総計33編におよぶクロフツの長編作品は、「アリバイもの」を含め大きく3つの系統にわけることができる。アリバイものは「樽」「ポンスン事件」「フローテ公園の殺人」「マギル卿最後の旅」など16作品。また、オーソドックスなフーダニットの系列では「スターベルの悲劇」「二つの密室」あたりがお勧め。また、名作の呼び声高い倒叙ものの定番「クロイドン発12時30分」も必読だ。クロフツは欧米ではいまやほとんど読まれていないらしいが、日本では長編の大半(33編中31編)が訳されており、鮎川哲也や蒼井雄など、その影響を受けたと思われる作家も少なくない。おそらく世界中でいちばんこの作家を好んでいるのは日本人のようだ。ちなみに上記で紹介した作品は、いずれも東京創元社の創元推理文庫に収められている。
 
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