※敬称略。発表年代順。新しいものほど下(後)に配置してあります。「本格ミステリ」という呼称自体に異同がある場合は、カッコ付きで補っています。また、発言の年月は、書籍からの引用の場合は基本的に当該書籍の初版刊行日に準じています。
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戦前(〜1945)
● (探偵小説とは)「或る問題が作者によって創り出され、且つ解決せられ、同時に頭脳明晰の読者なれば、その同一解決を導き出しえるであろうようなチャンスが与えられている読物を謂う」
●(全くの探偵小説と)「名づけ得べきものは、犯罪をば様々なクリュウ即ち手掛りを辿って偵察し、遂に犯人を突き止めるに至る迄の分解、総合の過程を描いて行くものである」
●(探偵小説では)「その主たる興味が謎の解決に置かれていなければならない。そして物語の初期に於て、その主要部分が読者に提示せられ、且つその謎たるや、充分読者の好奇心を惹き起さしめなければならないし、さらにその好奇心は最後に於て充分に満足させられるように仕組まれていなければならない」
●(探偵小説とは)「普通の意味での小説の項目にあてはまるものではなく、むしろなぞなぞの範疇に属するものである。つまりパズル、小説の形をした、複雑化し拡大されたパズルなのである」
●(探偵小説とは)「犯罪とその捜査をとりあつかった小説のうち、謎の設定とその解説が、もっぱら論理的操作によってのみ行われるものをさしていう」
●(厳格な意味での探偵小説は)「第一、犯罪が行われること、しかしてこれを中心としてストーリーが発展する事。第二、detectionがある事、第三、多少のmysteryが必ずある事」
●(探偵小説の)「十の要素(殺人方法、手掛り、フェアプレイ、意外性、解決の推理、プロット、サスペンス、文体、性格描写、背景描写)のうち、殺人方法から推理までの五つは探偵的要素で、残りの五つは小説的要素である。前者の探偵的要素の皆無又は希薄なものは、探偵小説とは呼べない」
●(探偵小説の)「条件とは何か、それは、謎があり、論理的思索があり、そして解決がある。といふ、三つの重要なる条件である。この三つを具備するといふ形式を通して何が出て来るかといへば、文学が出て来るのである。芸術が出て来るのである」
戦後〜新本格(1946〜1986) ●(探偵小説とは)「主として犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐々に解かれて行く経路の面白さを主眼とする文学である」
●(探偵小説の)「本質的要素は、第一に筋、第二にトリック、第三に推理と、これだけは絶対に必要。従って構成はきちんとして、物語はこころよい迫力を持ち、そこに魅力ある主人公(名探偵)が登場なければならぬ」
●(推理小説とは)「小説構成の面白さを、犯罪に関する謎という一種の限界状況の中で、極端に強調した文学である」
●「論理による謎を、論理をもって、合理的に解決するのが、本格推理小説です」
●「謎ときゲームとしての推理小説は、探偵小説が解決の手がかりとする諸条件を全部、読者にも知らせてなければならぬこと、謎を複雑ならしめるために人間性を納得させ得ないムリをしてはならないこと、これが根本ルールである」
●「ヘンリーは穏やかに言った。「ミステリの読者といたしましては、ルービンさま、あらかじめ証拠となるべき事実が示されておりまして、あとになって、そこに気付かなかった自分の知恵の不足を恥じるという方が、わたくしは好きでございます」
●「推理小説(の前身探偵小説も含めて)は、犯罪に関する謎解きに読者も参加して楽しむ知的ゲームの小説である。……(中略)……犯人も被害者も探偵も、作者の道具であり、現場や手がかりはすべて作者にとって都合のよい設定になっている」
新本格〜(1987〜) ●(本格ミステリーとは)「幻想的で、魅力ある謎を冒頭付近に有し、さらにこれの解明のための、高度な論理性を有す(形式の)小説」
●「純文学の小説は、虚構を通じて真実を語るが、推理小説は同じく虚構を通じて、論理の――正しくは論理的推理の――美しさを読者に呈示する」
●(推理小説は)「一定の形式を必要とする文学である。それが成功するためには、1.人工的な謎と、2.謎を解明する人工的な論理と、3.それに伴う意外性、を必要とする」
●(本格ミステリーとは)「“主として犯罪における謎が論理的に解明されていく小説”だと思っています。乱歩が言うところの探偵小説ですね」
●(自分にとってミステリーとは)「謎を解明していく面白さを追求したもの、ということなんです。ただそれだけしかない。そこにはどんな修飾もつきません」
●「アクション的な要素や人情的なものを排除して、主として人間の頭脳の明晰さをアピール、そういうかっこ良さをアピールする物語ですね。それが「本格」だと思っています」
●(《本格推理》とは)「手がかりと伏線、証拠を基に論理的に解決される謎解き及び犯人当て小説である」
●「まず手掛かりをもとに論理的に解決するというのがありますね。あときちんと伏線を張る。さらにトリックがあればなおよしと。……(壊そうという意識はなくて)……むしろ、それだけは守ってあとは自由にというか、やりたいようにやるということですね」
●「謎があって、それが解明される。そこに至るまでの過程に(探偵が登場する場合もあるが)論理(推理)があり、驚き・意外性がある。どちらか一方ではなく両方(論理と意外性)の度合いが高いほど、本格である」
●「作中に記された手掛かりから導くことが可能な意外な結末、などを用意して、読者を論理的におどろかせるために書かれた作品」
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