battle20(11月第2週)
 
[取り上げた本] 
  
1 「赤い額縁」           倉坂鬼一郎                    (幻冬舎) 
2 「闇色のソプラノ」        北森鴻                      (立風書房) 
3 「司法戦争」           中嶋博行                     (講談社) 
4 「鬼流殺生祭」          貫井徳郎                     (講談社) 
5 「悪魔のひじの家」        ディクスン・カー                 (新樹社) 
6 「人狼城の恐怖 第1部〜第4部」 二階堂黎人                    (講談社)
 
 
Goo「不景気でも、やっぱ年末進行はくるもんなんですねえ」
Boo「来なけりゃ困るわよ。生活かかってんだから」
Goo「だけど、その一方でギャラは下がってるでしょ」
Boo「そうなのよねえ。こんなに忙しくしてんのに、食べるだけで精いっぱいってカンジ」
Goo「働けど働けどわが暮らし楽にならざるじっと手を見る」
Boo「んなコトやってるヒマがあったら、仕事やれっつーの!」
Goo「稼ぐに追いつく貧乏なし?」
Boo「とっくに追い抜かれて必死で追いかけてるってのが実感だわね……あークサクサしてきた! とっとウサ
  晴らし始めましょ」
Goo「ウサ晴らしって、ayaさんあのね〜」
Boo「1冊目は、と。ふむ「赤い額縁」ね。「カリブ諸島の手がかり」の翻訳者さんによる長篇だわね」
Goo「ぼくにとってはむしろ、古風な怪談の(どちらかといえばマイナーな)作家という印象の作者さんですね。
  ともかくホラーと本格ミステリの融合をめざした異色作だそうで」
Boo「私もね〜、綾辻氏と千街氏の大仰な賛辞付きの帯が、購入の第一動機だし。ま、信じた私がバカだった、と。
  とりあえずアラスジいって」
Goo「えっと、これも説明しにくいなあ。要するに、それを読んだものは悲惨な死を遂げるか失踪する、という奇
  書「The red frame」を中心に幾つかのストーリィが並行して語られるスタイルなんですよね。これをネタ本
  にゲームブックを書こうとする作家は、奇妙な現象・幻視に襲われて徐々に精神の平衡を崩し、翻訳を引き受
  けた翻訳家の回りでは奇怪な「死」が連続する。また一方、街では残虐な少女誘拐連続殺人が発生する、と。
  やがて物語は交じり合い、重なり合いながら、幻想と現実の境界は徐々に崩れ去っていく……」
Boo「ふむ。どうも解説しにくい内容なんだけど、基本的にはホラーと考えるべきなんでしょうねぇ」
Goo「でも、ミステリとしての仕掛けも悪くないんじゃないですか? 暗号、アナグラム、叙述トリック、作中作
  等々よく考えられたネタ(ま、小ネタではあるけど)が豊富に用意されているし、名探偵だって出てくる」
Boo「でもさあ、本格! と思い込んで読みはじめたら、やっぱがっかりするんじゃないの? まあ問題は、推薦
  者である先生方が帯でいってるように「本格ホラーにして本格ミステリ」足りえたかという点なんだけど、こ
  れは残念ながら少々疑問符つきよね。ホラーとして楽しもうとすると過剰なミステリ的仕掛けが邪魔臭いし、
  かといってミステリとしてはどうにも物足りない。というか座りが悪いというか」
Goo「「ミステリとして」なんて型に嵌まった教条的な読み方は止せばいいのに」
Boo「そうはいってもねえ。なんというか、舌足らずなくせに妙に過剰な、どうにも収まりが悪いアンバランスさ
  がノドにゴツゴツ引っ掛かるのよ」
Goo「ぼくは嫌いじゃないですよ。その、どこか決定的にバランスを崩した「ビョーキ」な部分に、妙に魅かれて
  しまうんですよ。もしかするとそこが洗練されれば売れるのかもしれないけど、一方でそうなったらつまらな
