蓬莱学園日記
今日こそは旧図書館に行こうと思っていたのだが、目覚めてみると部屋に煙が漂っている。魚を焼く臭いではなく、いがらっぽい、なんともいえない悪臭を伴った煙だ。
火事だ! しかも私の部屋に結構近い。大変だ。ここには貴重な魔道書こそないものの、長年の研究ノートとかは山ほどあるのだ。
とるもとりあえず、以前、錬金術研の先輩に教わった消火剤(その先輩曰く「"燃素"を吸収するから大抵の火は一発で消える」そうな)を持って、燃えている現場に行った。
さすがにこういう時は行動力のある蓬莱学園生徒は頼りになる。あるものは、バケツリレーで火に水を掛け、あるものは、どこからか調達してきた消火器や薬剤で火を消し、またあるものは一心に雨乞いをする。……最後のは雨乞い同好会の連中か。亜熱帯気候の宇津帆島じゃスコールなんて珍しくないから、蓬莱にあるクラブの中で一番無意味だといわれている連中だ。自分達の存在意義をアピールする絶好の機会だから、必死になってるな。こっちとしては火が消えてくれさえすれば良いんだから、動機なんてどうでもいいけど。
そうやって、多数の生徒が消火活動に勤しんでいるのに、火勢は弱まるどころかますます強くなっていく。こころなしか火の形が人のように見える、なんて言い出す連中まで現れる始末だ。
この火事にはなにか魔術的要素が絡んでいるのだろうか。
F1イタリアGP。
予想されていたM.シューマッハの復帰もなく、フェラーリのスタートグリッドは6番手サロ、8番手アーバインという地元とは思えないような展開だ。
しかし、29周目で突然、ぶっちぎりの1位で走行していたハッキネンが単独スピン、そのままリタイアということになる。スタンドのフェラーリファンが喜ぶことといったら。
結局、1位はフレンツェン、2位R.シューマッハ、3位にサロが入り、アーバインは6位。1ポイント獲得でハッキネンと同ポイントとなるに留まった。
フェラーリのマシンの能力は、現状ではマクラーレンのそれに遠く及ばないのは、レース展開を見ていれば良く分かるので、今回のようなことがこれから先連続して起こらない限りは、アーバインの優勝はないような気がする。
しかし、レース序盤での高木のクラッシュは酷かった。あーいうのは許されて良いのか。ペナルティとか付けるべきなんじゃないか。どっちにしろあんな事があれば最下位に落ちるのは目に見えているからペナルティに実効力がないと言ってしまえばそれまでだが。
蓬莱学園日記
依然、恵比須寮は燃え続けている。よくもまあ、こんなに燃えるものがあったものだ。
雨乞い同好会の祈りが通じたか、それとも単に予報されていた結果がそのまま起きたのか、台風がやってきた。しかし、台風に伴う大雨が降ったというのに、勢いこそ弱めたものの、火は消えようとはしない。
万事休すかと思っていたところに錬金術研の先輩から非常呼集がかかった。
昨日の推測通り、この火事には魔術的要素が絡んでいたらしい。
なんでも、宇津帆島の地下に炎神が封じられていて、今回の火事はその力が漏れ出したことによるものなんだそうだ。
本当なら神の力に我々人間などどうすることもできないはずなのだが、漏れ出しているのは力の一部だし、台風のお陰で力も弱まっている。というわけで呼集に応じた錬金術研部員全員で、封印の儀式を行った。
すると見る見るうちに炎が消えていった。おぉ、素晴らしい。
しかし、かなり強固な筈の封印が、一部とはいえ解けてしまったというのは、どうも誰か封印をわざとか知らずか解いてしまった人間がいるようだ。調べる必要があるのか。
今朝はTBSが全米オープンテニスの中継などやっていたものだから、見たくもない他局のワイドショー番組を見る羽目になった(朝は、時計代わりにテレビを点けっぱなしにしておくのだ)。
そこで、脳に先天的な疾患を持つために、生きてはいるが能動的な行動はほぼ完全にとることのできない子供を最近になって亡くした芸能人がいたらしく、その子供の生涯(とはいえ、たぶん5年にも満たないのだろう)をひたすら流しつづけていた。注意をほとんど向けていなかったので、もしかすると私の認識は間違っているかもしれない。
いつもこういう話を聞くと思うのだが、そういう子供を生かし続けることが果たして本人にとって幸せなのだろうか? もし私がその子供と同じ立場に置かれたら、この世は地獄であると感じるだろう。
そりゃあ、子供が産まれたらその子供にはどんな状態であっても長く生きて欲しいと親は思うだろうが、それは親のエゴだ。回復する見込みのない疾患によって苦しい状態に置かれたまま生き続けなければならないとしたら、それは責め苦以外のなんであろうか。親のエゴはその責め苦に子供を置きつづけることに優先してかなえられるべき事なのか。
そもそも、たとえ地獄にいたとしても続けなきゃいけないくらい、生きていくことって重要ですか? 生きたいと思ってるなら、本人にとっては重要だろう。だからといって、コミュニケーションが取れない状態の人には、無条件に責め苦を与えるのか。本当にそれで良いのか? もちろん、回復する可能性が充分あれば、話は別だ。
きっとこういう平和な状態に置かれているからこんな事を考えるのだろうけど。
現在の技術で(たぶん)ほぼ永久と言える命を得る方法がある。
ガンになって、そのガン細胞を研究用に提供し、培養してもらうのだ。本体のあなたが死んだとしても、あなたの遺伝子を持った細胞は研究室の培養槽の中でずっと生き続ける。
世界中のガン研究を行っている研究所で使われている試験用のガン細胞は、元々は一人の女性に由来しているものだという話を聞いたことがある。その女性は法的にはとっくの昔に死んだことになっているが、彼女を構成していた細胞は未だ世界中で生き続けている。
上の話とリンクするが、このガン細胞の生と、回復の見込みのない植物状態の生、両者になにか本質的な違いがあるだろうか?
