キサンチン薬 (その1)

テオドールやネオフィリンなら聞いたことありますか?

最終更新日: 2004/09/05.

どんな薬?一覧表作用RTC療法副作用中毒相互作用Q&A

どんな薬?

テオフィリンというカフェインに似た物質の仲間です。薬品名としてテオドールやテオロングが有名です。他にネオフィリンも注射薬として発作時によく使われます。

もともとお茶の葉から見つかった成分ですが、古くから喘息の薬として用いられた薬草の中には、テオフィリンを含んだものがあったようです。味には特有の苦みがあります。

代表的なテオフィリンが最も良く使われるので、テオフィリン系の薬ということもできます。このページも主にテオフィリンについて説明しています。

各キサンチン薬の特徴を下にまとめてみました。

テオフィリン

代表的なキサンチン薬です。主に発作予防の目的で使われますが、発作時に数日間飲む場合もあります。徐放剤という効き目の長い製剤が良く使われています。

アミノフィリン

テオフィリンは単独では水に溶けにくいので、エチレンジアミンという成分と混ぜて溶けやすくしたものです。注射薬や座薬として発作時によく使われます。

コリンテオフィリン

血液中では、分解されてテオフィリンに変化します。約64%のテオフィリンに相当します。徐放剤はなく、現在ではあまり使われません。

ジプロフィリン

テオフィリンに比べて気管支拡張作用が1/4〜1/5と弱いため、現在ではあまり使われません。作用や副作用は程度の違いはありますが、基本的にテオフィリンと同じです。

<用語解説>徐放剤
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一覧表

現在、国内で喘息治療に使われている主なキサンチン製剤の一覧表です。

一般名 薬品名 製薬会社 剤型
テオフィリン テオドール 三菱化成・日研 錠(50、100、200mg)
顆粒・シロップ・ドライシロップ
テオロング エーザイ 錠(50、100、200mg)
顆粒
スロービッド アップジョン
ローヌローラー・住友
カプセル(100、200mg)
細粒
ユニフィル 大塚 錠(200、400mg)
アミノフィリン アミノフィリン末 各社より 粉末
ネオフィリン エーザイ 錠(100mg)
注射薬(1本250mg)
アルビナ エスエス 座薬(50、100、200、400mg)
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作用

テオフィリンには以下のような様々な作用があります。

気管支拡張作用  気管支の平滑筋をゆるめて呼吸を楽にします。
呼吸中枢刺激作用  呼吸のリズムを決める脳の中枢を刺激します。
呼吸筋増強作用  横隔膜などの呼吸に関わる筋肉の力を助けます。
強心作用  心臓の収縮力を助けます。
利尿作用  尿の出をよくして、余分な水分を排出します。
冠状動脈拡張作用  心臓へ栄養を運ぶ血管を広げます。
抗炎症作用  最近、炎症を抑える働きも見つかりました。

このうち、発作時には主に気管支の拡張作用を期待して使います。

以前からよく使われている薬のわりには、これらの作用がどんなしくみで現れるのかは、まだ十分にわかっていません。

<用語解説>気管支平滑筋横隔膜炎症
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RTC療法

テオフィリンの徐放剤(テオドール、スロービッドなど)を使った喘息発作の予防法をRTC療法といいます。約12時間作用が続く薬を1日に2回、約12時間毎に飲むことで、1日中、薬の効果を持続させて発作を予防するという方法です。

RTCとは英語の慣用句 round the clock (一日中、絶え間なくの意味)の頭文字をとったものです。

図 RTC療法

左の図は、RTC療法開始時の薬の効き目(血液中の濃度)を模式的に表したものです。

薬はきちんと12時間毎に飲んでいることとします。

飲み始めて2,3日でテオフィリンの効果は安定して、ほぼ1日中有効な濃度が保たれるようになります。

ただし、テオフィリン系薬剤の効き目には、かなりの個人差があり、同じ量を飲んでも、同じ血中濃度になるとは限りません。はじめは、ちょうど良い量をみつけるために、何度か薬の血中濃度を調べてもらうとよいでしょう。

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