狸力(りりき)

狸力

●獣有り、其の状は豚の如くして距有り、其の音は狗が吠えるが如し。其の名は狸力。見すれば則ち其の縣に土功多し。【南次二経】


 南山の[木巨]山にいる獣。一説には狸刀(りとう)とも。
 ブタ(特に子ブタ)のような姿で、鶏のような蹴爪を持っており、犬が吠えるような声で鳴くとされています。

 この獣は土木工事の前兆と信じられてきました。普段は山奥に潜んでいて、姿を見せない狸力が里に降りて来て姿を見せるのは、その地方に大規模な土木工事が起きる前触れとされていたのです。
 昔、特に古代の土木工事は一般庶民を徴発、使役して行っていました。このため、庶民にとっては土木工事は自然災害に匹敵する、生活が損なわれる一大事でした。

 民衆にとって、狸力があらわれる事は不吉な前兆であったと言えます。

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