蓬莱学園日記
この二日間、必死になって消火活動を行い、最後には錬金術研の先輩方と協力してなんとか火を消しとめたのだけど、自分の部屋に帰ってみたら部屋が半分なかった……。
世間的に見ればたいした貴重品はなかったのだが、学生の私には充分貴重な品々があった。それらはすべて原形も分からない焼け爛れたオブジェと化してしまった。どうもこのところ、こんな事ばかりだ。ツイてない。唯一、研究ノートはほぼ残ったのが救いだ。
いつまでもへこんでいてもしょうがないので、自力でなんとか部屋を再建しようと思ったのだが、土木研に入っているんならともかく、単なる素人の仕事だ。かろうじて残っていた壁を修復していたら、それも風に煽られて倒れてしまった。
しょうがない。部屋(というよりは恵比寿寮それ自体だ)の再建は生徒会(と土木研)になんとかしてもらうとして、無事に済んだ友人の部屋をしばらく渡り歩くことにしよう。しかし、大抵の友人は恵比寿寮に住んでいるわけだし、泊めてくれるような余裕を持った人間がいれば良いのだが。どうしようもなくなったら終夜授業にでも出てみるか。錬金術研の部室に泊まる度胸はさすがにないしな。
しかし、まさか自分がルームレスになるとは思わなかった。弁天図書館にいた彼に辛く当たるようなことをしなくて良かった。
蓬莱学園日記
恵比寿寮の復興には今しばらく時間が掛かるようで、しばらく雨露をしのぐ場所を探してさまよい歩かねばならない。
幸い、以前南部密林行で使った簡易型のテントが焼け残ったので、今日は南部密林の適当な場所でキャンプでもすることにする。
とはいえ、別に当てがあるわけでもなく、適当に歩き回っているうちにすっかり道を見失ってしまった。
なんか昔にこういう事があったような、と思っていると頭上を翼竜が通りすぎた。
デジャブを感じながら追いかけていくと、ばったりと懐かしい顔にであった。いや、別に会いたかったわけじゃない。
以前、南部密林で食料をよこせと言って私を追い回した武装テロリストの集団だ。こいつら、まだ迷ってたのか。
また同じく食料をよこせと言って襲い掛かってきたが、別に元気をなくしている風でもないところを見ると、結構南部密林に順応しているらしい。食料をよこせと言うのは、もしかして文明の味が恋しいだけなのか。
こちらだって、紳士的に接してくるのであれば、食料を分けてやらんでもないが、襲いかかってくるなら話は別だ。前と同様、一目散に逃げる。武器なんぞ持ってないのだから、逃げるより他に方法はない。
連中、しばらくの南部密林暮らしで野生の勘を取り戻したのか、以前よりしつこく追いかけてくる。
逃げて逃げて逃げまくって、ようやく撒いたかと思った時には夜が明けていた。もうへとへとだ。
しょうがない、授業に出て寝るとするか。
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今日は雨露をしのぐために、夜に旧図書館に潜ることにした。
余り室内だという感じがしないのだが、屋根があるんだから野ざらしよりはマシだろう。
いつものように、誓約書を書いて館内へ。
しばらく進むと、いきなり両親が襲い掛かってきた。まさか私を退屈な本土に連れ戻そうとしに来たのかと思い、ひたすら土下座して謝る。
頭を上げてみると何時の間にかいなくなっていたが、あれは一体なんだったのだろう?