  い、という気もしてるんですね。ともかく問題作ですし、意欲作です。こういった試みはもっともっと行われ
  てしかるべきものだと思いますね」
Boo「でもね。やっぱ万人にお勧めする、とはいい難いわ」
Goo「では、そろそろ次に行きましょう。次は「闇色のソプラノ」です。鮎川賞出身の北森さんの新作長篇ですね」
Boo「北森さん、ね。この人は、時代ミステリ、メディカルサスペンス、コンゲームもの、記述トリックものと、
  1作ごとに分野を変えてくる作家さんだわね」
Goo「で、今回は何かっていうと……う〜ん、なんとも不思議な雰囲気の心理サスペンスってところでしょうか」
Boo「ふむ。ヘレン・マクロイ……いやマーガレット・ミラーにちょっと似ているかな」
Goo「なるほど、ミラーね。たしかに似ているかも!」
Boo「いいからアラスジいきなさい」
Goo「はいはい。大学生のヒロインが卒論のために、ある夭折した女流詩人を調べはじめる。詩人が残した詩句と
  その遺児にまつわる謎を追ううち、同じくその詩人に興味を持った末期癌患者が殺される。動機らしい動機が
  見つからないまま、さらに調査を進めるうち、ヒロインは全ての謎が、自殺したとされていた詩人の死の真相
  に繋がっていることに気付く。……って感じなんですが、でもアラスジを追ってみても、この作品の魅力はほ
  とんど伝わらないような気がしますね」
Boo「そうね〜。まあともかく謎めいた人物が次々登場し不可解な事件が次々と発生する、と。信じられないよう
  な偶然や怪談めいたエピソードもどっさり発生する、と。んで、そのくせ事件の輪郭もどうにもあやふやでつ
  かみ所が無い、と」
Goo「語り手である探偵役が何人もいて、視点がころころ変わるのもこの不安感を加速するし、読んでいてなんと
  も心もとないというか。謎はさみだれ式に出現し、またさみだれ式に解かれていくのですが、中心部は最後の
  最後まで見えてこないんですよね」
Boo「濃霧のなかを手探りで歩いているような不安さ、心もとなさが、読みどころなのかしらね」
Goo「この隠微な不安感みたいなものは、心理サスペンスというより上出来のホラーに近い感じですね。まあ、こ
  のあたりからミラーを連想したりするわけですが。ただし、最後の最後に明かされる真相はかなり意外でした」
Boo「その意外さってのはたぶん、そこに至る過程がやたらと曲がりくねっていたからそう感じるだけだと思うわ。
  実際、それだけとりだせばさほど衝撃的というほどのネタじゃないもん」
Goo「……それにしても評価が難しい作品ですよね〜」
Boo「バランスは悪いし、洗練されてないし」
Goo「でも、そのバランスの悪さが、この独特の隠微な恐怖感を作りだしているような気配もあるわけで。1歩間
  違ったらたいへんな傑作になっていたような気もするんですよ」
Boo「意欲作ではあるかもしれないけど、基本的には失敗作よ」
Goo「んー、そうなんですが「可能性」というものを感じさせる作品じゃありませんか? 作者はこれまでいろん
  な傾向の作品を書いて自分のスタイルを捜していたような気配があるのですが、「この」方向でもっと書いて
  みたらいいのではないでしょうか。つまり、もっと読みたいという気にさせてくれる1作だった、と」
Boo「そうねえ、まあもう1作くらいは様子見するかな。んじゃ、次」
Goo「ちょっと……いや、だいぶ前の作品なんですがけっこう話題になりましたよね、この「司法戦争」は」
Boo「しほーせんそー? なあんで君はそんな昔の引っ張り出してくるかな〜!」
Goo「まあまあ、そうおっしゃらず。なんせこの作品は、乱歩賞を受賞したデビュー作以来独自のリーガルサスペン
  スを書き続けている中嶋さんにとって、質量ともに最大の作品ですからね。ちょっとばかし敬意を表しておい
