大山

193.6m

山域:房総
2004.10.23


この秋は、台風が次々と通り過ぎて、長い間雨の日が続きましたが、この土曜日は、 久しぶりに朝からいい天気だったので、ゆっくりと山の散歩に出かけました。期待以 上に山深く自然の豊富なコースでした。

館山からバスに乗って20分も経つと、やがて明るい海岸沿いを走るようになりまし た。坂田(ばんだ)のバス停は波打ち際のすぐ横に立っています。バス停から僅かに 戻ると右に集落への道があり、家々の間を道なりに奥へと入っていくと、「民宿庄次 郎」で突き当たります。道標は全くありませんが、ここが登山口です。
民宿の入り口の前を、左に壁に沿って小道を行きます。その先の小さな荒地を横切る と、密生した竹薮のトンネルの中へと入ります。不明瞭なわき道はありますが、きっ ちり踏み跡を辿ると、やがて竹薮を抜け、常緑樹の中を登って行くようになります。 そして、多少急坂もある道を登れば、尾根上へと登りつきました。相変わらず、道標 のようなものは皆無ですが、僅かに赤テープは残されていました。
さて、尾根上の道は快適ではありますが、今の季節はとにかく女郎蜘蛛の巣が次々と 現れます。木の枝を振り回しながら歩きますが、上ばかり木をつけていると、獣の糞 を踏みそうになるので、油断は禁物です。また、道にはたくさんのドングリが落ちて いますが、このあたりは大きく立派なものが多く、それらは、僅かに芽を出し始めて いました。また、今日のコースは植林が一切無く、鬱蒼とした常緑広葉樹に覆われて おり、その密度は房総中部の高宕山などよりも遥かに濃く、まさに南の山という雰囲 気でした。
小さなアップダウンを繰り返したあと、一度顕著な登りがありました。滑りやすく、 ロープも張ってあります。これを登れば再び緩やかな道となり、今までの鬱蒼とした 森から、雰囲気が多少明るくなり始めると、一等三角点のある、切り開かれた山頂に 飛び出しました。まさに一気に暗から明に変わったという雰囲気でした。
山頂からは東京湾の素晴らしい眺めが広がります。丹沢や富士山も見えるはずですが、 今日は曇りがちで遠望が利かなかったのが残念です。その上山頂は小さな羽虫が多く、 少しいると夥しい数の虫に囲まれてしまい、山頂の先の森の中に退散し、そこで休憩 しました。少しして戻ると虫は減っていたので、一時的なものだったのかもしれませ ん。
山頂の先の森の中に古ぼけた小屋がありますが、そこから右に折れて下山します。道 は登ってきた尾根と谷を挟んで対岸の尾根をやはり坂田に向かって降りていくことと なります。ロープのる急坂を下り、谷の源頭を回りこむように尾根道を辿りますが、 このあたりは少し刈り開かれており、道に手が入れられています。でなければもっと 藪が被っていたと思うのでありがたいことです。回り込んで対岸の尾根に出ると、大 山とは反対側が一箇所だけ切り開かれて、海岸のいい展望がありました。大山の方は 木が良く繁っていて、僅かに樹間に見える程度でしたが、顕著なピークとなっていま した。
下山も登りと同様深い常緑樹の森の中を行きます。緑を見るというよりは、たくさん の絡み合った木の幹を縫って歩くという感じです。アケビの実なども多く、恵み多い 森のようです。やがて谷が近づいて、標高を下げると、再び密集した竹薮のトンネル の中に入ります。竹薮はかなりの範囲で続いていて、時折わき道もあるようです。そ の竹薮の中で、谷筋の小川にかかる橋を2度ほど渡っていくと、竹薮のトンネルの先 を、小太りの小動物がヨタヨタ歩いていました。なかなか後ろから人が来ているのに 気づかないようでうすが、さすがに10メートルほどに近づくと振り返り、あたふた と逃げていきました。タヌキでした。
やがて竹薮を抜けると集落に出て山道も終わりました。そして国道に出ると、僅かで 坂田のバス停に出るのですが、バスの時間まで15分くらい。波打ち際の時間の止ま ったような雰囲気の15分はあっという間でした。

今回は、南房総フリー切符を利用しました。特急の指定席で往復できるほか、館山か らのJRバスも乗れるので、お得でした。デビューしたての新型特急にも乗ることが できましたし..。
大山は展望の他、東京湾の入り口を守る要衝にあり、見晴台が設けられていたとのこ とです。また、このあたりには砲台などもあるとのことで、道沿いにも石の標柱には 「陸」とか「防」とかの文字が見られました。また、このあたりは洲崎灯台や、南房パラダイスなど観光スポットもありますし、海で遊ぶのも良しで、いろいろと組み合わせて楽しむことができそうです。

本文中の写真

  • 常緑広葉樹の幹
  • 開かれた山頂
  • 稜線からの南の海岸線



  • 記録

    日 程

    2004年10月23日(土)

    天 候

    晴れ時々曇り

    コース

    1210 坂田バス停 → 1250/1310 山頂 → 1400 下山 → 1410 坂田バス停

    下山後見上げる山頂


    参考図書・地図 その他のコース
    千葉県の山(山と渓谷社)
    25000図 館山
    50000図 館山
    南の伊戸や根本、また北の波左間に向けて下る道もあるようですが、不明瞭のようです。
    バス
    館山駅からバスは、千葉&葛飾路線バス時刻表を参照下さい。