002 会津駒ヶ岳
2月下旬、26日、27日の土曜、日曜の2日を使って会津駒ヶ岳に登ってきた。
この冬、1999年暮から2000年正月にかけて異常に雪が少なかった。1月2日に北八ヶ岳の高見石を特急あずさに乗車したが、車窓から眺める八ヶ岳も南アルプスも黒々としていた。茅野駅前もからっ風に
枯葉が舞うというていたらく。
渋の湯までバスで入り、歩き始めればコース上にはお情けの雪があって、アイゼンの感触はどうにか味わえたという程度。
だから会津駒ヶ岳も、当初予定の雪洞を掘るなんていうのは難しかろう、テントを用意して野岩鉄道の人となった。会津高原駅から乗ったタクシーの運転手さんによれば「桧枝岐は数年振りの
大雪」とのこと。半信半疑でいたのだが、滝沢橋で降ろされてびっくりした。会津駒ヶ岳へのアプローチの林道は雪に埋もれている。入口はブルに削られて、高さ2mくらいの雪壁になっている。
当初の予定は水場まで。電車の中では、明日は天気が崩れそうだから、きょうのうちに山頂を踏んできちまうかと、大胆なことを考えていた。この大雪では山頂はおろか、水場までも到達できないだろうと覚悟、ワカンを装着して出発する。
雪の壁を左からまくようにつけられているスキーのトレールを追いかける。しかし、傾斜が増してくるとスキーのトレースはジグザグになってくる。ワカンの場合は最大傾斜線に沿って真っすぐ登っていった方が早いし、安全度も高い。しかし、スキーのトレースとはいえ、トレースの上を辿った方がもぐり方が少なくて済む。ついスキーのトレースに引きずられるのだ。
一度はそれで下ノ沢へとストンと切れ落ちている雪面に入ってしまい、同行している初心者の滑落を心配してしまった。結局この日は、登山口と水場の中間あたりで行動を打ち切り、テント設営と勉強ということで雪洞を掘った。
夜半には星もまたたいていたというのに、朝は降雪の中に明けた。行けるところまで行ってみようということで登り始める。水場を過ぎ樹林帯を抜けるとだだっ広い雪原。ホワイトアウトすると道に迷う所だ。直進して駒ノ小屋の前に出る。
さて、どうする。降雪は視界を狭めてホワイトアウト一歩手前だが、幸い風が危険を感じるほど強くない。山頂をめざす。が、世界は灰色で雪面と空の境界が見えない。晴れていたって雪屁は怖いのに、こんなときは尚更だ。右に寄らないよう地図と磁石で方向を確認しながら登り続けると、先頭から声がかかった。「これ以上高い所はありません」。
右下に頂上の標識が頭だけ出ているのが見える。無雪期には潅木帯なのだろう。そこに雪が積って山頂より高いスノードームになってしまったようだ。数歩下って頂上標識をなでて会津駒ヶ岳に登頂したことを確認した。
昨年、(99年)の夏に登ったときも、けっこうひどい雨だったことを思い出しながら、記念撮影を済まして下山。いつものことながら下山のあっけないこと。桧枝岐での温泉入浴は、いつものことながらいい気分であった。