諏訪山

 諏訪山 1549.6m ヤツウチグラ 1490m
 山域:西上州

記録
 山行日2014年5月31日(土)
 ルート楢原登山口→湯ノ沢ノ頭→ヤツウチグラ→諏訪山(往復)
 コースタイム0856 楢原登山口 → 0936 稜線上 → 1029/54 湯ノ沢ノ頭 → 1133避難小屋 → 1206/28 ヤツウチグラ → 1253/1339 諏訪山 → 1402/07 ヤツウチグラ → 1511/32 湯ノ沢ノ頭 → 1611 稜線下降点 → 1640 楢原登山口
 天候晴れ時々曇り

諏訪山は、西上州の最奥の寂峰と言われています。深い森と奥まった山頂までの長い道というイメージです。上野村は、新町駅からバスで100以上の停留所を経て到着する場所でもあります。また、この場所は昭和60年の日航機墜落現場の御巣鷹の尾根もそう遠くありません。今回は日帰りでかつしっかりと歩ける所ということで、週末登山に長年気になっていたこの山を選びました。

1.楢原登山口へ

上野村へナビは下仁田インターからの道を指示していましたが、秩父から志賀坂峠を越える道を選択しました。小鹿野を通り二子山の麓の秩父最奥の集落である坂本を通ると、路上に鹿が車に撥ねられたのか横たわっていました。志賀坂トンネルを越え、間物の集落を過ぎ、神流川に至るあたりは、かつて秩父の風景を楽しみに、坂本〜諏訪山〜立処山と歩いて越えた道であり、懐かしく感じます。今日はもう一つの諏訪山を目指し、神流川に沿って上野村に向います。楢原トンネルを過ぎると左手に登山口へとつながる林道があり、これをしばらく登るとお寺のお堂がある登山口に着きました。諏訪山への道の途中までは、このお寺が修験道として使っているようです。車は2台ほど止められるようでした。

2.諏訪山

登山口の標識には頂上まで5864mとあります。やけに細かいのですが、正確に測ったということでしょうか?山道に入りまずはお堂の裏にある堰堤を越えます。あとは、しばらくは沢の左岸に沿った道が続きましたが、途中、この陽気でもまだ広く雪が残っている場所があり、改めて今年の雪の多さを思い起こしました。道はやがて沢から離れ、左岸の斜面を折り返しながら登っていきました。ある程度高度を上げると、突端にお堂のある小尾根に出て、これを絡みながらジグザグに高度を上げていきます。このあたり、道は歩きやすい傾斜に整備されストレスを感じません。あたりは初夏の明るい森で気分の良い登高です。道は折り返しをやめ、右に向けて斜面を一直線に進み、主稜線に出ました。諏訪山に向けての道標がありました。
主稜線に出ても歩き易い道が続きました。小倉山の左側を巻いて道がつけられていますが、あまり傾斜を感じないような緩やかな登りで進んでいきます。小倉山のエリアを越えると、祠のある鞍部から稜線の右側に出ます。そして、岩と祠のある場所から稜線は左に曲がり、このあたりはまだヤマツツジが咲いていました。季節的にはそろそろ最後のようでした。再び尾根は右に曲がって、お堂のある場所から2段の梯子の下りで稜線の岩を巻き、しばらく進むと浜平からの道を合わせる湯ノ沢ノ頭に到着。歩き易い為か、休まず歩いて来たので、今日はじめての休憩としました。
道はずっと落葉樹の美しい初夏の森であり、湯ノ沢ノ頭あたりにはブナの木も現れました。あたりはエゾハルゼミと思われる蝉の合唱が響き渡り、静かな山の雰囲気を増しています。ただ、このあたりから小蝿が多いのが気になり始めました。
湯ノ沢ノ頭まではピークを尽く巻いてきましたが、ここを過ぎると稜線も狭くなってくるためか、一部のピークは越えて行くようになり、多少アップダウンも出て山道らしくなってきました。しかし、あくまでも基本は巻きで進んでいき、そのうち明確に傾斜を感じるようになってきました。やがて、破れたトタンで囲われただけの避難小屋を過ぎるあたりから本格的な登りとなります。
正面に岩峰が見えてきました。ヤツウチグラへの登りに入ったようです。急登を行くと2段の梯子が現れます。これを登りきると背後にいままで歩いて来た尾根や遠望の利くところに出ました。梯子の上の急登をこなしてヤツウチグラに着いたと思ったのですが、登ると目の前にもう一つの岩峰がありました。こういう誤算はショックです。最初の岩峰はピークの下から再び下り、本当のヤツウチグラの登りに入ります。眼前に大きな岩場が見えているのでどうやって登るのだろうと思ってしまいます。小さな鞍部から少し登ると、岩の下部を短い梯子で少し上がります。岩場はそこまでで、樹下の巻き道が右に伸び、そのまま右から背後に回り込むような形になりました。そして、最後に山頂部の岩角を掴む急登を登ると三笠山山頂の標識と祠のあるヤツウチグラでした。
山頂は360度の展望がありますが、狭い山頂に大きな祠が陣取っているため、周囲を移動しながら眺める形になります。乙父沢を挟んで対岸となる帳付山の稜線が一番の眺めです。その稜線の向こうに両神山の山頂部が見え隠れしています。ちょっと霞んだ陽気になっているため遠望が利かないのが残念ですが、妙義や浅間方向も開けているので、澄んでいれば楽しめることと思います。西側は歩く人の少ない上信国境南部の稜線が間近にあります日航機の墜落した地点は、さらに南の諏訪山の山頂の向こう側くらいになると思われますが、いずれにしても距離は近くです。しばらく日当りのいい岩峰で展望を楽しみましたが、本当に蝿が多く閉口しました。 山頂からさらに鞍部に下る道はかなりの急下降で最後はロープを掴んで岩溝にスタンスを探して下る形になりました。諏訪山への登りは全くの暗い森の中になります。少しの間急な斜面を登ると、平坦な山頂部の一角に出て稜線上の揺るやかなアップダウンになります。周囲にはシャクナゲが咲いていましたが、花ももう終わりのようでした。さらにもう一段僅かに登ると再び平坦になり小さな石祠があります。これを過ぎると突然のように三角点があらわれ、山頂に着いてしまったのには、少し意表を付かれました。そろそろ山頂だぞという雰囲気を感じないで着いてしまったものですから….
山頂は樹林に覆われていて、暗い感じの場所でした。ここでもエゾハルゼミの合唱がある傍ら、大小のハエが飛び交っていました。今日は、山頂で山ご飯とするつもりでしたので、豚肉と野菜とヤキソバを持ってきていましたから、料理に取り掛かったのですが、このハエの大群はかなり鬱陶しく、さっさと済ませて早々に片付けることとなり慌しい感じでした。山頂にいる間に2人のハイカーが到着し、引き返していった以外は他に誰もいませんでした。

