千葉の山を歩くには季節外れではあるが、ぽっかりと空いた休日に無性に夏を感じて歩きたいと思ったので千葉でも南に位置する御殿山まで出かけた。このあたりは千葉南部の嶺岡山系に属し、北の清澄山系と比べて明るい伸びやかな山域である。
木更津より清和県民の森を経由して410号線を南下、御殿山の登山口のある林道畑塩井戸線へと向かう。林道に入るとまもなく道がせまくなり舗装もとぎれてしまったので広くなったところに車を止め歩くことにする。歩き始めると再び道が少し広くなり舗装路に戻ったが今日は少し歩きたい気分でもあるのでそのまま進む。谷を大きく回り込むように延びていく林道のまわりはツクツクボウシの鳴き声で埋め尽くされ、夏も終わりであろうかと感じる。風も気持ちよく、照りつける様な陽射しはすでにない。法経塔山への登り口はそれらしい感じはあったが、背丈を越えるススキの薮に埋め尽くされている。樹林に下に入れば大丈夫だろうと思い、思いきり体を押しつけるように入っていった。
5〜6メートル進むと樹林の下の踏まれた道となったが蜘蛛の巣が多く時折顔に張り付く。しばらく登ると左手に別れて上がって行くわずかな踏み跡があったのでそれを辿ると法経塔山の山頂に出た。法経塔山の山頂は遠くからでもそれとわかる、マテバシイの大木の樹冠になっており、立派な石塔がある。展望はなく大樹の下の暗い広場だ。しばらく休憩する。
法経塔山から御殿山の方向へねらいを定めて少し進んでみるが、薮は深まるばかりで踏み跡がなく、もとの道から山頂へ分岐してきた地点に戻り、その道を直進すると踏み跡がありこれが正解だった。所々倒木で道が被されたり、薮に覆われたりするところもあるが、それらしい道はついており歩くことはできる。薮っぽい道をしばらく進むと草に覆われた車道にでた。ガイドブックによるとさらに稜線を進むようになっているが右手に車道を下り、一旦林道にでて正規のハイキングコースの入り口へまわることにする。林道に出て少し進むと御殿山の登山口だ。ここからは遊歩道のように整備された道になった。
階段を登ると、すぐに再び稜線にでて、法経塔山からの踏み跡と合流し、広々と整備された稜線歩きとなる。道を整備してくれる人に頭が下がる思いだ。途中開けた所から、伊予ヶ岳や富山がよく見える。また反対側に御殿山の特徴ある姿がせまってくる。御殿山は頂上がマテバシイの樹冠になっており、遠望すると乳首のようですぐに見分けられる。セミが多いのか、飛んできたセミが時折体にぶつかるほどだった。階段の急登を一登りしベンチのあるピークへ。今の時期、薮が育っているため展望はあまりよくない。御殿山へは大きく一旦下ったあと、再び階段の急登を登りかえす。急登を登り切ると緩やかな登りになり、両側に植えられた椿のトンネルを行くようになるとまもなく山頂に到着。明るい伸びやかな山頂で、2つの石の祠と三等三角点がある。そしてなんといっても圧巻は5本のシイの木だ。5つを併せて大きな丸い山頂を作っている。展望は鴨川の海と、伊予ヶ岳や富山がやはり特徴もあり近いのではっきり見える。頂上付近にあるあずま屋でのんびり休憩した。
帰路、もときた道を、時折御殿山をじっくり振り返って満足感を得ながら林道に向かった。あとは蝉時雨のなか林道をゆっくりと下った。
御殿山