2002 GooBoo 本格ミステリ ベストセレクション
 
第2部 海外編
 
  作品名※カッコ内は票数 著者               出版社
1 第四の扉 (64) ポール・アルテ      早川書房
2 家蝿とカナリア (48) ヘレン・マクロイ     東京創元社
3 踊り子の死 (37) ジル・マゴーン      東京創元社
4 イリーガル・エイリアン (32) ロバート・J・ソウヤー   早川書房
5 レイトン・コートの謎 (28) アントニイ・バークリー  国書刊行会
6 その死者の名は (12) エリザベス・フェラーズ  東京創元社
7 割れたひづめ (10) ヘレン・マクロイ     国書刊行会
8 サム・ホーソーンの事件簿II (7) エドワード・D・ホック   東京創元社
9 死者を起こせ (5) フレッド・ヴァルガス   東京創元社
  降霊会の怪事件 (5) ピーター・ラヴゼイ    早川書房
次 ウィッチフォード毒殺事件 (3) アントニイ・バークリー  晶文社
 
●GooBooおよびぐぶらんで紹介済みの作品は各タイトルから該当頁へ飛べます●
 
【ランク外作品】
惜しくもランクインできなかった12位以下の作品たち。(順不同)
 
「髑髏島の惨劇」「コナン・ドイル殺人事件」「囁く谺」「神学校の死」「不死の怪物」「氷の女王が死んだ」
 
 
【ベスト10作品解説】
 
1位●第四の扉
鳴り物入りで登場した、これが噂の「フランスのカー」! その処女作にしてコニャック・ミステリ大賞受賞作が、文句無し堂々のベスト1獲得です。幽霊屋敷の噂が絶えない館を舞台につるべ打ちされるとびきりの不可能犯罪! さらに濃厚なオカルティズムにフェル博士そっくりの名探偵まで登場しケレンたっぷり。コンパクトな分量にぎっしり詰め込まれたトリックとサプライズの軽やかな饗宴は、まさにもう1つの・海の向こうの新本格派です。
●ayaメモ
ぎっしり詰め込まれた本格趣向は、しかしあくまで軽く口当たりよく。トリックギミック本格コードの詰め込みぶりは、そりゃまあたしかに凄いんだけど、その割に何処か軽くて、舌足らず。物足りないのはなぜだろう。カーというより、これはやっぱりあくまで現代の、フランスの作品なんだね。構えず気軽にかる〜く読めてフツーに愉しい、これぞ仕掛け充実の本格オモチャ箱。
●投票者さんのコメント
海外にもこんな作品があるんだ、と驚きました/「フランスのディクスン・カー」の惹句を裏切らない快作。/雰囲気はいいですよねえ。トリックもまあカーらしいといえばらしいんですが/カーの模倣犯。ひとつひとつのトリックは手あかが付いているような気がしますけど、密度で勝った感じがします。/日本の新本格の始まりとほぼ同時期に、海外でもこんなコテコテの本格ミステリが書かれていたとは、驚きです。アルテの他の作品も翻訳熱烈希望!!/カーの後継者かどうかの判断は保留/マニアですな
 
2位●家蝿とカナリア
古典本格黄金期に属する作家ながらちょいとサスペンス寄り? なーんて思われていたマクロイの、代表作の一つといわれるこの作品は、なんとバリバリの本格! 何も盗まずカナリアを逃がした奇妙な泥棒、という魅惑的なエピソードに始まる俳優殺しの謎は、地味といえば地味。けれど丁寧に張られた伏線とその回収の鮮やかなこと! シンプルで奇麗な謎解きロジック&気の利いたツイストが、あなたのマクロイのイメージを一変させるでしょう。
●ayaメモ
これ見よがしの謎にこれ見よがしの伏線は、やはり現代の読者にとっては見え見え? いってしまえば精神分析探偵の試みも、今となっては流石に古めかしく単純すぎると思えよう。しかしあえていう、もし犯人の見当がついてもリーダビリティに支障なし!  その場合はたとえ初読でも、再読するつもりで作者の伏線張りの妙を楽しもう。奇麗に、手際良く配置された伏線は、さながらパズラーの教科書なのだから。
●投票者さんのコメント
黄金期の香り漂う逸品/さすが技巧派ですね/犯人がすぐに見当ついてしまうのは少々減点ですが/マクロイがこんなにトリッキーだったなんて驚きました。現代から見ると首をかしげるところもなきにしもあらずですが、良いじゃないですか。劇場ミステリって大好きなんです/よくできているが、犯人がわかりやすいところが物足りない/とてもキレイで上品な、本格らしい本格ですね
 
