大阪市 K邸
やわらかな木の触り心地は、新建材とはまったく違う温かさです。
暮らすうちに次第に艶があがり、潤った透明感が出てきます。
普段のお手入れは水ぶきで十分です。


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    [Painting wooden floor]
■ 製作工程

木地 今回は吉野産のヒノキの無節材。なんとも上品な、うっとりするほど美しい材です。

漆の調整 材の種類やその日の天候、何回目の拭漆なのかなど、条件にあわせて漆の調子を取ります。


拭漆(1)
配る
ヘラを使い、大きな動作で漆を配っていきます。まだ軟らかい材の表面にキズをつけないよう、注意しながら手際よく。

拭漆(1)
拭き延ばす
ムラのないよう素早く、でも筋が残らないよう丁寧に。拭き取るのではなく「拭き延ばす」。
漆が硬化をはじめる前に拭き上げなければなりません。暑い時期は時間との勝負。

拭漆(1)
溝拭き
ジョイント部分に溜まった漆を丁寧に拭き取ります。
(しかし、ここにもちゃんと漆を塗っておくことが大切です。木は生き物。将来、木が動いた時に白木のままの部分が見えてはかっこ悪いですから)

拭漆(1)
硬化
漆が固まるのを静かに待ちます。(待つのも大切な仕事のうち!)
上の写真の材の約3時間後の様子です。硬化にしたがい漆の色は驚くほど変わっていきます。

拭漆(1)
硬化後
しっかりと漆を吸い込み、良い色にあがっています。
しかしまだ表面は木肌そのままの手触り。艶もありません。
12:46p.m. (ガラス越自然光)

拭漆(2)
配る
拭き延ばす
溝拭き
1回目同様、ヘラで漆を配り、布で拭き延ばしていきます。

拭漆(2)
硬化後
塗面がしまった感じがしてきます。やや艶も出てきました。
09:55a.m. (ガラス越自然光 / 撮影条件が毎回違うので正確な比較にはなりませんが、雰囲気だけでもお伝えいたしたく)

研磨 漆を吸い込んで表面が硬化すると、木の繊維がけば立ってきます。これをごく軽くはつるようにして落とします。

拭漆(3)
配る
最後の拭漆、一層慎重に漆を配ります。

拭漆(3)
拭き延ばす
溝拭き
最後は表面に漆をやや残す気持ちで拭いていきます。 漆を硬めに調整するため拭き延ばしにくく、力が要ります。 けれど拭き残しやムラは厳禁。細心の注意が必要な作業です。

拭漆(3)
塗布直後
まだ塗面が濡れた感じです。
19:20p.m. (蛍光灯)

拭漆(3)
硬化後
屋外で撮影。さらりとした上品な半艶に、木目がなんとも美しく浮き上がって見えます。
11:30a.m. (屋外自然光)


研磨 ごくごく軽く、表面をなでるように研磨します。ホコリが取れて一段と滑らかな手触りになります。

拭き上げ 乾いた布でしっかり拭き上げ、研ぎ粉を拭き取れば完成です。
この後しっかり梱包していよいよ納品となります(いつもちょっと寂しい・・・)