前から5列目中央のシート
 
前から5列目中央。ここが僕が好んで座るシートです。
むろん映画館によって微調整は必要ですが、たいていの小屋では、
ここがスクリーンの左右が自分の視界に過不足なく納まる位置のようです。
いわば視界の全てが映画の画面で占められてしまうわけで、
上映されているあいだ、完全に映画の作品世界に没入することができる。
その作品をとことんしゃぶりつくすことができる気がするわけです。
なんだか浅ましい気もしますが、これはなにも僕だけの特殊な現象ではありません。
たしか何かの本で似たような話を読んだこともありますしね。
ともあれこのシートに座れれば、たとえ上映された作品が箸にも棒にもかからぬスットコドッコイな作品であっても、
とりあえず僕は満足できちゃいます。
そして、ダメな作品でもそれなりに楽しんでやろう、という気になれるのです。
まあ、料金分はナニガナンデモ楽しまなきゃ気が済まない、というビンボ根性もありそうですが。
 
しかし一方では、そんな僕とはまったく逆に客席の後方へ後方へと行きたがる方も最近は多いようです。
あれは、どういう嗜好なんでしょうね。ビデオの影響?
自宅で見る時とできるだけ同じ環境(つまり後ろに下がって劇場のスクリーンを小さな画面として見る)
にしなければ気が済まない、という・・・。
なにも映画館にまで日常生活を持ち込まなくてもいいのに、とも思うのですが、そこはまあ好き好きですから。
それにしてもシートは後方でなければ!という方は、実は少なからずいらっしゃるようで、
窓口で満席立ち見!とかいわれてなかば諦め気分で入場しても、意外と前列の方はガラガラだったりする。
いわゆる話題作がかかっている大きな劇場ほどそういうケースが多い気がします。
考えてみると、実はこれは前列派の僕にとってはとても有り難いことです。
そんなわけで、後方死守!の方には、今後も節を曲げずにひたすら後方をめざしていただきたいものです。
 
劇場といえば、最近は妙に気取った小屋が増えましたね。
特にインディーズのアート系作品を好んでかけるスノッブな劇場に多いんですが、
コンクリート打ちっ放しのイマ風の内装でウエイティングバーがあったり、
上映前になると案内嬢が客を集めてエラソに注意したり。
ヘタすりゃ身体検査でもやりかねないって感じの仰々しさ演出しまくり。
モギリのお姉ちゃんまで「高級なゲージツを特別に下郎に見せてやる」ゆう根拠のない選良意識あふれまくりで、
不愉快きわまりない。ゲージツだかなんだか知らないけど、なにもそこまで気取るこたぁない。
「作品」を大切にするのはもちろんいいことだけれど、どこか勘違いしてるような気がしてなりません。
そういう小屋はシートも特上で、音響・映像効果などハード面も優れているところが多いのですが、
居心地という点では、だからはっきりいって最悪でしょう。
ばかばかしいんで、よっぽど贔屓の監督の作品でもかからぬ限りいきません。
映画は楽しむもんであって、奉るもんじゃない。
楽しむためのルール・礼儀はあってしかるべきですが、奉るのはどこか他所でやってもらいたいものです。
 
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