3位●踊り子の死
現代本格の旗手・マゴーンは順当にベスト3を確保しました。稠密な筆で描く全寮制のパブリックスクールでのレイプ殺人。しかし、なぜあの尻軽女が? シンプルを極めたホワイダニットの謎解きは、しかし縦横に張られた伏線とアクロバティックなロジックの織りなす精緻かつ重厚な交響曲。二転三転四転五転、縺れに縺れた論理の迷宮を灯火ひとつ見えぬまま彷徨う、苦痛と背中合わせの喜び……これまた紛れもなく、本格ミステリ読みなればこその快感なのです。
●ayaメモ
一言でいって現代の・オトナの本格ミステリ。厚みのある描写、色彩豊かに描かれたリアルなキャラクタ、“社会”問題への洞察……現代の小説としての充実がそのまま本格ミステリとしての要件に有機的に結びつき、しかもそれらの緒要素がこぞって本格ミステリとしての高いクオリティを作り上げている。ライトノベルを読み慣れた諸兄には、いささか歯応えがあり過ぎかもしれないが……これぞ噛めば噛むほど味の出る“現代の本格”だよ。
●投票者さんのコメント
読むのに多少の辛抱が必要でしたが、それだけの甲斐があります。/ムダに重い気もしますが/松本清張がスタイルを崩さず、しかも本格にこだわって書いたみたいな/あくまで“本格としての読み応え”が素晴らしい。妙に文学して自己満足してるっぽいP・D・ジェイムズなんかとはデキが違う/トリッキーな前作とは正反対に、1つ1つ積み重ねていく警察小説っぽさ。アリバイ崩しではないが緻密で面白い
 
4位●イリーガル・エイリアン
かねてより一部のミステリ読みに珍重されていた現代SFの旗手が、よりミステリテイストを増したこの作品で、ついにミステリ界でも大ブレイクです。地球を訪れたエイリアンが地球人殺しの容疑で裁判にかけられる……というファーストコンタクトSF+リーガルサスペンスのアイディアは、まさに“なんで誰も思いつかなかったんだ”的超ナイスな着眼。この作者で、このアイディアで、このプロットで、面白くならないはずが無いでしょう!
●ayaメモ
この作者はいつだって目のつけ所がいい。ナイスなネタをナイスな角度で切り取って、エンタテイメントの方程式でかっちりきれいにまとめあげる職人芸。伏線の配置と謎解き、そしてサプライズの演出も、本格というよりあくまでエンタテイメントの王道に沿ったもの。いい悪いじゃなく、モダンSFエンタの達人なのだよ、この人は。もっともラストのオチだけは、まるで古典SFのセオリ通りで……ここはいささかセンス悪〜。
●投票者さんのコメント
SFジャンルの作品を「狭義の本格ミステリ」の縛りがある中で挙げるのは抵抗がなくもないが、伏線が回収されて驚きの真相に至るプロットは本格ミステリとして十分評価できると考える。/ぜひミステリファンに読んでほしい作品/なんでこの作家は最後を説教めいた話にしちゃうのかなあ。途中まではツッコミどころ満載とはいえ、とても面白い。ベストに入れざるを得ません/本格SFかつ本格ミステリのすぐれもの。文庫のレーベルはSFですが、ミステリファンにも読んでほしいです
 
