「はーい、止まらないでー、そのまま引いて入ってきて下さーい。」
「これは罠でーす、いいからそのまま逃げなさーい。」
若い女性のルーティーンぽい指示声に、明らかにふざけた合いの手が続いたが、特に紛糾している感じもなく、気の置けないもの同士の会話が、途中から大声になったような感じだった。
(警官男女で詰めてるのか)
…と思って、交差竹の遮断桿の奥を伺うと、小柄だがしっかりした体格の婦警が鍵を手にサンダルへ降り立ったところで、もう一人のほうはインチキスーツ姿で畳の上におり、てきとうに胡坐をかいていて「軽い」というか、どうみても警官とは思えず、表のパトチャリに二人で跨ってる様子など想像もできない。