  ても損はないでしょう」
Boo「損とか得とかそうゆう次元の問題ではないでしょーがっ」
Goo「だからそれはコトバのアヤちゅうもんで」
Boo「ayaがなんだってェ〜」
Goo「カラミますねえ。飲み過ぎですよ。んもー、アラスジ行きますよ! 最高裁判所の裁判官が殺されるという異
  常事態のなか、最高裁に出向中の検察官であるヒロインは、検察庁の以降を受け、ひそかに司法の砦たる最高裁
  判所の内部を調べ始める。一方、事件をきっかけに検察・弁護士会・最高裁の3者による司法の主導権争いが激
  化。熾烈な情報戦と謀略が展開される。幾多の妨害に合いながら、やがてヒロインは国益さえも左右する訴訟事
  件に行き着く。その影にはアメリカ政府の意を受けたアメリカの大手法律事務所の陰謀がちらつき、事件は国際
  的な広がりを見せはじめる。しかし、それさえも実は事件の真相を覆う謎の一部でしかなかった。日本の司法制
  度そのものを激変させる「秘密」とは、何か。孤立無援のヒロインはこの巨大な謎に敢然と挑戦していく……ゼ
  イゼイ」
Boo「なんだかなあ。大作であることは否定しないけどさ、ミステリ的な興趣が乏しいっつーか」
Goo「でも、この作品は既にミステリっつー枠を超えてるでしょう。ポリティカルフィクション風のスケールの大き
  さ・広がり、テーマの現代性、盛り込まれた情報量の豊かさは、いずれを取っても間然とするところのないでき
  だと思います」
Boo「あたしゃてっきり「本格ミステリ時評」をやってるもんだと思ってたんだけどねえ。ま、いいわ。それにして
  もね、作者はいささか風呂敷を広げすぎて、魅力的なエピソードや設定が十分に活かされず大味になってる気が
  するんだわ」
Goo「う〜ん。でも、これなら許容範囲だと思うけどなあ。ともかくこの大作を描ききった作者の力量は大したもん
  じゃないかなあ。エンタテイメントしてはもちろん本年の収穫の一つといっていいのでは」
Boo「さて、それはどうかな。今年はライバルも多いし、上位入選にはいささか物足りない気がする」
Goo「文春の方なら、ベスト10入りも夢じゃないのでは」
Boo「う〜ん、そうね〜。ま、結果は見てのお楽しみね。じゃ、次」
Goo「古いもん続きで申し訳ありません。次は貫井さんの「鬼流殺生祭」です」
Boo「やれやれ。これは夏頃出たんだったかしらね。もう忘れちゃったわよ。内容なんか。まあこの作者自身につい
  ては、地味だけど誠実な書き手という印象があって、私はけっこう買ってるのよ。新本格の作家の中では、もっ
  とも安定した実力の持ち主の一人といえるんじゃないかしら」
Goo「なんでも「長年温めてきた本格への思いを全開放した」とかいう、作者にとっては重要な位置づけの作品らし
  いんですけど」
Boo「あ、あれね。思い出した! くっくっくっ。ぬぁ〜にが「本格への思いを全開放」よ! はっきりいって、こ
  の作品にはその「思い」ってやつが決定的に不足しているのよね!」
Goo「そ、そうかな。まあとりあえずアラスジいかせてくださいよ」
Boo「ふっ。好きにすれば!」
Goo「……え〜舞台は御一新なった明治、ならぬ明詞時代。文明開化の風に真っ向から逆らうような因習に満ちた元
  武家の屋敷で、一族に伝わる呪いが実現されたような奇怪な殺人が相次いで発生する。元公家の放蕩息子である
  主人公(ワトソン役ですね)は、博学多才な友人(こちらがホームズ役)が止めるのも聞かず、単身、謎解きに
  挑戦する……」
Boo「近親婚を繰り返し呪われた血を連綿と伝える閉鎖的な旧家の一族。奇怪な宗教儀式。呪いの伝説。武家屋敷。
  そして犯人の消失。舞台といい道具立てといい、横溝作品を思わせるようなオールドファッションさが、マニア
  心をくすぐる……のではあるけど。実際に読み終えてみると、これが、ち〜っとも面白くないのよねッ!」