5位●レイトン・コートの謎
2002年も続いたバークリー翻訳ラッシュ(というほどでもありませんが)は、いよいよ初期作品の刊行が始まりました。ランクインしたのは、ミステリデビュー作。間違いだらけの名探偵、シェリンガムのデビュー作品でもありますね。お話の方は、コージーな舞台での密室ものというオーソドックスなものながら、そこはさすがにバークリー。第1作から古典的な本格ミステリのセオリーを逆手に取った趣向で、またも読者を呆れさせてくれます。
●ayaメモ
本格ミステリに対する批評精神は、第1作から健在。まさに栴檀は双葉より芳し! とはいえメタやらアンチやら、現代のひねくれまくった本格を読み慣れた目から見ればなんとものどかでシンプルで、わかりやすいひねくれ方というべきだろう。本格としての仕掛けより、愛すべき名探偵シェリンガムの右往左往ぶりが私は愉しかったね。ここはやはりセンスのいいユーモア本格を読む気分で、肩の力を抜いて楽しむことに徹するが吉! 
●投票者さんのコメント
ニヤニヤしながら読み進み、ラストで呆然としました。凄いです、バークリーは/バークリーがデビュー当意からとてつもない作家であったことを思い知らされた。/後の作品ほどではないにしても、デビュー作品からしてひねくれてたんですね/主にやっていることは、いまさら珍しくもないかも知れないけど、バークリーがやると手法が面白い/愉快な探偵コンビ
 
6位●その死者の名は
なんとこちらも第1作。トビー&ジョージのデビュー作なんですね。お話の方はとてもシンプル。路上で酔いつぶれ轢き殺されてしまった、謎の男の正体は? という謎解きがメイン。本格ミステリとしての仕掛けは、後年の傑作『猿来たりなば』あたりに較べるとごくあっさりしたものですが、のどかな小村の人間関係を巧みに浮かび上がらせていく手際はさすがフェラーズ。シリーズ最後の未訳作品である第5作の翻訳が待たれます。
●ayaメモ
はっきりいってしまえば『猿』に較べるとだいぶ落ちる。本格ミステリとして、注目すべきところはほとんどない。これがシリーズ第1作ということは、つまりトビ&ジョージという探偵コンビ自体に仕掛けられたユニークな設定がウリの作品だったのだろう。私見だが邦訳は4作目から遡る形で進められてきたわけだから、作者は尻上がりに本格濃度を高めていったということになる。とすれば、最後に残ったシリーズ第5作はかなり期待できるのかも!
●投票者さんのコメント
この探偵コンビの設定を思いついた時点で、シリーズの成功は約束された/処女作はトビーがちょっと馬鹿っぽい?/シリーズへの敬意を込めて一票……です/この探偵コンビは大好きです/カントリーハウスものの愉しさがよく出ている/ツイストは他愛ないが練られた作品だと思う。仕掛けが派手なばかりが本格ではないでしょう。
 
7位●割れたひづめ
バークリーに続く古典翻訳トレンドの焦点はマクロイ? 投票対象期間ギリギリの刊行ながら、『家蝿』に続いてのランクインです。国書から刊行されたこちらはマクロイ後期の代表作。『家蝿』とは打って変わって、雪の山荘の“開かずの部屋”で、衆人環視下に発生した密室殺人! というケレンたっぷりのお話です。いわゆる“人を喰う部屋”テーマの謎解きはいささか他愛ないというものの、マクロイならではの伏線の妙はここでも健在です。
●ayaメモ
ミステリとしてのトリックはごく地味なものではあるけれど、気の利いた伏線で読ませる一編。“人喰う部屋”の伝承の活かし方など、ケレンの演出はあまり巧いとはいえないが、視点や構成を工夫することでサスペンスを高めている。この作品はおそらく作者にとってはアベレージ。この人にはまだまだとんでもない作品があるので、ブームの本格化を期待したいね。
●投票者さんのコメント
密室トリックは拍子抜けでしたが、謎の解明に至る手際が巧み。/サスペンス演出は、やはり巧いです/雰囲気買い。カーっぽい設定ですが、大技でなく小技の積み重ねって感じ?/昔からウワサになっていた作品だったので、読めただけで嬉しかったです
 
