battle6(3月第4週)
【春だから!SPECIAL 第2部】
 
Zoo「れはれすね、京極さんと森さんろ、それぞれの最新作について熱く語り合いましょー」
Boo「いいわよ、ギッタギタにしてやる」
Goo「あの〜すいません。僕、京極さんの方の最新刊、読んでません」
Boo「にゃあにぃ〜!」
Goo「いやー読まねばとは思ってたんですけど、どうもあの厚さがシンドイというか。かったるいとい
  うか。あ、でもでも「夏のレプリカ」は読みましたよ」
Boo「……あんた、それでよっくもまあ、いけしゃあしゃあと本格ミステリ時評なんてやってるわね〜」
Zoo「信じられないれす〜、幻滅れす〜、京極読まない本格ファンがいるなんれ」
Goo「わかりましたよ、今度必ず京極さんも取り上げますから、今日のところは勘弁してくださいよぉ」
Zoo「わかればいいんれす。今回だけは勘弁しれあれまあす」
Yoo「おれも京極らんかきらいらら〜。らっれたいくるなんらもーん!」
Goo「……なんだか収拾つかなくなってきましたね」
Boo「とりあえず「レプリカ」やっちゃおう」
Goo「でもなあ、あれって森作品としてもあまり出来のよくない方だったような気が」
Boo「あんたがBooやってどうする」
Goo「はぁ……わかりました頑張ってみます。ってところで、この「夏のレプリカ」は理数系ミステリと
  して一部で熱狂的な支持者をもつ森さんの最新長編。前作の「幻惑の死と使途」と表裏をなす関係
  にある、というか要するに同時期に起こった事件ということですね」
Boo「それがどーした!という程度の仕掛けだわね」
Goo「事件の内容は、萌絵の友人の一家が誘拐され監禁されて、でもなぜか誘拐犯の方が殺されてしまう
  という……名探偵コンビは幻惑事件で忙しくて出番はそれほど多くないんですよね」
Boo「「幻惑」はそれでも派手なトリックがあったりしてそれなりに読ませるけど、こちらはねえ。トリッ
  クらしいトリックもないし、萌絵の友人の内省?独り言?みたいなポエムみたいな文章がエンエンと
  続いてうんざりよ。狙いに狙ったキャラクター小説としてのスタンスが、いよいよ明確になってきた
  という感じよね」
Goo「そういうこと言ってるとまた敵を増やしますよ〜。僕はですね、これは森さんなりにパズラーをやろ
  うとしたんではないか、という気がしています。今回、謎解きの主役は萌絵なんですが、けっこう理
  詰めだったし」
Boo「理詰め?あれが?」
Goo「いや、まあ森作品としては、ですよ」
Boo「あんなもんでパズラー面されたらクイーンが泣くわよ。あれはね、同人マニア?向けのファンサービ
  ス作品なのよ。つまり「幻惑」でミステリのコアなマニアに、「レプリカ」で同人マニアに。同時にサ
  ービスしてみました、ってわけ。森センセイってばけっこー商売人!」
Goo「大学の先生がそんな俗っぽいこと考えますかねえ」
Boo「なにいってんの!大学教授なんて俗物ばっかよ」
Goo「そうかなあ。真犯人、意外じゃありませんでしたか?」
Boo「全然!まるわかりね。登場人物少ないんだもーん」
Goo「わかりましたよ、まあ、この作品は僕もあまり積極的に応援する気にはなれないし、これくらいにしま
  しょう」
Zoo「らりをいっれるんれすら、まらこれかられすよ!みんられ萌絵しゃんのみりょくろからりあうんれす!」
Goo「なんからりらりいってますけど」
Boo「いーから放っときなさい。次よつぎ!」
Goo「じゃあまあ「イエスの遺伝子」いきましょう。海外作品です。最近は食傷気味の遺伝子モノなんですが、
  この作品のネタには驚きました。なんてったってイエス・キリストの遺伝子を解読して、「神」の奇跡の
  力を作り出そうってんですから、話はでかいですよね」
Boo「うん、このアイディアの大胆さには私も驚いたわね」
Goo「でしょ?ストーリィを紹介しましょうか。えっと、主人公は天才的な遺伝学者なんですよね。で相棒の
  これまた天才的コンピュータ技術者と共同で、すごい遺伝子解読システムを作る」
Boo「ヒトゲノムの解読は今も進められてるけど、現在の技術では読み取るだけで数十年かかるそうね」
Goo「ところがそれが主人公のシステムなら数時間でできてしまうんですが、皮肉なことにそのシステムによっ
  て彼の娘の体に重度の遺伝病が発見されちゃう。で、主人公はいろいろ手を尽くすけどどうしようもなく
  て「神の奇跡」に目をつける、という」
Boo「ま、盛りだくさんなお話よね」
Goo「主人公はキリストの遺伝子を求めてキリストの遺物を探し回るわけですが、このあたりはインディ・ジョ
  ーンズですね。また、敵役であるカルト教団のキリスト再臨のエピソードなんかは伝奇小説の味わいもある
  し、彼らの放つ暗殺者との闘いはスパイアクションみたい。もちろんメディカルサスペンスとしての本筋も
  波乱万丈ですし、新人の作とは思えないくらいサービス精神に富んだ面白エンタテイメントです」
Boo「裏返すと、いささか盛り込み過ぎって感じもあるのよね。キリストの遺伝子というとびきりのネタがある
  んだから、それだけに絞って書いた方が良かった気がしないでもない。なんていうのかな、このネタだった
  らもっともっと面白くなっていいはずなのに……っていう物足りなさがあるわ」
Goo「そうですかね。映画化してもさぞかし面白いだろうと思いましたけど」
Boo「それそれ!そこなのよ。映像的な見せ場の多さといい、なんだか最初から映画化されるのを狙って書いて
  るような気がしてならないのよ。作者はこれが処女作らしいけど、商売人よね〜」
Goo「実際、もう映画化権は売れたらしいですね」
Boo「どこが買ったの?」
Goo「……ディズニー」
Boo「うーん。まあ、アニメするわけじゃないだろうけども、ね」
Zoo「らりりれるんれすか〜ろみららりなせんろayaらん、もっろろんでろんで〜」
Boo「え〜い、うるさいッ!」
Goo「ayaさんayaさん。暴力はいけません、暴力は」
Zoo「ろれすろーろるららりらっら?らりらろ」
Yoo「♪ら〜りり〜ろり〜らり〜」
Goo「もう、わけわかりませんね」
Boo「なんか疲れたわねー、もういいじゃん。呑も呑も!」
Goo「あ、でも「探偵宣言」は?」
Boo「次回、次回!」
 
(第2部了)
 
#98年3月28日/MAQ邸にて
 
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