鋸山

 

 鋸山 329.5m
 山域:房総

記録
 山行日1995年10月8日(日)
 ルート保田→採石場→鋸山→展望台→日本寺→保田
 コースタイム1135保田の奥→1155登山口→1318/1235鋸山三角点→1352パラポラアンテナ→1400鋸山展望台→1415/1430大仏→1510駐車地点
 天候

このところ休日が連続して雨である。そうなるとなんとかどこかに行きたいと思ってガイドブックをめくってみた。3冊ほど見たところで鋸山に目をつけた。鋸山の展望台はロープウェイで行ったことはあるが、三角点の置かれた山頂はさらに東の稜線上にあり、踏み跡程度の道がついているらしい。少々の薮歩きと三角点を見定めることを目的として雨中車を走らせた。

館山道の、回りの車の水しぶきでよく前が見えないほどの雨の中で、山へ行こうとしている自分を不思議に思った。浜金谷から見上げる鋸山は中腹から上が雲の中である。保田の奥に車を停め、鋸山ダムを経て採石場を目指して車道を歩くが、湖の回りでは鳥の鳴き声が響渡っており雨中であろうとも自然の営みは変わらずいいもんだと思った。採石場を過ぎると間もなく薮に覆われた入り口がみつかった。
小沢沿いに歩きやすい方を求め右岸・左岸と折り返しながら奥へと踏み入って行く。踏み跡とテープがところどころ残されており安心ではあるが、道は草や倒木に覆われており解りにくい。2〜3度道を失いながらも奥に進むと急斜面になり、岩が階段状のステップになっている所を登っていく。登りきると左へ回り込みまた折り返す。ここは道がはっきりしているので稜線にでたかと思ったものの、そうではなく広い真っ暗な碁盤の目に整然と植えられた植林地に入ってしまった。踏み跡がなく右往左往するが、正面に見える高みを目指して林を横断すると再び赤テープを発見し無事稜線の縦走路に出られた。
縦走路は比較的はっきりした道で、狭いものの今までの暗い樹林からの変化は開放的に感じられる。前の台風によるものなのか、岩の尾根上に生えていた大木が、何本もねこそぎ倒れているの出会う。急登になり、広い樹林のピークに登りつくが、ここはまだ山頂ではなく左に降りている踏み跡にそって行き、しばらく樹林の中を進んで再度急登になると明るい頂上に飛び出した。
頂上は、誰かがとりつけたらしい山名板がかかっており、一等三角点が鎮座している。展望は霧の中なのでよく解らないがあまり良くなさそうだ。幸い雨は小雨になっているのでゴアを脱いで座り込む。迷わないようにルートを探しつつ気を遣いながら、たどり着いた頂上は雨でもまた格別なのであった。
下山はさらに西へと道を辿っていく。しばらくすると右に金谷に降りる道が別れ、東電の巡視路の矢印入りの看板が出てくる。順次出てくるので逆に辿りながら歩いていく。突然ブオオオオーと霧笛が響きわたる。浜金谷のフェリーのものだろう。やがてアンテナの脇を通り、さらに下ると日本寺の大仏と展望台を結ぶ階段の途中に飛び出した。出口には「立入禁止」の看板と東電巡視路の矢印看板がかかっていた。
鋸山の展望台の一角に登ってみるが、霧一色の中ではさすがにだれもいず、なにも見えない。そのうちロープウエイが着いたのか人がたくさん登ってきた。バス観光の団体みたいだった。 再び雨も激しくなり寒くなったので、保田の方に降り、車を停めた場所まで歩いて行く。雨の中を歩くのも気持ちがいいものである。

この約1年後やはり同じコースを歩いてみた。採石場から稜線に上り詰めた箇所が意外に明るかったのでまわりを見渡してみるとなんと反対方向から舗装された林道が上がって来ていてちょっとがっかりした。また日本寺に降りたら広大な駐車場と広い舗装道路ができていてしみじみ雨の中の狭い車道をあるいた昨年とは全くイメージが変わってしまった。日に日に房総の山の雰囲気は変わりつつあるが一つ一つ山の情緒が消えていくのは寂しいものである。