8位●サム・ホーソーンの事件簿II
おなじみ“世界一不可能犯罪の発生率が高い”町・ノースモントを舞台にした、医師探偵サム・ホーソーンの活躍を描く短編集。作品の出来にはばらつきがありますが、不可能犯罪ものに特化してこれだけたくさんの短編を書いているのは、それだけで偉業というものです。基本的には1アイディアのトリックに支えられた作品が中心なので、頭の体操に持ってこいですね。
●ayaメモ
このシリーズのトリックは、だいたいいくつかのパターンみたいなものがあるようで。このパターンをああひねってこう落すてな具合に、読み続けていると作者の手のうちが見えてくる。ま、新鮮さは無いが、安心感はたっぷり。ボーナストラックの『長方形の部屋』(これはレオポルド警視もの)は、都筑さんの『黄色い部屋はいかに改修されたか』でも取り上げられた、ホワイダニットの傑作。これだけは必読よ!
●投票者さんのコメント
よくまあこれだけ不可能犯罪ミステリを書き続けられるな、と/玉石混交でトリックの応用・使い回しも目立ちますが、ともかく安定している/「長方形のの部屋」は傑作です/短編本格の最良のテキストの1つ
 
9位●死者を起こせ
同じフレンチながらアルテとは大きく趣を異にし、フランスらしさが充満するいわばオフビート本格の登場です。一夜にして見知らぬ木が庭に出現するというチェスタトン風の謎をきっかけに、エキセントリックな3+1人の探偵役が繰り広げる意図不明のコメディを、狐につままれたような気分で読み進めば、なぜかラストでいきなり本格ミステリ化。なんじゃこらーな伏線ともども、面白いんだか面白くないんだかよく分からないところが面白い。ともあれまぎれもなくこれも現代の本格です。
●ayaメモ
たしかにキャラクタは面白いけど、作者何がやりたいのかさっぱり分からない。ラストの様子から言えば本格ミステリなんだろうけど、それにしちゃいささか以上に無駄が多すぎて、作者のアタマの中も混乱しまくっている気配。本格としては、ユルくてヌルくて意図不明。読んでいると一体今何が起こっているのかさえ、しばしば分からなくなるという……困った作品だなあ。
●投票者さんのコメント
ばかばかしい伏線にやられました。途中で誰が誰だか分からなくなるのはもう諦めました/ヘンな本格ですよね、いやたしかに本格だと思うんですが……/本格へのフランス作家らしいアプローチ
 
9位●降霊会の怪事件
多彩な作風を使い分けるラヴゼイの、もっとも本格らしいシリーズといえばやはりこれ。ビクトリア朝ロンドンを舞台とする“クリッブ&サッカレイ”シリーズの登場です。人気上昇中の降霊術師のトリックを暴くべく“科学的”装置を準備して開かれた降霊会。しかし衆人環視の状況下、出現したのは死体だった……1アイディアの仕掛けを活かした丁寧な演出が光る、時代本格ミステリの小品。突出したところはないけれど、丁寧な謎解きには好感がもてます。
●ayaメモ
ラヴゼイにしては単純なプロットで、ストーリィテリングもいまひとつ。本格としての形はまあまあ整っちゃいるが、それだけといえばそれだけでどうもアピールに欠ける。こんな舞台でこんなネタならもっともっとケレンたっぷりで良かった気がするのだけど……ま、シリーズ初期の作品だからね。
●投票者さんのコメント
実は前作の『死神の戯れ』の方が面白かったんですが……/謎解きがかっちりしていて無駄が無い/ラヴゼイ流軽本格


【海外ベストGooBoo】
B「2002年の海外ベストは正直いって10作揃えるのが難しかったね。国書を始めとする古典組にもう一つ勢いがなかったのが痛いな」
G「国書以外の海外古典叢書も登場しましたが、全体として本格にこだわらない、もう少し幅広い範囲をターゲットとしているようですね。でも、マクロイは2003年も邦訳が出るみたいですし、国書のラインナップもまだまだ魅力的。古典本格に限っても翻訳のフィールドは確実に広がっている気がします」
B「まあ、この不況下にあって、ぽしゃりもせずに続いているだけでも奇跡的だとは思うけどね」
G「もうひとつ、今年はこれまでの古典一辺倒とは違い、現代作家の比重が高まってきたのも一つの傾向といえるんじゃないでしょうか」
B「えっと……今回のランキングでいうと、6作が現代作家の作品ってことになるのか、なるほど。が、それだけに本格ミステリとしてはいささか辛い作品も、ランクインさせざるを得なかった感じかな? ソウヤーはミステリとしてはともかく、本格というのとはちょっと違うと思うけどな」
G「そこはそれ、ソウヤーをミステリ読みの人に読んでいただくきっかけになるなら、よいのではないでしょうか。ともかく2002年の海外本格界については、ポール・アルテの登場に尽きるわけで。この作家の登場だけで良しとすべきでしょう」
B「アルテなあ……まあ、あれがベストとは限らないし、早く他の作品が読みたいものだね。しかし、なかなか次がでないじゃないか。ひょっとして言うほど売れてない?」
G「いやいや、ポケミスとしてはスゲー売れてる方だと思いますが。だって普段ポケミスなんて影も形もない、ウチの地元の本屋でさえ『このミス』がらみで『第四の扉』を平積みしてましたもん」
B「ポケミスって平積みしてもチョー地味だからなあ……ま、いいや。私のベストね」
 
