フィリップ・K・ディック


中学生のころSF小説が好きだった。
当時はSF専門の文庫としてはハヤカワ文庫と創元推理文庫の2つしかなく、すでにハヤカワSFシリーズは廃刊となり、サンリオSF文庫はまだ出ていなかった。ハヤカワ文庫では、本の背が青色のものが出始め、SFシリーズから少しづつ移植され始めたころである。番号でいうと200番代が始まったころだろうか。
最も楽しんだのがこのころハヤカワ文庫ででたものである。代表的なものは、「人形つかい」「宇宙の戦士」(ハインライン)、火星人ゴーホーム(ブラウン)、海底牧場(クラーク)、都市(シマック)、ソラリスの陽のもとに(レム)などなど錚々たる作品が並んでいる。これらの新刊を毎月心待ちにして楽しんだものだ。その中で「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」の作品の世界の虜となってしまった。ストーリーと情景の素晴らしさに痺れてしまったのである。
その後、「ブレードランナー」として映画化されたが、この世界はまた小説の乾いたイメージとは違ったウェットなイメージ(但し精神的には非常に乾いたイメージ)であったが、素晴らしい映画であった。
ここではもう一つ「火星のタイムスリップ」も同じ様な感覚で読んだ作品である。P・K・ディックの作品は後期のものはあまり読んではいない。ただ、このころの作品と、4冊の短編集は一心不乱に読んだ素晴らしい日々を思い出させてくれる。

ハヤカワSFシリーズの「火星のタイムスリップ」

関連リンク
ブレードランナーコレクション
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