きょう放送の、アップル日本法人、前刀禎明代表取締役が出演した経済最前線を見てみた。
以下、放送内容。
アップルが先月発売した携帯型の音楽プレーヤーです。
フラッシュメモリを採用し、価格は一万円程度。発売と同時に多くの若者の人気を集めています。
この新商品の仕掛人が、アップル日本法人の代表、前刀(さきとう)禎明さん、46歳です。
前刀さんは、週に一度は直営店で売れ行きや客の反応を確かめます。
前刀「もっともっと多くの人に使っていただいて、この新しい音楽の楽しみ方、これを、是非ね、実感していただいて、ほんとにもうナンバーワンのプレーヤーにしたいと思っています。」
ここ数年急拡大するデジタル音楽プレーヤーの市場には、大小さまざまな企業が参入しています。
各社は、それぞれ独自の機能や低価格を武器にシェア争いを繰り広げています。
その中で前刀さんは徹底してファッション性をアピール、女性誌に積極的に掲載を依頼し、シェア40%に繋げました。
前刀「ある物が出来ました、で、この技術面ばかりをですね、伝えていくと、人はどう思うかって言うと、『んー、なるほどね、なんかむずかしそうだな』ってのがまず最初に来てしまい、そこに少しだけ出来る事って言われても、技術から入っていってしまうと、『んーなんかむずかしそうだから、私、それがなくてもいい』という事ですよ。無くてもいいと思われたら負けなんですよ。もうそれを是非ね、自分の生活に取り入れたいとか、是非使ってみたいとか、そういう必然性を感じてもらえる事が出来たら勝ちなんですね。この差って大きいんですよ。」
── 一過性のブームに終わらせない為に、具体的にはどんな政策が必要だという感じですか?
前刀「あのー、まずですね、常にですね、こう、進化を停めない、常にこう、今の成功に甘んじる事無く、進化をしていく、新しい物にチャレンジしていく、そしてその価値の訴求をしていくって事だと思うんですよ。」
前刀「先々の事はですね、アップルって会社は言わない事になってるんですよ、申し訳ないですけれども。あの、ただ言える事は、常に期待を裏切らない、楽しい物を提供して行きたいって事で。」
前刀さんは、大手電機メーカー勤務などを経て、99年、インターネット接続会社、ライブドアを設立。接続料無料を謳い、会員を150万人にまで伸ばしました。
しかし、設備投資の負担がかさみ、業績は悪化します。
最大手の取引先が倒産した事もあり、3年前、民事再生法の適用を申請、事業を現在の経営者に譲り渡しました。
その後、アメリカのアップル本社からヘッドハントを受け、副社長に就任、デジタル音楽プレーヤーでの実績が評価され、去年10月には日本法人の代表に抜擢されたのです。
── ライブドアをご自身で事業を立ち上げられて、最終的には民事再生法の適用を受ける事になったと、この失敗の原因っていうのは、どのように分析されていますか?
前刀「いついかなる事が起きようとも、それを乗り切るだけの、あの、体力を溜めておかなきゃいけないって事は、あの、ベンチャーっていう事でギリギリで回していたって所もあってですね、不測の事態に対して準備をしておかなかったっていうのは、自分でもこれは失敗だと思いますけれども、まあ、そういう事はビジネスでは起きますからね、えー、そういった経験を如何に活かすかっていう事ですから。ですから絶対成功するって事は無いですからね、絶対って事はおそらくビジネスの世界では無くて、その成功確率をどう上げていくのかっていう事と、なんとなく、そのー、まあ、鼻が利くっていう、わからないですけれども、こう、なんか出来そうだなっていう気持ちを自分で持てるかどうかっていう、まあちょっとカンに近い部分ですけれども、そういう事がとっても大切だと思うんですよね。」
アップルは、本業のコンピューター部門で低迷が続いています。
ウィンドウズを使ったパソコンに押され、かつて30%あった日本でのシェアは、現在3%程度にまで落ち込んでいます。
状況を打開しようと、先月末に売り出したのが、本体価格5万円台のパソコンです。
得意の音楽や映像を扱うソフトを搭載し、その魅力でシェアを奪還したいというのが前刀さんの考えです。
前刀「まぁ圧倒的なマイノリティな訳ですよね。ですからその、Macを使うということが非常にこう特殊だっていうふうに、まあ、皆さんに思っていただきたくない、あの、非常に自然で楽しいという事を伝えきれるのかどうか、そこが勝負ですよね。そのiPod人気を活用して、そのMacの良さ、これをその、Macを使う事の必然性というもの、これをどこまで伝えきれるのか、どこまで皆さんに納得していただけるのかってのがチャレンジですね。」
── チャレンジャーだと思ってらっしゃいますか?
前刀「チャレンジャーで且つイノベイターって言いますかね、新しい事をそこに切り開いていくっていう感覚でやってますから、」
── 難しければ難しいほど面白いんですか?
前刀「うん、簡単に出来ちゃう事って、あんまりこう、興味が無いって言いますかね、じゃあ自分じゃなくたっていいじゃないかって。やっぱり自分なりの強みであったり、自分じゃなきゃ出来ない事、こういう事に取り組んでいく事が非常に、こう、やりがいがあると思いますね。」