●ayaの海外ベスト
踊り子の死 ジル・マゴーン 東京創元社
家蝿とカナリア ヘレン・マクロイ 東京創元社
レイトン・コートの謎 アントニイ・バークリー 国書刊行会
第四の扉 ポール・アルテ 早川書房
 
G「えっと、4作だけですか?」
B「本格に限るなら、今年はこれだけ読んでいれば基本は十分ね」
G「とはまたずいぶんとダイタンな」
B「むろんマニアるなら、ベスト10に上がっているものは抑えるべし。ソウヤーも、本格じゃないけど面白いから読むべし」
G「じゃ、ベスト10以外は? バークリーの『ウィッチフォード毒殺事件』とか」
B「感心しなかったな。まあ、実録ものベースの作品だから不自由だったのは分かるけど、本格としての要件を満たしているとは思えない。そうでなくとも推理の手順も面白みに欠けるし、ラストのどんでん返しは脱力級。凡作でしょ」
G「ふーん、辛いっすね。んじゃ、次はぼくの方のベストです」
 
●MAQの海外ベスト
レイトン・コートの謎 アントニイ・バークリー 国書刊行会
踊り子の死 ジル・マゴーン 東京創元社
家蝿とカナリア ヘレン・マクロイ 東京創元社
第四の扉 ポール・アルテ 早川書房
ウィッチフォード毒殺事件 アントニイ・バークリー 晶文社
割れたひづめ ヘレン・マクロイ 国書刊行会
サム・ホーソーンの事件簿II エドワード・D・ホック 東京創元社
不死の怪物 ジェシー・D・ケルーシュ 文藝春秋
その死者の名は エリザベス・フェラーズ 東京創元社
死者を起こせ フレッド・ヴァルガス 東京創元社
 
B「うーん、まあ基本か……ってなんだよ! 『不死の怪物』ってのは。あれが本格か? っていうかそもそもミステリでもねーだろ!」
G「いうと思った。たしかにガチガチの本格かといわれると辛いところですが……面白かったんだもん!」
B「あのね〜」
G「荘園領主に代々取り憑く謎めいた怪物……しかしその正体は! 数千年の時を超える究極の謎を、オカルトのロジックで徹底的に解いていく、美貌の霊能力少女! いいですね〜。古い作品ですが、ある意味ことし一番スリリングな謎解きでした」
B「っていうかミエミエじゃん、あの真相」
G「そういう細部には目をつぶるのが、この手のトンデモな作品を楽しむコツです」
B「あっほかーい!」
G「『ウィッチフォード』だって、あれはある種トンデモですからね。実録モノ系であーんなスットボけた“真相”をノウノウと提出してくるのは、やっぱバークリーくらいかと」
B「なんだかキミってば、いよいよ根性が曲がってきた気がするわね〜」
G「ま、なにはともあれ。今年も素敵な本格ミステリに、いっぱい出会えますよーに!」
B「って……私に柏手打つんじゃない! 拝むんじゃない拝むんじゃない拝むんなら賽銭よこせ!」
G「どーかおらたち本格村の村人をお救いくだせえ」
B「ってあたしゃ大魔神かい!」
 
第2部・完(2003.1.18脱稿)
 
■巻頭言へ  ■第1部:国内篇へ
 


HOME PAGETOP MAIL BOARD