薊岳

 薊岳 1406m 明神岳 1432m 大鏡山 1183m
山域:台高
2001.6.16.



友人から転勤前に一回行こうということで誘っていただきました。行き先はお任せとのことで、南の方が良い天気予報と、明神平に行ってないのがちょっと心残りだったこともあって、前日の夕方に決定。さっそく準備を整えて週末を待ちました。

1.薊岳へ

友人に、朝4時に自宅まで迎えに来ていただき、そのまま同乗して登山口を目指す。1号線〜25号線と走り、針インターから南下、東吉野村に入る。高見峠を越えるよりも、きっとこちらの方が早いと思う。3〜4時間かかるかなと思っていたが、スムーズに進んで約2時間半で到着。笹野神社周辺は車を停めるところが無いので、少し林道を進んで広くなった所に停めた。
林道を少し戻って、バスの終点大又の正面にある笹野神社から登山道に入る。看板があって、あしび山荘〜林道終点が、崩壊のため通行止めという看板があり、ちょっと気になった。神社の脇からコンクリートの細道を少し登ると再び車道にでる。これを2〜3度折り返してから山道へと入っていった。
山道は植林の中を高度を上げていく。今日の天気予報は晴れであったが、このあたりはどんよりと雲っており、山の天気だから仕方がないかと、少し回復の期待をしながらも、半ばあきらめ気味という感じである。植林の中でもあるので、天気の雰囲気以上に暗い。
友人が快調に先行しているので、少しだけ離れて付いていく。久しぶりの長めの行程でもあり、今日はゆっくりと落ち着いて登ってみたい。まずは最初のポイントとして古池辻を目指すことにする。
しばらくは、植林の中の登りが続く。もう時間的にもずいぶん登ったなと思う頃ちょっとした平地状の場所があった。ここが古池辻なのかな?とも思ったがはっきりわからなかったのでそのまま進む。このあたりはマムシグサが多い。
少し進むと主稜線らしき尾根に乗ったので休憩した。このあたりはヒカゲノカズラが多く生えており、たくさんの芽?が出ている。どっぷりとガズに浸かっており、木々から水が滴り落ちてくる。やはり今日は雨が降るのかのかなぁ..。という雰囲気でもあった。
ここからは、私が先頭に立った。しかし、このすぐ先で明神平で幕営するというお二人を追い抜いてしまったので、心なしかペースが上がってしまったかもしれない。このあたりで、植林地の中に陽の光が射し込んできた。よく見ると青空ものぞいているようである。嬉しくなってきた。稜線の植林地を進んでいくと、やがて、急で大きな山の山腹を登って行くような感じになり、これを登りきると大鏡池への分岐に着いた。
大鏡池に下って行く。池にはあまり水はなく、鈴鹿の山中に時々あるヌタ場を思わせる。湖畔には立派なほこらがあった。祠の後ろのピークに、三角点を求めて這い上がるとやはり三角点と大鏡山の看板があった。山頂からも、池の反対側にしっかりした踏み跡がついており、これをたどるとやがて稜線で合流した。大鏡池周辺でウロウロしすぎたために時間をとったが、おまけにズボンに妙な生物がついている。あとでインターネットで調べると、どうもクロイロコウガイビルではなかろうか?という結論に達した。血は吸わないらしいが、妙にピロピロしていて、見た目も良くない。
さて、薊岳への最後の行程である。緩やかに登っていく道は、やがて美しい落葉樹の森となり、小屋ノ尾頭を越えていく。一旦少し下ってから、岩角を掴みながらの、急坂を登ると、シャクナゲなどのあるヤセ尾根上を行くようになった。やがて正面に薊岳の屹立するような山頂部が見えてきた。
少し下って最後の登りに入る。笹の下草に覆われた落葉樹の道をいくと、ギンリョウソウが咲いていた。岩陰には群生しているものもあり、不思議な光景である。登り切ると雌岳の表示があり、わずかに下って登り返せば薊岳山頂に立った。
山頂にはサラサドウダンの立派な木が一本綺麗に咲いていた。雌岳にもあったが、美しい色合いの花である。南側にはシャクナゲの木があり、最後に残った花が一つついていた。展望は大きく広がるはずであるが、今日は雲が多く、南側に二階岳へと続く尾根が見えた程度で、主脈の方は山頂部はガスの中だった。山頂では伊勢の方からきた先客を歓談をしつつ、チューハイを飲んで休憩した。

