神話・伝説』(東方書店、伊藤清司著)がお勧めです。平易な文章で、「怪物退治」「異界訪問」など、カテゴリー別に別れていて読みやすい一冊です。
 また、意外に見落とせないのが「世界むかし話集」。子供向けと侮る事勿れ、これが意外と使えます。中国の昔話に限らず、各国(特に中部から東北アジア)の不思議な話は、ひねり様によってはそのままシナリオの柱となる事もありますよ。

 ちなみに、SNEから出ている央華の小説は、私はほとんど参考にしていません。「央華」という世界のルールを確認するために参考にしているくらいです。
 エンターテイメントとして読むには面白いかも知れませんけど・・・ネタ探しとして読むには、少なからずイメージが限定されてしまう恐れがあると思いますので。
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