二子山

 二子山西岳 1165.8m 二子山東岳 1122m
 山域:西上州

記録
 山行日1997年8月10日(日)
 ルート坂本登山口→股峠→東岳→西岳→魚尾道峠→坂本登山口
 コースタイム1315 登山口→ 1355/1400 股峠→ 1420/1425 東岳→ 1445/1455 股峠 → 1525/1545 西岳 → 1610 鎖場 → 1625 魚尾道峠 → 1700 国道 → 1705 登山口
 天候晴れ

なぜか真夏に暑い山に登りたくなった。焼け付くような太陽とアブラゼミの合唱のもと、水筒片手に汗をかきながら歩く。一つの夏の姿ではないかと思う。そして選んだのもこの時期相当暑い西上州であった。

登山口からは、沢沿いの気持ちのいい整備された歩きやすい道になり、順調な傾斜で登っていく。風が通る訳ではなくやはり蒸し暑い。30分ほど登ると沢は涸沢となり二股となる。その間の尾根を登ったところのローソク岩の分岐からは傾斜も急になり一段と汗も吹き出すところだ。振り返ると大きい両神山に励まされて登れば、上方にさす光もだんだん低くなり稜線が近づいてくる。道も緩やかになって、再度ローソク岩への道を分けるとすぐに股峠に到着した。
東岳へは滑りやすい湿った土の道を急登した後、すぐに岩の登りになる。途中ロープを張ってあるあたりから少しの間は足場が狭く切り立った岩を登って行くので注意が必要である。ここを登り切ると傾斜も緩やかになり頂上にかなと思ったら、山頂は岩稜の先の方にまだまだ聳えていた。ここから少し薮のある岩稜歩きとなりスリップに注意して進む。岩の間からニッコウキスゲが時々咲いているが、もう花も終わりのようだ。振り返れば、西岳の垂直の壁が迫力があり、また両神山が大きい。
山頂は狭く、陽射しが石灰石の岩の山頂に照りつけ、風も隠れる場所も無く非常に暑い。容赦の無い暑さにすぐ頂上を退散し、来た道を引き返す。下りは視点も違うので正しい道を失いやすく、より慎重に歩く必要がある。
西岳へは直登と巻道と2つある様だが、巻道の方を進む。傾斜のきつい土の登山道であり、岩は途中1ヶ所の乗り越しと、最後の稜線に出るところでつかむくらいだ。山頂は稜線に出てから西北の方にいくらか岩を越していった所で、今度は脇に日陰があり休憩できた。
このあたりは、展望の稜線でもあり眺めは爽快である。南は両神山が大きく、北には御荷鉾が見え、また東岳は意外と低い。魚尾道峠に向かって歩き出すころには、だいぶ日も傾き少し涼しくなってきた。石灰岩の岩稜の登降が連続する道で、巻くよりも忠実に越えて行くのが正しい様だ。黄色いペンキを拾いながら慎重に進む。石灰岩の稜線はたくさん穴のあいた岩など出てきて面白い。目の前に立ちふさがる岩を次々と越えていき、やがて最後の岩の向こうに叶山のすでに平坦になってしまった頂上が見えてきた。叶山の岩はまだまだ下に続いており、採掘されさらに短くなってしまうのだろう。垂直な鎖場が出てきたのでぶら下がるように降り、ここから土の道に戻った。
魚尾道峠から嘗て叶山方面へ峠道は下った様だが、通行禁止の看板が出てかすかな道型はすでに薮に覆われている。昭和57年のことだから15年前のことだ。志賀坂峠方面に進み、稜線が登りにかかるところで左に折れ、あとはひたすら歩き易い峠道を下る。途中送電線の鉄塔の切り開きがあり、ここから二子山の全景がながめられた。西に傾いた陽の斜光が、岩肌を照らし出しており壮観であった。国道への出口は二子山への道標とともに、叶山開発のため通行禁止の看板があり、丸太でとうせんぼがしてあった。武甲山や叶山を見ているとこのあたりの岩峰にいつか触手が伸びやしないかと心配になってしまう。そしてこの魚尾道峠への道も歩きやすい峠道で、いつまでも歩き継がれて欲しい道だった。


