【巻頭言】
ミステリを読んでいると、時折こんな風に思うことがあります。「おれだったらこんな展開にはしない!」「私だったらこっちを主役にする!」、いやそれどころか「おれが考えた解決の方が断然面白い!」なんて。作者さんの苦労も知らず、きっぱり断言することさえしばしばです。そう、機会さえ与えられれば「もっと面白く!」できるはず。ていうかそれって書くこと自体チョー面白そう!……そんな遊び心を形にしてみたのがこの企画。事前打ちあわせ無しで、別の作家が書いたものを書き継いで、次のまた別の書き手に渡していく「リレーミステリ企画」です。直接のきっかけは2003年1月、新聞連載で話題を呼んだ新本格系作家5人のリレー小説「かえれないふたり」。この作品に、本橋一哉さん、TANISHIさん、MAQといった「名探偵の殿堂」出題者が揃っておおいに触発されたことが、今回の企画の出発点になりました。
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かくて誕生した「マスカレード」では、2回目以降の各書き手は先行する物語の設定や登場人物を引き継いで活かしつつ、さらに引っ繰り返しながら独自に物語を展開させています。むろん各担当は無責任に好き放題書いたわけではなく、それぞれ“先行する書き手とは違う、自分なりの解釈/解答/解決”をこさえ、それを踏まえており、結果として3つのパートには3人の作者による3つの解決が秘められているともいえます。今回はその興趣を増すため、あえて2回目以降のパートは1週間の間隔を置いて公開します。ぜひ皆様も次パートの展開を予想し、“あなたなりの第4の解決”を考えながらお読みください。なお、3パート全てが公開された時点で物語はいったん終了します。が、リレーは終わりません。“さらなるどんでん返し”を、“さらなる真相”を思いつく方にとっては、まだ。
“いまだ書かれざる第4章”の書き手は、“あなたかもしれない”のです。……では、どうぞお愉しみください。 |