雨の朝でしたが、気温が低いようで、家の窓の外はいつしか雪が舞うようになりました。雪であれば是非少しでも雪の中を山を歩いてみたいと思い、最近買った「千葉県の山」から千葉から近くかつ簡単に登れそうな大塚山を選んで車を走らせました。
ガイドブックによると、大塚山は中腹に房総スカイラインが通って以降、登る人が少なくなった不遇の山とのこと。清和県民の森から遊歩道を歩き、その後房総スカイラインを横切って山頂に至るコースが紹介されていますが、遊歩道歩きにはさほど興味を覚えず、中腹の房総スカイラインを横切る地点から山頂を往復することにしました。コースタイムはとても短いですが、雪の山を歩きつつピークハントしたいということなのです。
千葉の山は意外と遠い。同じ県内だが、房総の中心部へは約2時間。高速道路を走れば八王子まで行けるような所要時間である。半島の中央部あたりは、広い道がある訳では無く、交通量もそこそこあり、時間がかかるのである。雪は降ってはいるが、雨混じりになっており、積もるまでにはなっていない。さすがに走る車の少ない房総スカイラインを終点近くまで走ると、登山口らしき場所に到着した。特に表示がある訳ではないが、位置関係やガイドブックの記述からそれと知ることができた。
登山口にも、登山道にも、道標一つある訳ではなく、植林地の中を一筋の暗い道が続いていた。清和県民の森の続きでもあるので、遊歩道的な道を危惧していたが、落ち葉を踏みしめる嬉しい山道であった。作業用の細い道がいくつか分岐しており、その中にも大塚山の山頂に通じている道もあるのではないかと、その時はなぜかそういう気がしていた。
展望のあまり無い道を行くと、やがて道はピークを右に巻いていくようになった。すると分岐点があり、これを左に登ると大塚山の山頂である。二疊ばかりの何もない刈払いの小平地に二等三角点だけのある山頂だった。まだ雪は振り続けており、草の上も少し白くなっているばかりで、他に何もない静かな空間であった。
頂上からは、反対側に踏み跡があったので、登りに別れた作業道の一つの合流するかもしれないと思い、下ってみた。しかし、見覚えのある場所へは出ず、踏み跡はやがて無くなってしまい、いろいろな方向へ足を踏み入れてみても状況は変わらず、隣の何も無い高みを踏んでから、再び大塚山の頂上へと引き返した。この踏み跡は登山道からはどんどん離れていくばかりで、合流する筈もない道だった。途中、多少焦りも生じたのか、湿った斜面で何度か滑って転倒してみたり、しがみついた木が茨だったりして手に傷を負ったりと、勝手に深みにはまっていっただけのことであった。
大塚山の山頂に再び戻ったあとは、元の道を引き返した。少し下ると分岐点に戻る。地図によると、ここから北に向かえば、久留里線沿線の集落に通じているらしい。逆に、そちらの方から登ってくれば、もっと静かな充実した山歩きができそうである。あとは、車を止めた場所へ登ってきた道を下っていくのみだが、いろいろと試してみた踏み跡と比べれば、よっぽど快適な道を僅かに辿り、あっという間に登山口まで戻りついた。そして、僅か1時間程度の山歩きを終え、再び2時間、車を運転して自宅へと向かった。
20分程度の行程ということで、それほど期待していた訳ではないのですが、落ち葉の上の踏み跡をたどる道は、山深い感じもあって、それなりに楽しめました。もともと山深い場所にできたスカイラインなので、一歩入れば、かなり奥まった雰囲気となっていました。道路ができる前は、暗い樹林の中をゆっくり歩ける道だったのでしょう。まだ久留里線の方からたどれば、2時間程度の行程で静かなハイキングが楽しめるかもしれません。
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