2.明神平

山頂を発ち、明神平へと向かう。ゆったりとしたアップダウンが続き、まわりは素晴らしいブナ林に囲まれる。バイケイソウも多いが黄色く枯れ始めている。途中に二重山稜の面白い地形も見ることができた。また、時折サラサドウダンが現れ、それぞれに美しい花を楽しませてくれた。この区間は、今日のこのコースの白眉であった。やがて道がゆったりとした登りにはいると前山に着く。ブナ林にかこまれた穏やかなピークで、その先に明神平の草原が広がっていた。
とりあえずそのまま稜線を進み、明神岳の山頂を目指す。三ツ塚の分岐を経て、ゆったり登り返しながらたどり着いたピークは、あまり特徴がなく、稜線上の一地点のような感じであった。さらに桧塚の方への分岐があったが、今日はここまでとした。
三ツ塚の分岐から明神平へ下る途中で、周囲にカレンフェルトの点在する明神岩がある。このあたりにカエデの木がたくさんあるが、オオイタヤメイゲツではないだろうか?だとすれば、御池岳の山頂付近とよく似た雰囲気がある。この周辺で大休止とした。
あたりはヒグラシの声が聞こえている。今年初めて聴く蝉の声かもしれない。時折青空がのぞき、草原に陽が射してくる。ビールを飲んで休みながら、今日の行程の絵地図など書いてみる。友人は横でお昼寝である。
休憩を切り上げて、小屋のある明神平の中心部に下っていく。薊岳への途中で出会った2人は、すでにテントを張り終えていた。ここからは正面に薊岳の山頂がよく見える。そしてずいぶん晴れてきたので、国見山の方へと続く稜線も、良く見えていた。

3.下山

大又林道に向けて下山する。最初は緩やかな下りであったが、途中からジグザグの急斜面をどんどん高度を下げていく。そして、これから明神平に登り幕営する人たちとたくさんすれ違った。
かなり下ったところで、明神滝の前を通過する。そして、足が痛くなって、連続する急下降にもいい加減飽きた頃、あしび山荘の前に着いた。山荘は上部の斜面の崩壊に叩かれ、半分が倒壊していた。山荘直下の道も影響を受けており、巻道が付け替えられている。山荘からはやっと傾斜も緩み、橋を渡って車道へと出た。
車道に出たところは、さかんに堰堤工事が行われていた。あしび山荘の上も含めて、このあたりも右岸の崩壊があり、その対応でもあるのだろう。いくつか連続した堰堤を造っていた。工事現場を抜けて少し下ると、看板のある林道終点である。ここからは舗装路歩きが続く。
道から大又川の流れを見ながら歩いていく。いくつかの滝をかける激しい流れであった。長い林道歩きの末、七滝八壷の遊歩道に出る。吊り橋を渡ると綺麗な滝があり、なるほどと思う。遊歩道を登って行くと、七つの滝が見えるらしいが、40分も林道を歩き続けたあとだけに、腰が重い。でも一つくらいは見て行こうと、遊歩道を登ると、何のことはない、少し上で全部見えた。なかなか素晴らしい滝である。是非立ち寄っていかれたし。
あとは最後の車道歩きを黙々とこなし、やっと車を停めたところにたどり着いた。途中でいろんな素晴らしい風景に巡り会えたこともあって、計画以上に時間がかかってしまったが、よく山を楽しんだなぁ..。と思う一日であった。

このあと、すぐ近くの「やはた温泉」に入って、行きと同じコースで帰りました。温泉は、桧風呂で柔らかい感じがして良かったです。 最後に友人に自宅まで送ってもらいました。

マムシグササラサドウダンヤマアジサイギンリョウソウ

本文中の写真

  • 木漏れ日差す大鏡池
  • 前山付近のブナ林
  • 明神平の風景
  • 明神平から薊岳を振り返る


  • この山行は、niftyFYAMAメンバーの宮指路さんに、同行いただきました。


    記録

    日 程

    2001年6月16日(土)

    天 候

    曇り時々晴れ

    コース

    0650 駐車場所 → 0700 笹野神社 → 0750/0800 主稜線 → 0835/0900 大鏡池 → 0920 小屋ノ尾頭 → 1000 雌岳 → 1005/50 薊岳 → 1140/55 前山 → 1215/20 明神岳 → 1230/1340 明神岩 → 1500 林道終点 → 1540/55 七滝八壷 → 1610 駐車場所

    薊岳の屹立する山頂部


    参考図書・地図 その他のコース
    昭文社 関西の山歩き100選
    昭文社 エアリア 大台ヶ原
    アルペンガイド 大峰・台高
    25000図 大豆生
    50000図 高見山
    薊岳へは、南側の麦谷林道から、二階岳・木ノ実ヤ塚を経る道があります。
    そちらの方が、林道で上まで上がれるため、行程は短くなります。
    バス
    近鉄榛原駅より、大又行きに乗車し、終点下車。約70分
    平日、土曜は7時15分発、日祝日は9時15分発となり、日帰りの場合は、行程が若干苦しくなってしまいます。
    時刻は、奈良交通をご参照下さい。
    温泉
    登山口の少し手前に、「やはた温泉」があります。 岩風呂と桧風呂の2つで、周期的に男湯・女湯と交替されるようです。
    入浴料500円