baka-3 セガ死すともゲーム屋魂は死なず  SGGG(DC)

HOMETOP
「ぼくといっしょにゲームを作って下さい。ほかにないゲーム、ぼくたちにしか創れないゲームを」
「何をバカな……笑わせるな! 貴様のようなガキに何ができる」
「たしかに、ぼくは知識も経験もない。だけどゲームが好きって気持じゃ、誰にも負けない!」
「好きというだけでゲームが創れるなら、誰も苦労などしない! だいいちオレらが求められてるのはな、
いいゲームなんかじゃない。売れるゲームだ」
「だから、いいゲーム、面白いゲームを作れば、きっと売れます!」
「そんな冒険をする必要が何処にある。……そうさ。上に言われた通りヒット作のマネをしてそこそこ売
れれば、それで……それでいいんだ!」
「それでもクリエイターですか! あなたは……あなたはゲームを愛してたはずじゃないですか!」
「くッ……なにを青臭いことを」
「あなただって創りたかったはずだ! ほかにないゲーム、自分だけのゲームを! だからこそあなたはここ
にいるんだッ!」
「……なぜ……そんなに熱くなれる? なぜそんなに夢を語れる……なぜだ?」
「ゲームが好きだからです! 何よりも、誰よりもセガのゲームが好きだから、だから!」
「……フッ。おまえ、バカだな……大バカ野郎だ。そういえばむかし、そんなバカがいたっけな……オレの
なかにも……」
「作りましょう! もう一度作るんですよ!」
「もう一度か……もう一度作るのか。作れるのか、オレに?」
「作れますよ! だって……だってあなたはぼくと同じです。ゲームが、セガのゲームが世界でいちばん好
きなんだから!」
 
注)セガは死んでません。いまのところ。
 
 
baka-2 つぎはぎだらけの「大宇宙」  ゼノギアス(PS)

HOMETOP
1つの宇宙とその宇宙史を丸ごと創成しようという無謀な試み。それがゼノギアスである。
壮大といえば壮大、バカバカしいといえば限りなくバカバカしいこの試みに、作者はどのような手法を選んだか。
答えはテキストだ。映像ではなく、物語でさえなく、文字テキスト……さらにいえばセリフだったのだ。
結果として、画面は怒涛のようなセリフの嵐に埋め尽くされ、
しかも前後の脈絡もなく頻発される「字画の多い」用語群とも相まって、プレイヤーの理解をてんから拒絶する。
この「あらかじめ理解されることを拒絶した物語」を、では、僕らはどう楽しめばよいのか。
簡単だ。丸ごと受け入れて、流されればよい。
過剰なセリフの嵐を読み解いて「物語」を理解しようとするのでなく、その奔流に身を委ねてしまうのだ。
それが「愛」。なんといっても「愛」は「宇宙」さえも救うのだから。
そうやってこそ僕らははじめてこの「壮大」な「宇宙史」を楽しむことができる。
なまじ解読などしてしまえば、
古典的SFやアニメから拝借してきたアイディアやエピソードがツギハギにされた安普請のガラクタという、
見たくもない正体に気づいてしまう危険がある。
だからどれほど伏線が無視されようとも、エピソードが未消化のまま放り出されようとも、気にしてはいけない。
むろん主人公やヒロインへの感情移入など絶対に禁物だ。
幸いにも作者は、チャイルドアビューズで多重人格となった主人公や、
神の一部として「作られ」たヒロインというビョーキな設定を多用し、僕らの感情移入を拒否する仕掛を用意してくれた。
時は至れり。
いざ、ただただ呆然と画面を見つめ、ともに流されようではないか。
このガラクタだらけの濁流を。
 
 
baka-1 暴走するイマジネーションと狂気の奔流  クーロンズ・ゲート(PS)

HOMETOP
「ようし今だ!今こそ過去とつながる時。どうだわしの晴れ姿、これは時空スーツというものだ。
いや、行くのは君一人だ。なあに心配はないぞ……準備はいいかな?もちろんだとも!
これはドラマだ!そして君は歴史の流れの中にいる!
そして!おおおおお、わしもだ!……歴史!ヒストリイだ!」
この、どう考えてもイッちゃってる長ゼリフ。このゲームで主人公を助ける科学者のセリフだ。
執念めいた執拗さで過剰にウェザリングされた巨大な迷路・「もう一つの」九龍城砦に住まう住人たちは、
このように善悪を問わず一人残らず強烈な妄想と狂気の虜になっている。
むろんその姿形もまた、異様なほどリアルでシュールで突拍子もない。
仏壇?に顔を詰め込んだ男。鍵穴になった男。チュチュを着て羽根を付けた踊る小人。
二輪車に乗って走り回る赤ン坊の化け物。
起こる事件は脈絡なく、突拍子もなく、全くといっていいほど先が読めない。
しかもその物語すらも加速度的に崩壊しつづけていく。
その膨大な狂気と妄想とイマジネーションの奔流からは、プレイヤー自身もまたけっして逃れられないのだ。
やがて僕らは狂気に侵食され、イマジネーションに溺れ……
そしてそこから、たとえようもなく甘美な悪夢への旅が始まる。