「川の道は毎年変わるって聞くけど、本当なんですね…」「いや、変わるのは”渡る道”のほうだよ。」「川の道も変わらないわけじゃないけど、氾濫のときに海側にズレるわけだから」「あれ、じゃあ今来た道も南へずれていくんですか」…と、珠すだれ越しに入ってきたほうを伺いながら訊いてみる。
「そうよ、このハブごと移動するの。この支柱が下を跨いでるから、川の道に沿ってね」「というか、跨いでるんだから川の道のほうはズレないわけ。」「えっでも、それだと伸ばされていっちゃうんじゃ…」「渡る道が?切れちゃうって?」「ハハハ、確かに。うわぁ、大変だぁ!」「え…もしかして”たもと”も移動するのですか。」「ほかにないだろ」「一昨年は流山だったのよ。」