Goo「ひでぶ! でもでも、本格としては怠りなく伏線を張ってあるし、構成もよく考えられているんじゃないです
  か? こう、端正な仕上がりっていうか」
Boo「笑止! 笑止! ぬあーにが端正よ。端正っていうより淡泊! 淡泊すぎるマツタケの味お吸い物ってーとこ
  ろよねッ」
Goo「そ、その心は?」
Boo「つまりね、派手な道具立てを使っている割には、そこに作者の情熱というか遊び心というか、「けれん心」み
  たいなもんが全く感じられないのよ。実態のない香りだけって感じで。まーったくさあ、「思いを全開放」したっ
  ていうより「ご注文通りきっちり仕上げてみました」風のビジネスライクさすら感じちゃうわけよ」
Goo「む〜」
Boo「まあ、私はたまたま、あの面妖な宗教儀式が出てきた時点で「ネタ」の見当がついてしまった、というのも一
  因かもしれないんだけどさ。そうでなくともこの醒めた肌触りはやはり問題よねッ。それに京極の亜流めいた名
  探偵もてんで薄っぺらだし、その他のキャラも総じて陳腐で安直なステレオタイプばかり。明治の雰囲気描写も
  てんで薄口で「あの時代」の肌触りなんて少しも感じられない。はっきりいってまあったく取り柄がないわね〜」
Goo「きっつゥ〜。そこまでヒドイ作品とは思いませんけどねえ。いちおうの水準は満たしているんじゃないですか」
Boo「ぜ〜ったいダメ! 「本格への愛」がない作品は、カタチだけ整っててもダメなの! そんなもんは本格とは
  認めん!」
Goo「うへえ」
Boo「だれかのマネしてんじゃない!」
Goo「やれやれ、もう勘弁してくださいよォ。ホラホラ、今度はディクスン・カーの幻の作品ですよ! 「悪魔のひじ
  の家」!」
Boo「むむ。でもこれもねえ……」
Goo「はは、期待しすぎたんでしょ」
Boo「だあってさあ、この作品はほーんと長いこと邦訳が待たれていた作品だからねえ。いわく巨匠・カーの最晩年を
  飾る「最後の輝き」とかなんとか。期待するなって言われてもしちゃうわよ」
Goo「ふふ。まあ、ともかくアラスジからいきますね。さて、「悪魔のひじ」と呼ばれる人里はなれた奇妙な形の岬に
  立つ館では、最近になって幽霊が出没するという噂が立ち始めた。亡くなった当主の意地の悪い遺言に振り回され
  て、一族は混乱し動揺する。やがて密閉された部屋で新たな当主が撃たれる……現れては消える幽霊、そして姿な
  き殺人者と密室。カー全盛期を思わせる趣向が盛り込まれ、伏線の張り具合も申し分ない。むろん名探偵、ギデオ
  ン・フェル博士も登場し、全盛期と変わらぬ颯爽たる活躍ぶりを見せてくれますね」
Boo「そうそう、そうなのよ。あの懐かしい豊潤な香りがたっぷりで、ファンには楽しみの多い一編といえるんだけど、
  でもねえ。それはあくまで最晩年の衰えぶりからすると「上出来」というレベルであって、カーの作品群のなかで
  は「中の下」あたりの出来というところでしょうねえ」
Goo「ぼくは、フェル博士に再会できただけで、十分堪能できましたよ」
Boo「いいわよねー、あんたは。気楽で」
Goo「まあ、確かにね。やたらエキセントリックで誇張の多いキャラクターの言動や動きの少ない前半の展開は、「古
  典」になじみのない読者には少々辛いかもしれません。初心者の方は、とりあえずカーの傑作群を読破してから挑
  戦された方がよろしいでしょうね」
Boo「そういういことかしらねえ……」
Goo「さて、と」
Boo「世界最長! の本格推理小説!」
Goo「ですね。今回の目玉です」
Boo「さーハリキって参りましょう! れっつごーアラスジ!」
Goo「やれやれ。ええ〜、フランスとドイツの国境である深い峡谷を挟んで対峙する2つの古城、銀狼城と青狼城。この