参考図書・地図
マイカー登山・ベスト周遊コース(1994年6月第5版)
25000図 両神山
50000図 万場

国道からの二子山
その他のコース
股峠へは、反対側の長沢からも登ることができます。
交通機関
西武秩父駅より西武観光バス「小鹿野車庫」行き「小鹿野役場」乗換え、小鹿野町営バス「坂本」行き終点下車。
詳細時刻は、いずれも西武バスで検索可能です。


Nifty FYAMA 投稿文

二子山 暑いけど楽しい

今の時期の西上州は暑い。以前兜岩山に行って、水の欠乏で敗退したことも記憶している。しかし、山には夏の顔もあり、とっても暑い中、水をどんどん飲んで汗をいっぱいかきながら登るのも、また夏ではないか....という変な理屈で、二子山に向かったのでした。
涼しい山は遠くて長くて日帰りには向かないのです。

【日 程】97年8月10日(日)
【目 的】二子山
【天 候】晴れ
【コース】1315 民宿登人前登山口→ 1355/1400 股峠→ 1420/1425 東岳→
     1445/1455 股峠 → 1525/1545 西岳 → 1610 鎖場 → 1625 魚尾道峠
     → 1630 志賀坂峠への分岐 → 1700 国道 → 1705 民宿前登山口
【山 名】二子山 西岳 1165.6m 東岳1122m
【メンバー 】単独
【山 域】西上州 (299号の北は西上州?)
【参考書】マイカー登山・ベスト周遊コース「東京周辺」
1.登山口まで

昨日もいい天気だったが、準備していないので行きそびれた。今日もいい天気だが、前日の夜遊びがたたり起床が8時。でも2日続けて好天をやりすごすと後で大変後悔するので、ガイドブックを持って9時半ごろ家を飛び出した。とりあえず目的地は歩行時間がすくなく、かつとても楽しめそうな二子山。天気にいい日の山も久しぶりで楽しみである。
高速道路は帰省ラッシュの渋滞が始まっており、いくら焦っても15km渋滞。花園インターから皆野、吉田と過ぎて登山口へ向かう。途中武甲山の切り通しを正面からみる。また、今日は叶山を近くに見るはずである。山は削ってほしくないのだが....

2.股峠から東岳へ

登山口から道は順調にある程度の傾斜をもって登っていく。しばらく沢沿いに登るので、涼しげで気持ちいい道なのだが、風が通る訳でもなく、やはり暑いものは暑い。登山道自体はよく整備された本当にいい道で歩きやすい。30分ほど登ると、やがて沢は涸れた沢となり、二股となる。その間の尾根を登って行くと、すぐにローソク岩の分岐がある。ここからは傾斜も急になり一段と汗も吹き出すところだが、振り返ると大きな両神山に励まされて登れば、前方の光もだんだん低くなり稜線が近づいてくる。道も緩やかになって、再度ローソク岩への道を分けるとすぐに股峠に到着した。
股峠で少し腰をおろして休憩する。日陰ではあるが無風で蚊もいるみたいで、ちょっと不快ではある。ザックは背あてのない簡単な袋状のものを持ってきたが、大量にでた背中の汗が荷物の中までしみ通った様で、ガイドブックがゴワゴワになり、ページがくっついてめくれなくなってしまった。
東岳へは、最初滑りやすい湿った土の道を急登し、すぐに岩の急登になる。途中ロープを張ってあるあたりから、少しの間は足場が狭く切り立った岩を登って行くので注意が必要である。この部分が東岳への唯一の危険箇所のようだ。ここを登り切ると傾斜も緩やかになり頂上に出たと思ったら、山頂は岩稜の先の方にまだまだ聳えていた。ここからは、少し薮っぽい岩稜歩きとなる。注意して歩けば大丈夫だが、スリップすると落ちてしまう可能性もあり慎重に歩く。岩の間からニッコウキスゲが時々咲いているが、もう花も終わりのようだ。振り返れば、西岳の垂直の壁が迫力があり、また両神山が大きい。
山頂は狭く、陽射しが石灰石の岩の山頂に照りつけ、風も無く隠れる場所も無く、非常に暑い。容赦の無い暑さにすぐ頂上を退散し、来た道を引き返す。寒くて、頂上をすぐ引き払うのは良くあるが、暑くてというのは初めてだ。
もと来た道を引き返すが、岩稜は巻道や岩の上の道がどうも入り乱れて、来るときとは時々違う道を通ったようだ。特に、ロープのあった危険箇所のあたりは、ホールドとスタンスを探りながら岩を下ったが、こんなに厳しくなかったはず..と思っていると、いつのまにかロープの所は通り過ぎて、別の場所から岩を直に下って来たということだった。
でもこのへんが、ただ暑いだけでなく、なかなか楽しめていい山である。

