キサンチン薬(その2)

最近の薬はのみやすくなりましたね。

最終更新日: 2004/08/19.

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副作用

薬の飲み始めにみられる副作用と飲みつづけてから現れるものがあります。どちらの副作用も体質的に出やすい人と出にくい人がいます。

下の表はテオフィリン製剤を服用中に少しでも出る可能性のある副作用の一覧表です。強い副作用が出てしまう患者さんは、減量したり、別の薬剤に切り替えていく必要があります。

表 テオフィリンの副作用一覧(可能性のあるもの)
過敏症 発疹、かゆみなど
精神神経 頭痛、不眠、興奮、不安、めまい、耳鳴り、手の震え・しびれ
消化器*1 悪心(気持ちが悪い)、嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛、腹部膨満感
循環器 顔面紅潮、動悸、頻脈(脈が速くなる)、顔面蒼白、不整脈
泌尿器*2 尿蛋白、頻尿(尿の回数が多い)
代謝異常*2 血清尿酸値上昇、血糖上昇、低カリウム血症
肝臓*2 GOT,GPT,ALPの上昇
その他 むくみ

*1 悪心、嘔吐、頭痛などの副作用はカフェイン様作用といわれ、薬のききめ(血中濃度)とは無関係にみられます。飲んでいるうちになれて症状が出なくなることもよくあります。

*2 これらの異常は長期間の服用の際に起こることがあります。軽ければ症状には出ませんので長期間服用する方は、定期的に血液検査をしてもらうとよいでしょう。

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テオフィリン中毒

テオフィリン系の薬剤はよく効く量と中毒症状が出てしまう量がそれほどかけ離れていないため、間違えてたくさん飲んでしまえば中毒を起す危険があります。

図 テオフィリンの濃度と効果

テオドール、スロービッドなどの徐放剤は効き目がゆっくりで、徐々に薬の血中濃度が上がっていきます。本来12時間毎に飲むもので、短時間に続けて飲むと中毒を起す危険があります。発作の時に効かないからといってテオフィリンをさらに追加して飲んだりしないで下さい。

中毒症状として、軽いものでは悪心、嘔吐、頭痛、不眠、胃部不快感(これらは中毒でなくても起きることがある)があります。さらに重症になれば不整脈(心室性期外収縮)、けいれん、更には昏睡に至ることすらあります。)

間違えて薬を飲みすぎた場合は、すぐに病院に連絡してください!

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相互作用

テオフィリンの効き目(血中濃度)は様々なものに影響されます。これらの影響で効き目が悪くなれば、発作が起きたり、逆に効き目がよくなり過ぎれば、中毒症状がでることもあります。

テオフィリンの血中濃度に影響する要因
要因 血中濃度を下げる
(効きが悪くなる)
血中濃度を上げる
(効き目を上げる)
年齢 未熟児、高齢者 小児(6ヶ月か〜17歳ぐらい)
体重 著しい肥満  
食事 高炭水化物・低蛋白食(長期間)
大量のカフェイン類
低炭水化物・高蛋白食(長期間)
大量のこげつき肉
習慣 大量の飲酒 喫煙(1日20本以上)
合併症 肝硬変
心不全・肺性心
肺炎、肺気腫など
発熱・感冒
嚢胞性繊維症
甲状腺機能亢進症

この他、テオフィリンは様々な薬の影響を受けます。普段からテオフィリン製剤を飲んでいる人は、別の医者や別の病院から薬をもらう時には、必ずテオフィリンを飲んでいますと申し出てください。

薬局で売っている薬の中には、咳止めや乗り物酔いのくすりなどテオフィリンを含んでいるものがあります。知らずに、テオフィリン製剤と一緒に飲むとのみ過ぎになる危険があります。テオフィリンを常用している人は、確認してから買うようにしてください。

さらに詳しく 血中濃度を上げる薬剤下げる薬剤テオフィリンを含む市販薬
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テオフィリンQ&A

Q.テオドールを長期間飲み続けているのですが、副作用は大丈夫でしょうか?

テオドールなどのテオフィリンの徐放剤は予防のため長期間服用するために作られた薬です。飲む期間が長いほど副作用の危険が増すわけではありません。普通の飲み方をしていて副作用が出るかどうかは、個人差が大きく、一人一人違います。1年に数回程度、血液検査をして肝障害や尿酸値の上昇などがないかチェックをしてもらうとよいでしょう。

Q.妊娠中や授乳中もこの薬を飲みつづけてだいじょうぶですか?

動物実験から妊娠の初期にテオドールを飲んでいると奇形児が生まれる確率が高くなる可能性があるといわれています(ただし、通常の使用量をはるかに超える大量投与で)。また、テオフィリンを飲んでいる母親の母乳を飲んで、子供が興奮状態になったという報告があります。ただし、妊娠中に母親が発作を繰り返すことは、薬以上に胎児に悪い影響があります。授乳の期間中に母親が発作で子供の面倒がみれないのも困ります。そこで、吸入ステロイドなどで、十分に発作がコントロールできない場合は妊婦さんや授乳中の方でもテオフィリンを使う場合があります。

Q.いつまでこの薬を飲みつづける必要がありますか?

予防を続けていて発作が起きなくなった患者さんが、いつまで薬を続ける必要があるのかは難しい問題です。現在では、まだはっきりした基準はありません。発作が起きなくても、気管支の炎症や過敏性はすぐにはなくならないからです。予防を中断してすぐに発作がおきることもありますので、いつまで続けるかは、主治医の先生とよく相談して慎重に決めてください。ちなみに、徐々によくなることが多い小児でもまったく発作がなくなっても1年から3年くらいは予防を続けたほうがよいといわれています。

Q.いやがる子供にどうやって薬を飲ませたらいいですか?

最近のテオドールドライシロップなどは、甘い味がついて、とても飲みやすくなりましたが、テオフィリン自体に特有の苦みがあり、舌触りも悪かったため、以前は飲みにくい薬でした。いやがる子供には、他の味の濃いもの、ジュースやジャム、みずあめなどを少量混ぜて飲ませてもかまいません。ただし、水分の多いものと混ぜると徐々に成分が溶け出してしまうので混ぜたらすぐに飲ませてください。また、小さなお子さんでも、だまして飲ませるのでなく、薬の重要さを教えてあげることも大切です。

<用語解説>徐放剤気管支炎症
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