朝日山・赤鞍ヶ岳

 入道山 979m 朝日山 1299m 赤鞍ヶ岳 1257m
 細茅ノ頭 1120m 長尾山 1107m 御牧戸山 1048m


山域:道志
2000.12.09


道志主脈の山といわれて、真っ先に思い当たるのが、赤鞍ヶ岳である。主脈の中心部にあって、その名前は別名(ワラビタタキ)とともに充分に印象に残るもので、長らくどんな山だろうと思いめぐらせていた。すっかり葉も落ちて、この山を歩くのにいい季節になったころ、丁度登ったよという話を聞き、その印象もあって、おっかけ私も登ることとなった。

高尾から松本行きの電車に乗ると、終点までの主要駅の到着時刻の放送があった。それらの駅の名前を聞くにつけ、そこから向かう山々が頭に浮かぶ。明確に登る山を決めずに電車に乗っていたが、バスの時刻などもを考えると、赤鞍ヶ岳がちょうどいいようだ。
藤野発7時の月夜野行きのバスに乗る。今朝の冷え込みは厳しく、草木や車にはすっかり霜が降りて、集落は白い朝になっていた。今日は空気が澄んで、空がとても青く、展望が期待できそうだ。月夜野から接続する長又行きのバスは、最初は登山者だけであったが、久保あたりから地元の人たちが増え、運転手との会話が始まるのどかな路線となる。道志川沿いの集落をいくつか過ぎていき、道志村の中心部に入ると竹の本のバス停に着く。登山口はその次の大川渡のバス停で、この間距離はわずかである。バスを降りるとすぐ前が登山口だ。帰りの月夜野行きのバスの時刻を確認し、道標に導かれて山へと向かっていった。
林道に入って集落の上に出ると、西に富士山が大きく見えてきた。久しぶりに見る綺麗な富士だ。細い車道を登っていくと墓地を過ぎ、回り込んで森の中の道になる。さらに登っていくと左に鉄塔巡視路の標識とともに赤鞍ヶ岳の標識があった。
山道に入ってすぐに鉄塔巡視路は左に別れていく。登山道は植林地の中をジグザグに高度を上げたあと、尾根上を登るようになる。それほどの急登ではなく、植林が主体だが、時折雑木林が混じる。さらに、ゆっくりと登っていくと緩やかな雑木林となり、枯れた樹間から富士山が眺められるようになった。手前の大きな形のいい山は菜畑山のようだ。このあたりは入道山のピークの手前にあたり、少し休憩した。
道はピークを巻いていくが、せっかくなので入道山に直登してみた。そのまま高みにに立てば、木に巻いたテープに入道山とある。反対側に尾根を拾って下り、再び登山道に合流する。正面には朝日山から赤鞍ヶ岳に繋がる稜線が衝立のように聳え立つ。ここは厳しい登りを覚悟しなくてはいけない。すぐに植林地の中の暗い道となり、そこそこの傾斜で高度を上げて行く。やがて植林地から出ると、笹の中の雑木林の道となるが、ここからは固定ロープもある急登である。樹間からちょうど富士山の山頂と菜畑山の山頂が同じ位置に重なって見える。少し登ると、この急な道に息が切れて度々足を止めるようになった。見えるところまで登り着いても、さらに先に急登が立ち上がるような感じで、なかなかきつい道だ。ただときどき足を止めると富士山が見えるので、気が紛れるのが救いであった。そして、やっとという感じでススキの原の秋山峠に登り着いた。
秋山峠は展望のいい小平地であった。ちょうどいい具合に富士山が眺められる。先客がいたのでとりあえず朝日山を往復してくる。緩やかに笹の茂った雑木林の中の道を登っていくと、樹林に囲まれた朝日山の山頂に出る。静かな山頂で、赤鞍ヶ岳との大きな看板があった。おちついて雰囲気のいいところだが、展望は無い。
秋山峠に戻ると今度は誰もいず、枯れたススキの上に座ってひと休みする。陽当たりよくポカポカした中で、富士を見ながらの休憩はなかなか楽しい。ここで、ゆっくりと先の行程を考える。厳道峠まで行って下ると、コースタイム通り歩けば、バスになんとか間に合いそうだ。ということであれば先を急ごうと、縦走路に入って行った。
縦走路は雑木林の中の道を緩やかにアップダウンを繰り返していく。しばらくは緩やかな登り降りだが、1220のピークの前後から、アップダウンが意外と激しくなる。一つ越えると先にまたコブがあるという感じである。頑張って越えていくうちに、やっと雨量計のあるピークとなり、一番高そうなところから笹の中に薄い踏み分けがあったので少し入ってみると三角点があった。赤鞍ヶ岳の山頂で、穏やかな笹の稜線であった。
雨量計から再び山道に入ると、ゆったりとした歩きやすい道になる。気分のいい道を少し進むと、道は右に大栗へと下っていき、ここから道は再び細くなるが、素晴らしい雑木林の平らな広がりへと入っていく。池の窪と呼ばれるあたりだろうか。新緑や紅葉のころはもっと素晴らしい風情を見せるところかもしれない。この稜線の名所の一つではないだろうか。再びピークを登り返すと1193のピークに立つ。このあたりから細茅ノ頭までは北面が伐採されて若い植林地になっており、大変見通しがいい。とりあえず大岳山を目印にしてずっと辿ると、御前山に三頭山、鷹ノ巣・雲取・飛竜とつながり、笠取へと続く。そして大菩薩から小金沢連嶺を経て黒岳と、澄み切った展望の中で一望のもとに見渡せた。それらの前には権現のゆったりした山容。そして近くには高柄から倉岳への稜線も見えている。振り向く度に足が泊まって、何度も山座同定しつつ山脈を追ってしまい。なかなか先に進まなところであった。
見通しのいい鞍部を登り返して細茅ノ頭に立つが、山頂自体は再び植林に入り展望も標識も無いところであった。長尾山までは緩やかな稜線が続いており、ゆったりとした道をいくと、雑木林の中を落ち葉を踏みしめて登るようになる。ここもなかなか雰囲気がいい。これを過ぎると松林に入り、まもなく長尾山の山頂である。展望は無く、静かなピークだった。
やがて再び明るい雑木林の緩やかな道を行くようになる。樹間越しの青空の色が深く、素晴らしい散歩道が続く。快調に歩いて登りにかかるとテレビ中継塔のアンテナが見えてきて、御牧戸山へ。ここは明るい山頂で、北の釣り場に下る看板があったが、道はいいのだろうか?
御牧戸山を過ぎると、少しの間平坦な道が続き、右側が開けて、長尾山から富士山の方を顧みることができた。小さなコブを過ぎて道は一気に樹林帯の降りとなる。松葉がたくさん積もった道は急下降でちょっと滑りやすい。しばらく下ると鉄塔があり、ここからも今まで辿ってきた稜線が見渡せた。もう下には峠道が見えてきており、やがて舗装路の厳道峠に降り立った。
さて、あとは舗装路の降りであると思って油断したのがいけなかった。峠から少し下ると道は二手に別れるが、右に急に古い舗装路が下っているのを見送り、道なりに左の新しい舗装路をとってしまった。どんどん下っていくと、どうも久保の方向から離れていく。方向としては月夜野の方を向いているようだ。だいぶん下ったので、戻るのもロスなのでそのまま下っていくが、かなり大きくジグザグを切って作られた林道で、なかなか歩く割には高度を下っていかない。なんとなく野原あたりに降りそうだが、久保までの距離の1.5倍くらいありそうで、 バスの時刻が気になってきた。遅れては大変と、早足で降りたり、時折小走りになったりして焦って降りていく。だんだん国道を通る車の音が近くなり、やっと野原犬橋のバス停の近くに降り立った。結局は久保に下るのと同じコースタイムで下ってしまったので、よほど急いだということだろう。やがて登山者を1人だけ乗せたバスがやってきて、月夜野へと向かっていった。