いつものように馬券売りの男が現れたが、今度もがちがちの本命を買い、当てる。
男が去ったと思ったら、いきなりゴブリンの集団が襲い掛かってきた。
今回はまだ疲れが溜っていなかったので、なんとか撃退することができたが、もっと深いところで襲われたら、と思うとゾッとする。
ドミノ倒し状態の本棚はなんとかやり過ごせたが、次に襲い掛かって来た悪魔には、いつものように寿命を取られた。もう20年近く取られているのではないか。
地下に降りると、階段の先がいきなり底なし沼だった。
周囲には誰もいない。先ほどまでいたにやにや笑う黒猫はもういない。
もがいているうちに、植物の根のようなものが手に触れた。夢中で掴んで、それを手がかりにしてなんとか岸に這い上がった。
しばらく岸辺にへたり込んで息を整えていたら、暗がりから髪を振り乱した女の幽霊がいきなり現れ、私の足にしがみついてきた。
どうやら「こうじ、こうじ」と泣きわめいているようだ。私の名前はそんなんじゃない。完全に取り乱しているようで、話は通じそうにない。
もがいてなんとか振り切ったが、身体が重い。生気を吸い取られでもしたか。
次の思い出による精神攻撃をなんとかしのいだ時が限界だった。
疲れの余り、壁にもたれたら、どんでん返しで外に出た。……確か私は地下にいたはずなのだが。やはり旧図書館内の空間は、奇妙にねじ曲っているらしい。
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後日更新。申し訳ない。
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今日は、火事で焼けてしまった部屋の調度を買い揃えるために新町に行くことにした。
とりあえず、テレビとCDラジカセを買うために豆縞電器に行ってみるが、本土製の製品は高価い。いくら運搬に費用が掛かるといったって、メーカ希望小売価格の三倍は取り過ぎだ。ったく、豆縞のおっさんもいいかげんぼるのは止めたほうが良いと思う。
しかたないので、学園製の製品を扱っている多少怪しげな店に行ってみる。
おぉ、安い。……でも本土のディスカウントストア並みか。さっきの値段が頭にあったので、必要以上に安く感じてしまった。
しかし、BSチューナとW○WW○Wデコーダが最初から内蔵されていて、しかも契約の必要なしって、それは違法改造って奴じゃないのか。BSアンテナを買う余裕なんかないからあっても宝の持ち腐れなのだが。
そもそも、宇津帆島は放送衛星の電波コーンの中に入ってないんじゃなかろうか?
CDラジカセは、チェンジャーに二百五十枚セット可能、って奴を買ってみることにする。当然、狂科製でないことは確認する。折角再建された部屋がまた爆発したんじゃかなわない。
しかし、この本体のどこに二百五十枚もセットする余地があるんだろう? いずれにせよ、私の部屋にはそんなにCDがないから確認のしようがないんだけど。
VF-X2の1面をようやっと突破。
某攻略本の帯の言葉通り、一番辛いのは1面だと確信する。どーゆーバランス取りをしたんだ。
夜になっても洗濯物はちっとも乾いていない。
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旧図書館行。
後日更新。
午後は来週の大会に向けて足りないカードを補充するために、SofmapにUlza's Sagaのboosterを買いに行く。明らかに足りなかったCommonは揃ったが、あわよくば揃えたかったUncommonはさすがに1枚しか出なかった。1枚でも出たんだから良しとすべきか。
他にも、MacPowerや上遠野浩平と田中哲弥の作品しか読まない電撃hpの3号を買ったりする。
帰って来ると激しい頭痛に見舞われる。熱は37℃程度だが、頭痛のために眠ることもできないほど。仕方ないので鎮痛解熱剤を導入、様子を見る。
しばらく様子を見て、なんとか食事は摂れるような気がしてきたので半ば無理矢理夕食を摂って、そのまま寝る。
……2:00頃目が覚める。そのまま眠れずに4:00頃まで煩悶とすごす。
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連日の旧図書館行で無茶苦茶疲れが溜まってしまった。
しかし、これまで仕入れた情報からすると、大幅に疲れを回復する手段は、布袋通りにしかないらしい。なんてことだ。
どうしたものかと案内パンフレットをためつすがめつしていると、一つの単語が目に飛び込んできた。
「韓国式垢すり」……「韓国」!
そう、ここなら、忌々しい金の(都合により削除)どもにまったく関わりなく、サービスを受けて、その対価を支払うことができるのだ。素晴らしい。
というわけで早速出かける。
結果からいえば、充分に疲れも垢も取れた。ただ、体重の半分近い垢が取れたというのは何らかのペテンがあるに違いない。確かにそれだけの垢の量はあったし、何故か始める前に量った体重と終わった後に量った体重には倍近い差が開いていた。
しかし、そもそも垢すりの前になんでわざわざ体重を量らねばならんのだ?
まあ、それを理由に規定料金外の金を請求されるようなことはなかったので、気にしないことにしよう。
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塔に行く。後日更新。