  城は外観も構造も鏡に写したようにまったく同じで、いうなれば2つで1つの双子の城であった。歴史の闇に埋もれ、
  その所在すら明らかでなかったこの城の1つ・銀狼城に招かれた旅行者一行が次々殺されていく。首なし死体に密室、
  消える犯人、隠し通路に甲冑に身を固めた奇怪な殺人者。んもー「それもん」の世界の小道具のオンパレードで、い
  きなり死者は二ケタに達する。と、ここまでが第一部」
Boo「はっきりいってこの第一部では、謎解きの類いはいっさいありませーん」
Goo「引き続き第二部では、青狼城でもまた、第一部の事件をそのままなぞるように、ウリ2つの連続殺人が発生する。し
  かも2つの城は一切交流がなく連絡も取れないから、第一部の事件の存在を第二部の登場人物はまだ知らないわけで、
  その意味では1部2部はどちらを先に読んでもオッケーでしょうねえ」
Boo「ともかくどうなってんのーひー助けてー状態で第2部も終了。謎解きはもちろんなし!」
Goo「で、いよいよ第3部で、ようやく「名探偵・二階堂蘭子が登場します。といっても、謎解きはまだまだで、これはつ
  まり探偵篇ちゅうより捜査篇なんですよね。フランスに渡った蘭子たち一行は、たいへんな幸運に恵まれて2つの人狼
  城で起こった大量殺人事件の記録を入手。事件の検討はするものの謎解きはまだまだ手つかずで、「人狼城」の所在ど
  ころか、実在するかどうかさえ確認できずに五里霧中。謎解きが始まるのは第4部ということになります」
Boo「まあ、第4部では1冊丸々を費やして謎解きしてくれるわけだから、一応のバランスは整っているわよね。で、その
  謎解きなんだけど」
Goo「読み終えて思ったのは、まあたしかに「このネタ」では、あの長さは必要だったかもしれないなあと。いうなればあ
  の長さそのものがトリックの一部というか。ぼく的にはぜんぜんオッケーです」
Boo「なるほどなるほど。でもさあ、はっきりいってそれほどの「ネタ」=トリックかい? 核心になっているこのトリッ
  クは……たしかに大仕掛けではあるけど……かなり大味なシロモノだよ。そもそも「これ」を思いつくことそのものは、
  さほど難しくないと思うのよ。ただ、普通の作家ならあまりにも子供じみてるしバカバカしいしで、思いつくそばから
  破棄してしまうんじゃないか……」
Goo「でもね、ぼくは思うんです。そーゆう普通の作家がバカバカしいといって捨ててしまうようなネタに徹底的にこだわっ
  て、こうして巨大な作品に仕上げてしまう、このある種の常軌を逸した「稚気」というのは、本格ミステリの作家にとっ
  てとても大切なものなんじゃないかなーって」
Boo「なるほどね。それは確かにその通りだわ。さっき触れた貫井さんと、いわば対局にあるわけよね。おっそろしく不器
  用で武骨でヘタクソだけど、二階堂さんが「本格」と「トリック」に賭ける情熱と愛だけは疑いようもない」
Goo「でしょ? 実際、ぼくは意外なほど好感をもって、爽やかに読み終えられましたよ。しこたま詰め込まれたカーばり
  の密室トリック・消失トリックも、子供じみてるとはいえ愉しくて仕方がなかったし」
Boo「そうね、いろんな意味でゴージャスな本格ミステリ大作であることは間違いない。そして、そこに注がれた愛情の深
  さも、もちろん疑いようが無いわ」
Goo「この人は、だからもうこれでいいんじゃないかなあ。ヘタに巧く書こうなんて思わずに、ひたすら「この道」を突き
  進んでいけば」
Boo「そうねえ……まー欲をいえばもう少しだけ、文章が巧くなってくれないかなあ」
Goo「ふふ。ま、その点についてはあんまり期待せずに読みつづけたいと思います」
Boo「そういうことになるかな〜」
 
#98年11月某日/某お多幸にて
 
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