3.西岳から稜線歩き

股峠から今度は西岳に登る。西岳には直登と巻道と2つある様だが、直登らしき所の入り口は薮が被さっており、巻道の方を進む。この道は岩を歩くというよりは、傾斜のきつい普通の土の登山道である。途中1ヶ所岩を乗り越える所があるのと、最後に稜線に出るところで岩をつかむくらいだ。しかし、北面の日陰の岩にさわるとひんやりして気持ちがいい。
稜線に出ると、男性が休んでいたので、写真を撮ってもらい少し話しをする。特に予定していなかったが、何かのついでに二子山に登られたらしい。山頂は稜線に出てから西北の方にいくらか岩を越していった所で、今度は少し下ったあたりに日陰があり、休憩できた。
このあたりは、展望の稜線でもあり眺めは爽快である。やはり両神山がメインである。北に見えるのは御荷鉾だろうか。東岳は意外と低く見える。
さて、ここから魚尾道峠に向かう。だいぶ日も傾き、少し涼しくなってきた。岩稜の登降が連続し、小さなピークを越えながら進む。巻くよりも忠実に越えて行くのが正解の様だ。黄色いペンキを時々拾いながら、慎重に進む。稜線の石灰岩の岩は時々、たくさん穴のあいた岩など出てきて面白い。
大きな危険箇所はないが、薮まじりの岩稜なので、道を失わないことには充分注意した。この時間になって、失っては大変なのである。目の前に立ちふさがっていた岩を次々と越えていき、やがて最後の岩の向こうに叶山のすでに平坦になってしまった頂上が見えてきた。最後の岩まで行くと、叶山の岩はまだまだ下に続いているのがわかる。まだまだ短くなってしまうのだろう。
最後の岩を下ると、垂直な鎖場が出てきたのでぶら下がるように降り、ここから土の道に戻った。
しばらく歩いてローソク岩の分岐、そして魚尾道峠。ここから叶山方面へ峠道は下った様だが、通行禁止の看板が出て、かすかな道型はすでに薮に覆われている。昭和57年のことだから、15年前のことだ。
志賀坂峠方面に進み、道が登りにかかるところで左に折れて、あとはひたすら歩き易い峠道を下る。途中送電線の鉄塔の切り開きがあり、ここから二子山の全景がながめられた。西に傾いた陽の斜光が、岩肌をメリハリを付けて照らし出しており壮観であった。二子山は眺めても素晴らしいし、歩いても楽しい山であった。
最後に国道に出るが、そこには二子山への道標とともに、叶山開発のため通行禁止の看板があり、丸太でとうせんぼがしてあった。
でも、この道はなかなか楽しい道なので、いつまでも歩かれて欲しい道である。



出発が遅いのは、褒められたものではありません。二子山は4時間のコースですが、その時間以上に充実したコースでした。
しかし、武甲山や叶山を見ているとこのあたりの岩峰にいつか触手が伸びやしないかと心配になってしまいます。この魚尾道峠への道も歩きやすい峠道で、歩き継がれて欲しい道でした。