長者ヶ岳

 長者ヶ岳 1335.8m 天子ヶ岳 1330m

山域:天子山塊
2004.1.10


関東の山あるき100選を見ていると、今更ながら、富士山周辺の山には登っていないなと感じました。東側はそこそこ登っているのですが、御坂や天子のほうは、せいぜい三ツ峠や高川山くらい..。ということは、これから登る山の宝庫なのです。という訳で、エアリアも新しく買い換えて、心機一転長者ヶ岳へと向かいました。

久しぶりに早朝の3時頃出発で、河口湖IC経由で田貫湖に向かいました。できれば6時頃からスタートしようと思っていたのですが、真夜中の樹海の中を走っていると、非常に眠くなり、ついに人穴あたりで力つきて仮眠してしまいました。
田貫湖畔に着いて、すぐに右上の丘にあがると、東海自然歩道の登山口があり、ここが長者ヶ岳からの長い尾根の末端になっています。地面やベンチには霜がおりて一面白くなっており、日の出前の空気は冷たく張りつめていました。
最初は植林地の中の階段の登りです。それほどの傾斜とは思わなかったのですが、直線的に上がっていくので、登りがいがあります。背後から朱い光が射し込んできはじめました。丁度日の出のようです。階段が登りづらい所は横の植林地を歩いたりしながら少し登ると、田貫湖キャンプ場からの道が上がってきます。さらに道の傾斜が強くなって、かなり息が切れるようになってきました。このあたりがこの尾根で一番の急坂のようです。そしてこの急坂を上りきると、最初のベンチがあり、富士山の方の展望が得られました。刈り払われた場所ですが、右側が植林地でもあり、広大な展望とまではいきませんでした。
さらに、いくぶん傾斜が緩んだ道を登っていきます。左側は植林地ですが、右側は葉の落ちた雑木林で、樹間越しに北の方の山を見ることができます。毛無山がひときわ高く、山頂付近が白くぼやけており、木々に霧氷がついているのかも知れません。
左側の植林地がとぎれると、ベンチがあって再び富士の展望が開けました。今度は、左側が開けて、田貫湖を前景にして富士山を眺めることができます。ここでは、富士休暇村からの道が合流してきます。ここも植林地に視界が一部遮られますが、前のベンチよりは爽快な展望が得られました。
このあたりは丁度標高1000mあたりでしょうか。ここからしばらくは緩やかな道になります。再び左側が植林地になりますが、やがて道もしっかりした登りに変わると、植林地も終わり、雑木林の尾根になりました。傾斜はそれほど急ではなく、快調な登りが続きます。3つ目のベンチを過ぎれば、北に延びる天子山塊の主稜線もだんだん近づいてきます。目指す長者ヶ岳の山頂はあまりはっきりせず、顕著なピークという感じでは無いようです。左手には台形の屋根のように天子ヶ岳が見えてきました。天守閣→天子ヶ岳と転じたのも頷けます。そして、最後までそれほど急な登りもないまま、長者ヶ岳の山頂に登りつきました。
山頂は、富士山の方だけ刈り払われていました。北の毛無山や西の南アルプスは残念ながら樹間越しです。富士山の方は、登っている途中では少しかかり初めていた雲も再びすっきりと晴れ、初めて遮るもののない広大な展望を得ることができました。また、ここは意外とブナの木の多い山頂で、しばらく腰を落ち着けて展望を楽しみました。
天子ヶ岳へは、しばらくはブナの木のある平坦のあと、鞍部まで下ります。下るほどに、天子ヶ岳が高くなっていきますが、登り返しは130m程度です。上佐野へと東海自然歩道が下っていく鞍部を過ぎると、岩混じりの急坂になります。傾斜は一旦緩んだのち、再び急になって天子ヶ岳の山頂の一角に登りつきました。遠目に見た通り、長い平坦山頂で、そのまま歩いていくと、反対側の肩も過ぎ、若干下り気味になります。そして、少し下ったところに天子ヶ岳の山頂の標識があり、広い庭のような広場になっていました。