参考図書・地図
分県ガイド 千葉県の山(1994年11月初版)
25000図 保田
50000図 那古

鋸山の三角点
その他のコース
浜金谷駅〜車力道〜稜線〜鋸山
浜金谷駅〜観月台〜石切場〜稜線〜鋸山
保田駅〜日本寺〜展望台〜石切場〜鋸山
日本寺の域内を通行すると有料となります。
現在は以前のように藪を漕ぐ事無く、山頂までの一般道があります。
交通機関
駅から歩ける範囲です。バス利用はありません。


Nifty FYAMA 投稿文

千葉の山:鋸山三角点へ

また日曜日が雨なのである。どこかに行こうと思って朝起きても、ちょっと出にくい。とりあえず、服は着てみたものの迷いながらガイドブックをパラパラめくる。3冊くらい見たところで、よしこれだと思ったのが、千葉の鋸山であった。
鋸山ってあのロープウェイのある観光地?ってお思いになるでしょうが、その通り!但しである。私は以前ヤマケイの「東京周辺ワンデイハイク」の鋸山の頁をみて、そこに書いてある文(以下引用)
「三角点が置かれた山頂は、さらに東の稜線上である。三角点までは踏み跡程度の道がついているが、初心者はもちろんのこと山慣れた人でも入らないようにしたい。」
を読んだとき、何をこしゃくな。たかが鋸山のくせに。行ってやろうじゃねえか。とアマノジャクな私は考えた。その後ヤマケイの分県ガイドの千葉県の山に三角点への行き方が詳しくでていたので、いつか行ってやろうと暖めていたのである。
以下3時間強の雨中山行の報告です。ご興味のある方はお付き合い下さい。(たかだか鋸山なのに少々長いデス。)

【日 程】 95年10月8日(日)
【目 的】 鋸山三角点
【天 候】 雨
【コース】 1135保田の奥に路上駐車→1155登山口→1200ころ稜線→1318/1235鋸山三角点→
      1352パラポラアンテナ→1400鋸山展望台→1415/1430大仏→1510駐車地点
【山 名】 鋸山 329.5m
【メンバー 】 単独
【山 域】 房総
【参考書】 ヤマケイ・分県登山ガイド 千葉県の山

1.登山口まで(千葉〜保田)

千葉を出発した時は小雨。館山道を南下していく。今年出来た道だが便利になったものである。市原あたりから雨が激しく、回りの車の水しぶきでよく前が見えなくなる。こんな時に山へ行こうとしている私はアホだと思う。
浜金谷着。鋸山は中腹から上が雲の中。やっぱりね。
車を途中の建設中の高速道路の高架下に置き、鋸山ダムを経て採石場を目指す。湖の回りで鳥の鳴き声が響渡っている。雨でも山はいいもんだと思う。
採石場に入り、左よりにショベルやダンプの脇を通ると、未舗装の道に入る間もなくガイドブックに書いてある通りの所に入口が見つかる。(最初のカーブミラーの手前のカーブに、左からはいって来ている沢が入口である。)入口からいきなり籔である。

2.稜線へ

小さな沢沿いに奥へと踏み行って行く。何度も歩きやすい方を求めへ右岸・左岸を折り返す。といっても幅50cmくらいだからたいしたことではない。左の方が広く開けた所にでて少し迷うが、踏み跡はまっすぐみたいなので、直進する。踏み跡といっても、草や倒木に覆われておりわかりにくい。時々赤テープが出てくるので安心する。2〜3度道がわからなくなり立ち止まるが、そのうち斜面が急になり、岩が階段状のステップになっている所を通過する。どうしてこんなステップができているか不思議だ。自然に出来たようにも見えるが、ちょっと整然としている感じもする。登りきると、道は左へ回り込み、そして右に折り返していく。この道はいままでと違ってやたらはっきりしているので、稜線にでたかと思ったが、そうではなかった。
右に折り返した所は正面が広い植林帯になっている。碁盤の目に整然と植えられた真っ暗な植林地である。左右どちらかに行くのかと思って探すが、それらしい踏み跡はない。暗い植林地を右往左往するが、方向がよくわからない。きっちり植えられてる暗い杉林のなかを歩くのは、ウィザードリィーを線画モードでやっているようで、少々気味が悪い。
やっぱり良くわからないので、ガイドブックをこまめに読んで謎解きにかかる。「・・・杉林の一角に立つ。日の差し込まない薄暗い杉林を、尾根上の縦走路めがけて登る。」とある。ということは、ここよりも高い所か、と思って杉林に入った所から丁度正面に見える高みを目指して林を横断する。ここが林の反対側の境界でうろうろしていると、赤テープを発見!謎解きRPGのようで楽しいのである。(道が見つかればの話だが....)ここから、左に折れ、稜線の縦走路となる。

