抗アレルギー薬

予防薬として、他の薬と組み合わせて使います

最終更新日: 2004/08/19.

抗アレルギー薬とは?用法副作用一覧表問題点

抗アレルギー薬とは?

アレルギーとは、本来人間にとってあまり害ない、ほこりや花粉などに対して、過剰でしかも間違った免疫反応を起こすことです。実際のアレルギー反応は、かなり複雑で、アレルギーの原因が体に入ってから、蕁麻疹やぜんそくなどの症状がおきるまでには、体内で様々な反応が起きています。

ステロイド薬は、このアレルギー反応のほとんどすべてを抑えることができるのに対して、一部分を抑えるのが、抗アレルギー薬と呼ばれるお薬です。喘息患者さんは、アレルギー体質のひとも、そうでない人も、気管支におきるアレルギー性炎症が病気の中心と考えられています。抗アレルギー薬は、この炎症を抑えることで、喘息を軽くし、発作を起きにくくする目的で使われます。

最初に作られたのはヒスタミンなど、アレルギー症状を直接おこす化学物質が細胞から出てくるのを防ぐ薬です。詳しくは化学伝達物質(ケミカルメディエイター)遊離抑制薬と呼びます。(下の表1、表2の薬)

喘息のしくみがわかってくるにつれて、アレルギー反応に重要なロイコトリエントロンボキサンなどの新しい化学伝達物質がみつかりました。これを抑えるのが、新しい抗アレルギー薬です。いずれの薬も古い抗アレルギー薬よりは、有効率が高くなっています。(下の表3の薬)

用語解説 arrow1.gif (1045 バイト)気管支炎症ステロイド薬ヒスタミン化学伝達物質

どのように使われているか

発作をおきにくくする長期管理薬(予防薬)ですから、発作がおきてから使っても楽にはなりません。使い始めてから効果が出るまでに、早くても2、3週間はかかります。1が月程度で効果がでるものがほとんどなので、数ヶ月間使っても効果がない場合は、別の薬にかえる必要があるでしょう。

効果が出て喘息の発作が少なくなっても、気管支の炎症が十分に治まって、過敏性が改善する前に服用を止めてしまうと、またもとの状態に戻ってしまいます。服用を中止したり、減量する場合には、医師と慎重に計画を立てる必要があります。

どの薬も単独での抗炎症作用は弱いため、吸入ステロイド薬やテオフィリン製剤など、他の予防薬と併用することがよくあります。

副作用

抗アレルギー薬は、一般に他の喘息の薬にくらべると副作用が少なく、長期間の服用にも安心ですが、副作用が全くないというわけではありません。

共通してみられる副作用は、胃部不快感などの消化器症状、肝障害、抗ヒスタミン作用のある薬(下表参照)では、眠気やふらつきなどがあります。車の運転をするかたは十分気をつけてください。

副作用を疑う症状があった場合には、服用を中止して医師に相談してください。

用語解説 arrow1.gif (1045 バイト)抗ヒスタミン薬

抗アレルギー薬 一覧表

現在日本で使われているアレルギー薬を3つの表にまとめてみました。(薬の名前は代表的なものを1つだけ書いてあります)

表1 抗ヒスタミン作用のないもの

一般名

薬品名

クロモグリク酸ナトリウム インタール
トラニラスト リザベン
レピリナスト ロメット
アンレキサノクス ソルファ
イブジラスト ケタス
タザノラスト タザレスト
ペミロラストカリウム アレギサール
表2 抗ヒスタミン作用の
あるもの
一般名 薬品名
ケトチフェン ザジテン
アゼラスチン アゼプチン
オキサトミド セルテクト
メキタジン ゼスラン
塩酸エピナスチン アレジオン
テルフェナジン トリルダン
アステミゾール ヒスマナール
表3 最近開発された
抗アレルギー薬

一般名

薬品名

種類

塩酸オザグレル ベガ トロンボキサンA2阻害薬
セラトロダスト ブロニカ トロンボキサンA2拮抗薬
プランルカスト オノン ロイコトリエン拮抗薬
ザフィルカスト アコレート ロイコトリエン拮抗薬
モンテルカスト シングレア ロイコトリエン拮抗薬
トシル酸スプラタスト アイピーディー Th2サイトカイン阻害薬

問題点

日本でさかんに使われ、さらにどんどん新しい薬剤が開発されてきた抗アレルギー薬ですが、じつは、海外でも使われているのは、ほとんどDSCG(インタール)だけです。これは、有効率の問題ばかりではありません。国内から海外へ向けて抗アレルギー薬を紹介した論文が少なかったり、また欧米では吸入ステロイド薬の治療が全盛であるためです。

ステロイド薬がほとんどの喘息に効果があるのに対して、抗アレルギー薬は、全ての喘息の人に効果があるわけではありません。アレルギーがはっきりしている人に使っても最近開発された上の表3の薬で、せいぜいが5割程度です。これは、同じ喘息患者さんでも病気のしくみは、人によって少しずつ違っているためと考えられています。

ある人の喘息には、どの薬が効くのか、あらかじめわかるようになれば、もっと有効に抗アレルギー薬が使えるわけですが、いまのところ、実際に飲んでみる以外に効き目を確かめる方法はありません。

もう一つの問題は、効果があっても長続きせずに服用をやめてしまう人がいる点です。苦しい時にたちまち効果があり、楽になる発作止めと違って、長期管理薬はなかなかその効果を実感できません。漢方薬が好きな日本人でも「長く飲むほど効くくすり」という考え方はなかなか馴染まないようです。

喘息日記やピークフローの記録など客観的に効果を判定できる記録をつけると薬の効果のよい目安になります。また、患者さん自身が、なぜ予防薬が必要か?ということをきちんと知っておくことがなにより大切です。


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