本文中の写真(順に)

  • 明るい秋山峠
  • 樹林に囲まれた朝日山山頂
  • 朝日山から、赤鞍ヶ岳方面の尾根を望む


    記録

    日 程

    2000年12月09日(土)

    天 候

    晴れ

    コース

    0835 大川渡バス停 → 0920/30 入道山下 → 0935 入道山 → 1020 秋山峠 → 1025/30 朝日山 → 1035/50 秋山峠 → 1125 赤鞍ヶ岳 → 1205 細茅ノ頭 → 1225/30 長尾山 → 1245 御牧戸山 → 1305 厳道峠 → 1345 野原犬橋バス停

    秋山峠からの富士山


    参考図書・地図 その他のコース
    アルペンガイド 丹沢
    エアリアマップ 高尾・陣馬
    東京付近の山 (実業之日本社)
    25000図 大室山
    50000図 上野原
    秋山村の方からは、雛鶴峠または、秋山二十六夜山を経て朝日山に達することができる。但し、一部不明瞭な箇所がある。
    道志村の大栗から、赤鞍ヶ岳に直接登ることが出来る。
    バス
    以前は、本文中にありますように、藤野駅や橋本駅(三ヶ木経由)から月夜野までバスが運行されていましたが、現在は土日はバスで月夜野に入ることができません。
    したがって、バス利用の場合、富士急線の都留市駅あるいは富士吉田駅からとなります。
    しかし、利用できるバスが非常の限定される為、道志川沿いのどこかで駐車場を確保し、村内の移動にバスを利用する方が便利かと思われます。 富士急行HPに時刻表があります。
    少しわかりにくいHPなので、右上の site map より、バス→富士急行バスを見るのが早いと思います。