3.縦走〜山頂

やがて比較的はっきりした道になり、赤テープはなくなる。間もなく狭くて明るい尾根道を歩く様になり、樹林の中から、日差しの下にでる(といっても今日は雨の中にでたのであるが....)明るい部分は蜘蛛の成果物がやたら多く、払いながら歩く。今日は巣に水滴がついて、引っかかる前に発見できるのである。(たくさんのジョロウ蜘蛛さんゴメンナサイ)それも長くは続かず、樹林の中を歩いていくと、狭い岩の尾根上に生えていた大木が、何本もねこそぎ倒れているあたりに出会う。前の台風で倒れたのであろうか。岩の上に乗っている土の上で大きく成長した木々である。まだ倒れて新しい。そこから急登になり、5分ほどで広い樹林のピークに登りつく。ガイドブックには急登を2回と書いてあるので、ここはまだ山頂ではない。広いピークなのでどちらに行くか一瞬迷うが、左に進むと踏み跡が降りているのでそちらへ向かう。さらに、少々折り返しながら、樹林の中を進むと、再度急登(といっても1回目より緩やか)になり、突然明るい頂上に飛び出す。
頂上は、最近とりつけたらしい山名板がかかっている。1等三角点なのである。展望は霧の中なので、よくわからない。幸い雨は小雨になっているのでゴアを脱いで座り込む。今日はカメラを忘れてきたので証拠を残せなかったのがちょっと残念であるが、迷わないように気を使いながら、たどり着いた頂上は雨でもまた格別なのであった。

4.下山

雨でもあり、長居してもしかたがないので、降りることにする。
しばらく降りていくと、なんと看板がある。赤テープ以来の人工物である。東電の巡視路の矢印入りの看板である。これがたくさんかかっていて、逆に辿りながら歩いていく。急斜面には簡単な階段までこしらえてある。もう楽勝なのである。そのうち下品な落書きを書いた電柱まで出てきた。突然ブオオオオーと霧笛が響きわたる。浜金谷のフェリーのものだろう。
やがて、パラポラアンテナの脇を通り、さらに下って、鋸山観光の人の為の階段の途中に飛び出す。この階段は、日本寺の大仏から地獄のぞきに至る階段で、飛び出してきた出口には、下に「立入禁止」の看板があり、上に東電の巡視路の矢印看板がある。こちらからだと、あまり苦労せず三角点に立てそうだ。
階段を上にあがるとすぐに、鋸山の展望台の一角に出る。さすがにだれもいない。景色も霧一色だ。なにも見えない。こんな日に誰も来ないよな、と思ってぶらぶらしているとドヤドヤと人がロープウェイの方から登ってきた。バス観光の団体みたいだ。雨の日にご苦労さんである。
再び階段を降りて大仏をじっくり見て休憩。岩をけずってつくった大仏はデカイ。一見の価値ありと思う。
再び雨も激しくなり寒くなったので、保田の方に降り、車の場所まで歩いて行く。ゴアを着ててぶらで雨の中を歩くのは、やっぱり気持ちいいのである。車に着くとスモールランプが点きっぱなしになっていた。雨なので点けたものであるが、忘れてた。さすがに4時間しか経ってないので、ちゃんとエンジンがかかり、ホッとする。こんな所何時間待っても車が来ないからね。



鋸山は千葉ですけど、浜金谷からは木更津よりも、直線距離だと横須賀の方が近く不思議な感じがします。晴れてたら、三浦半島がすぐ近くに展望できたはずです。またドライブがてら遊びにこようかなと思っています。
鋸山の三角点は、東電の巡視路を通れば簡単に行けることはわかりました。でも、保田の採石場から、沢沿いに道を探しながら歩くのがずっと面白いと思います。赤テープは数は少ないですが、要所にあります。(但し、台風等でテープを巻いた木や枝が折れているので、地面も注意して見ていないといけませんが....)登山用の道標の類は全く有りませんのであしからず。
千葉の山は頂上に立つのはあまりにも簡単なので、どうやって立つかが楽しみのポイントの様な気がします。(おかげで今年は2回も道に迷ってしまいましたが....(^^;)
今日はガイドブックと首っ引きで、握りしめて雨の中を歩いたので、だいぶ本の体積が増えてしまいました。