直接口に入れるものにこそ
漆を選んでいただきたいと願い、
漆だけで塗りあげております。


>> 製作工程を見る
    [Making of chopsticks]


■ 製作工程

木地

先丸め 一本ずつ先端を丸めます。意外と全体の印象に影響するので、気を遣います。同時に木地に反りがないかチェック。

塗ったお箸を立てる台、こんな道具も自分で工夫します。これは1枚に約20膳立てられる計算。
数の多い仕事の時は、最初に手順をきっちり作っておくと後の作業が断然スムーズです。

根元を削り、台に立ててしっかり固定できるようにします。

塗り(1) 堅牢に仕上げたいので、下塗から贅沢に上塗用の漆(塗面の堅牢さ、美しさに優れる)を使用します。 朱に仕上げるものも、下塗は安定した黒漆で。

杉のムロの中に入れて、硬化を待ちます

研ぎ(1) 漆はただ塗り重ねるだけではありません。良い塗りの影(下)には良い研ぎがあります。
一番手間と時間がかかる工程、でも一番疎かにはできない工程。



塗り(2) 塗りと研ぎを繰り返すことで、徐々に塗面が滑らかになり、漆面に特有のふっくらとした感じがでてきます。
(塗りだけを重ねてもこうはいかず、やはり研ぎが重要)

左:塗り 1回目
     ↓
中:研ぎ 1回目
     ↓
右:塗り 2回目

ホコリを嫌う漆。塗る前には漆を和紙で漉し、ごみを取り除きます
塗っている最中にホコリが乗ってしまったら、鳥の羽の軸の先を尖らせたものでそっと取り除きます

研ぎ(2) 左より
黒:塗り 2回目
     ↓
黒:研ぎ 2回目

朱:塗り 2回目
     ↓
朱:研ぎ 2回目

朱は、硬化すると彩度が落ち着きます。 (硬化することで漆の褐色が強くなり、相対的に顔料の発色が抑えられるため)
良い色になりました。

塗り(3)

研ぎ(3)
研ぎ 3回目
(画像では見えにくいですけど、2回目と3回目ではなめらかさが全く違うんですよ)

No image 塗り(4) 漆は天然の樹液。
同じ種類の漆でも、その粘度、硬化速度、レべリング速度、等々、一本一本全て異なる個性を持っています。
同じ木からとれた全く同じ漆であっても、温度や湿度などの塗る日の天候条件によって、また振る舞いは異なります。 色漆なら発色すらも異なります。
刷毛先からその違いを感じ、その全てを考慮し、最適な塗りができるように・・・(なりたい)
上塗は気合一発。真剣勝負の塗りです。(ゆえ写真なし)



[先]
研ぎ
先端のすべり止め加工をする部分だけ研ぎます。研ぐことで表面が粗くなり、次の漆がしっかりと喰いつきます。
(ここからは仕上がり面に手を触れないよう、手袋着用)



[先]
地塗
いじ粉蒔き
薄く漆を塗り、その上からいじ粉(いじこ)を蒔きます。
いじ粉(京都での呼称)は乾漆粉(かんしつふん)ともいい、いったん硬化させた漆を粉末状に挽いたもの。 漆ですから、食べてしまってももちろん害はありません。
先にメッシュのついた粉筒にいれ、中指の先で軽くはじきながら薄く蒔いていきます。

蒔く前にふるいでふるい、いじ粒の番手を揃えておきます

[先]
いじ粉固め
いじ粉を蒔いた地塗が固まったら、その上からさらに漆を塗り、粉が取れないよう固めます。
漆は強く美しい塗料であるとともに、接着剤としての効果も持つ、すばらしい素材。

左:地塗・いじ粉蒔き
     ↓
右:いじ粉固め

[天]
カット
細工ノコで長さを切り揃えます。

たくさんできます

[天]
面取り
角を取ることでここから割れが入るのを防ぐことができます。
お箸って、洗って逆さに立てられることが多いので、天の角から割れが入りやすいんです。

[天]
木地固め
こぐちに生漆を吸わせます。
木が漆をしっかり吸って、硬くしまります。もちろん防水効果も。

[天]
地塗
いじ粉蒔き
漆を塗り、いじ粉を蒔きます。
いじ粉が姿のアクセントになり、しかも丈夫になります。


[天]
いじ粉固め(1)
上から漆を塗り、いじ粉を固めます。

[天]
研ぎ
いじ粉のざらつきを軽くハツリます。

[天]
いじ粉固め(2)
滑らかにするため、さらにもう一回漆を重ねます。

左:固め 1回目
     ↓
中:研ぎ
     ↓
右:固め 2回目


絵入れ 仕上げに柄をあしらい、完成です。

型紙を使った柄入れは素朴でやさしい雰囲気で、普段のお箸にぴったりです。
筆描きは、きりっとフォーマルな雰囲気。
さらに蒔絵の技法で金粉や銀粉をあしらえば、より豪華な仕上がりになります。

日々の暮らしにお役立ていただけることを願っております。