さて、ではいよいよ実際にワタナベ式記憶術を使って歴史年表を覚える方法について説明をしようと思う。
例として、
『1894年 日清戦争勃発』
で説明すると、
まずこの『1894』という数字を、
・19世紀
・94
と分ける。
次にこの数字を五十音に変換する。
変換方法は、まず上半分は、1世紀は『あ』、2世紀は『い』、3世紀は『う』…と変換する。この順で行くと19世紀は『て』になる。
次に下半分のほうは、1が『ア行』、2が『カ行』、3が『サ行』…と変換。これでいくと『94』は『ラ行、タ行』になる。
そして更に、まず、『て』で始まる人物を誰か考える。
この条件を満たしていれば誰でもいいのだが、ここでは『店長』という事にする。レストランで「お前では話にならん、店長を呼べ!」って言ったら出てくるようなカンジの店長をとりあえず想像しておく。
『ラ行、タ行』のほうは、1文字目がラ行、2文字目がタ行で始まる物を考える。ちょうど『裸体画』というのがラ、タで始まるのでこれにする。
そうしたら、『日清』『店長』『裸体画』を組み合わせてなんらかの情景を作り、それを頭に思い浮かべるのだ。
ここでは、『店長が日清焼きソバを喰いながら裸体画を鑑賞してニヤニヤする』という情景にする。
さて準備は完了したので、いよいよこの情景を頭に思い浮かべるのだ。前回書いたが、あくまでもこの情景を、文章ではなく映像にして思い浮かべるように。ニヤケた顔の店長が焼きソバ喰ってる所をなるべく克明に、且つ10秒程度の短時間に。
さて、この情景を思い浮かべたら、これで『日清戦争』と言ったら今の情景が再び頭に浮かぶようになるだろうから、あとはこの情景を数字に変換し直せばいいのだ。
店長さんは『て』で始まるので19世紀、裸体画は『ラ行、タ行』なので数字に戻すと94。
よって、日清戦争は1894年、と思い出す事が出来るのだ。
あとはこの変換作業を、歴史年表700項目に関して全て行って覚えればいいのだ。
…が、ワタナベ式記憶術をやろうとして挫折してしまう最大の問題がここにある。
この、数字を映像に変換する作業はとてつもなくめんどくさいのだ。一旦覚えてしまった映像を数字に変換するのはそんなにタイヘンな事でもないが、数字から映像を作る作業はとてつもなくめんどくさい上に、とにかく覚えやすい情景を作るのにそれなりのセンスが問われるのだ。
しかもこれが700項目もあれば、その手間と言ったら計り知れなく、「こんな面倒な事するくらいなら普通に覚えたほうがマシだ」となってしまう。
そこで、この覚えるべき映像が最初から用意されていれば、ただ単にその映像を覚えるだけで済むので非常にラクチンなのだが…と思うのだが、…実は自分が使ったテキストは、この覚えるべき映像が全て書かれたテキストが用意されていて、しかもその内容を録音したテープまで付いているので、やる事といえばテキストを見ながらテープを聴いてその映像を思い浮かべるだけ。しかもテープにはその映像を思い浮かべる上で重要な所まで説明されているので、その通りにやっていれば『暗記する』という感覚もないまま歴史年表を覚えられてしまうのだ。ちなみに上の例で挙げた日清戦争も、このテキストに書かれていた物。
…「それで700個の年表を覚えられるのか?」と思うだろうが、実際、3時間あるそのテープを聴き終え、どれだけ覚えているか確認してみたらそのうちの500項目ほどを覚えていて、翌日もう一度テキストを読みながらテープを聴いたら、ほぼ全てを覚えてしまっていた。
このテキスト、すさまじくオススメなのだが、どうやらもう販売されていないようなのがちょっと残念。
あと、テキストは無いのだが、英単語を映像に変換する方法もあるので、それで試しに英単語を記憶してみたが、やはりこの『英単語を映像に変換』という作業がめんどくさくて早々に挫折してしまった。
この変換作業を済ませた英単語を1500個くらい収録した本とかが出たらすげい便利だと思うし、もえたんなど問題でないくらい売れるのではないかと思うのだが、…出ないかなあ…。