3.下山

帰路は往路を忠実に辿ることになりますが、途中避難小屋のあたりで少しだけ小尾根に引き込まれそうになりました。踏み跡が乱れていたので、時々入ってしまう人がいるのでしょう。あとは湯ノ沢ノ頭を過ぎるまでは、とにかく小さなハエがずっとホバリングしてまとわりついています。ネットで調べるとヒゲブトコバエ(クロメマトイ)というようです。これは、カメラのレンズにも寄ってくるので、写真を写そうとすると写りこんでしまうので大変鬱陶しいのです。目の前で度々叩きに行って数匹つぶしましたが、帽子のツバも叩いてしまうのでさらに鬱陶しいのです。五月蝿いという言葉はまさにこのことでしょう。今日は丁度五月末です。
下山途中湯ノ沢ノ頭で休憩しましたが、時間的なものか、エゾハルゼミの合唱は途絶え、とても森閑とした森になっていました。湯ノ沢ノ頭から先は歩きやすくなるので、一気に下ったわけですが、行きは傾斜が殆どないと思っていた道も、下ってみるとそこそこ傾斜があったので不思議でした。傾斜を感じないくらいのスピードで歩いていたということかもしれません。コースタイム以上に時間もかかりすぎという感じもありました。

下山後は、浜平鉱泉(しおじの湯)に立ち寄りました。帰路は道の駅にしろ、普通の店にしろ、沿線の商店は店仕舞いをしたあとだったので、このあたり一帯は夜が早いようです。帰路テレビではこの日御巣鷹の尾根への登山が雪のため一ヶ月遅れで今日解禁されたと放送していました。奇しくもちょうど同じ日に近くの山に登っていたと考えると不思議な感じでした。帰りはそのまま神流川沿いに下り、本庄児玉インターから関越に乗りました。

本文中の写真

  • 初夏の広葉樹林の登山道
  • 小倉山を巻き終えた鞍部で
  • ヤツウチグラの岩峰
  • ヤツウチグラ山頂
  • ヤツウチグラから見る帳付山の稜線
  • 諏訪山への登りにあった石楠花
  • 樹林に囲まれた諏訪山山頂

  • 参考図書・地図
    昭文社エアリアマップ 西上州・妙義(1995年版)
    25000図 浜平 十石峠
    50000図 十石峠

    ヤツウチグラから見る諏訪山山頂部
    その他のコース
    浜平〜湯ノ沢ノ頭〜諏訪山
     浜平コースの方が、駐車場が広くかつ温泉があり、
     良く歩かれているようです。
    交通機関
    新町駅より日本中央バス奥多野線「上野村ふれあい館」行きを利用
    詳細時刻は、日本中央バスをご参照ください。