ミセスTANISHIの推理
 
ごぞんじひでちゃん/TANISHIさんは、今回ご夫婦で殿堂入りを決められましたが、正解に至る前には、奥様がこのような楽しい迷探偵ぶりを発揮してらっしゃったようで……。それにしても仲の良いご夫婦だなあ。
 
※例によってこの“説”で指摘されている人物が、正解における真犯人かどうかは不明です。正解とされずに迷探偵に収録されるハメになったのは、犯人の名前・ロジックのどちらか、あるいは両方が間違っていたから、とお考え下さい。
 
※H=ひでちゃん/TANISHIさん M=ミセスTANISHIさん
H「どう、千晶一家があやしい言うてたけど、その後推理は進んだんかいな」
M「うーん、進んでへんねん」
H「そや、管理人のMAQさんからヒントが出てたわ。教えたる。動機からアプローチしたら犯人にめぼしをつけやすいそうやで。あと、犯人特定の推理手法は、ズバリ消去法らしいわ」
M「ふーん、動機と消去法ねぇ……もうちょっと考えてみるわ」
(そして、翌日―)
M「分かったで、犯人が。動機も証拠もあるで」
H「ほんまか! で、犯人はやっぱり千晶一家の誰かか?」
M「ううん、違う。少なくとも一哉と千晶は犯人とちゃうわ。だって、前口上に『実際に体験した出来事』って書いてたやんかぁ。そやから本人とか奥さんが犯人ってことはないわ」
H「そうか。ほな犯人は誰やねん」
M「うん、犯人は祥造や。動機からアプローチしたら分かった。犯人の特定も消去法でバッチリやわ」
H「ほう、で、動機は何?」
M「ふふっ、分からへん? ヒントは、船のオモチャとビンや。この2つで何か思いつかへん?」
H「船のオモチャとビン……あぁ、船の模型とボトル……」
M「そう、ボトルシップやね。黄美子は祥造が大事にしていたボトルシップのビンを割ってしもたんや。わざとかどうかは分からんけど。そして船の模型をオモチャとして持ち去った。それを知った祥造は、怒りまくって黄美子を殺したんやわ」
H「ほほう、で、何か根拠はあるの?」
M「あるよ。まずあの船のオモチャがボトルシップの模型やってことは、すごく精巧に作られていたっていう描写が伏線になっているわけやね。あと、殴り殺されたわけでもないのに現場には割れたビンが落ちていた……これは、家で船がなくなっていることに気付いた祥造が、割れたビンを持って黄美子を探しに来たんよ。『これはどういうことや!』って。そしたら黄美子は船を持っているし、しかもマストまで折れている。こんなん見たら、カッとなって殺してもおかしないわ」
H「なぁるほどぉ。で、消去法の方は?」
M「うん、黄美子を殺せたのは祥造だけやね。前提として、事故ではなく黄美子は殺されたって書いてあったやんかぁ。つまり、黄美子の首根っこをつかんで沼に頭を突っ込んで溺れさせたってことやね。突き落としたくらいやったら溺れるかどうか分からへんけど、こうしたら確実に殺せるもん」
H「ふんふん、で? 他の人やったらあかんの?」
M「そう。子供達はみんな、底無し沼のことを恐がってるやろ? そやから黄美子を溺れさせるために沼のふちまで行くことなんかできひん。首根っこつかんで沼に浸けよう思たら、沼のふちギリギリまで行かんとあかんやんかぁ。ヘタしたら暴れられて自分も落ちてしまうかもしれへん。底無し沼を恐がっている子供には無理や。そやから、犯人は大人ちゅうことやね」
H「ふんふん、なるほど」
M「で、大人は祥造とテツだけやん。テツはもう殺されておらへんから、犯人は祥造」
H「おおっ、すごいなぁ。論理的に犯人絞り込めたやんか」
M「へへっ、私もやるやろ」
H「あれ? でも、千晶のお父さんとお母さんは? 最初あやしいて言うてなかったっけ」
M「あぁ、その二人はええねん。登場人物の表に載ってないから」
H「うーん、そういうもんかいなぁ……」
M「そういうもんやって」
H「あ、そや、もう1つ引っかかるとこがあるんやけどな、黄美子が死んでた現場に落ちてたビンって、ビール瓶やで」
M「え、酒瓶と違たっけ。あ、あれはテツの方か」
H「そや、ビール瓶でボトルシップ作ったら、船見えへん」
M「ははーん、分かった。これは作者の引っ掛けやわ。普通ビール瓶て書いたら、茶色いのをイメージするやんかぁ。でも、このビール瓶は透明やったんよ。ほら、コロナとか透明のビンのビールもあるやろ」
H「コ、コロナ……えらい細長ぁてちっちゃい船なんやなぁ」
M「大きいビンもあるて、きっと」
H「よっしゃ。ほな今の推理、僕が要点まとめてMAQさんに送っとくわ。もし正解やったら、勝利の記念碑は連名にしてええか。『ひでちゃん夫妻』とか」
M「あはは、うん、ええよ。楽しみにしとくわ」
 
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