広場の真ん中には大きなベニドウダンの木があり、また、このあたりはシロヤシオも多いとのことで、春はきれいな所のようです。小さな祠もあり、また富士見台の標識に誘われて、富士山側に行くと、ここでも正面に広大な富士山の全景を楽しむことができます。山頂広場はポカポカと気分の良いところで、しばらくのんびりとしていました。
さて、いよいよ下山です。広場の右の方の降り口から少し進むと、南面の明るい道ではありますが、急な下りとなりました。少し下って、稲子方面への道を分け、どんどん下って行きます。正面は富士山が見えていますが、木々も多い為全景が見えている訳ではありません。また、それほど見ている余裕が無い道でもあります。やがて、右側が植林地になり、若干傾斜は緩みました。左側は天子ヶ岳から真っ直ぐ東に向かう尾根が延び、その先端にパラグライダーの離陸場が見えていました。
随分下ったところで、ひととき道が平坦になり、カヤトの原が現れます。ここは展望が良く、正面に富士山、そして振り返れば天子ヶ岳が立派に見えていました。これで展望も最後となり、道は暗い植林地の中へと入って行きます。少し荒れた感じもある道を淡々と下って行き、そろそろ飽きたなと思う頃林道に降り立ちました。
さて、朝の遅れは充分取り返しているので、このまま立石のバス停まで下って、12時12分のバスに乗ることも可能でしたが、立石までの距離と、田貫湖入口からの距離を考えると大差なかろうと、林道を歩いて田貫湖に向かうことにしました。林道を少し進むと、パラグライダーの着陸点のある谷間につきました。かなりの賑わいで、次々と稜線から降りてきています。このあたりは着陸点になるために切り開かれて、天子ヶ岳が正面に良く見えていました。
間伐作業を行っているあたりを経て緩やかにアップダウンしながら進むと、やがて舗装路と合流しました。そこから天子の森キャンプ場の領域に入りますが、さすがにこの時期はひっそりとしていました。キャンプ場から休暇村に行く道は道路工事中で、回り道が指示されていました。重機がたくさん動いていたので、素直に従いましたが、未舗装の凹凸の多い道で、低い車は大変そうな道でした。それほど大きな迂回路ではないのですが、アップダウンも多い道で、歩かされている感じがして、気分的に長く感じられます。やっと休暇村に着いた時は12時20分。ちょうどバスが田貫湖入口に着く時間でした。
休暇村からは、田貫湖の湖畔の遊歩道をゆっくりと歩いていきます。サイクリングの人や釣りの人。野鳥の写真を撮る人など、のどかな雰囲気の中をのんびり歩いて行きます。富士山は頭の部分に帽子を被ってしまいましたが、廻りは晴れ渡っているので、これもまたいい眺めです。振り返ると長者ヶ岳が見えますが、これはもっこりとした固まりのようでした。田貫湖のキャンプ場を経て、東海自然歩道の入り口に帰ると、車が2台ほど増えていました。朝の霜はすっかりなくなり、小春日和の雰囲気でした。

随分久しぶりの富士山周辺の山でしたが、天候にも恵まれていい一日でした。せっかく地図を買い換えたことですし、このあたりをしばらく楽しみに歩くのもいいかなと思いました。展望の山が多いので、今の時期はピッタリかもしれません。
また、今回は最後まで雪がありませんでした。今年は、まだ雪はここまで来ていないようでした。

本文中の写真

  • 休暇村分岐から朝の富士
  • 長者ヶ岳山頂
  • 天子ヶ岳を振り返る
  • 田貫湖と笠をかぶった富士


  • 記録

    日 程

    2004年01月10日(土)

    天 候

    晴れ

    コース

    0705 田貫湖登山口 → 0718 キャンプ場分岐 → 0745/50 休暇村分岐 → 0837/0910 長者ヶ岳 → 0925 上佐野分岐 → 0945/1020 天子ヶ岳 → 1118 林道 → 1220 富士休暇村 → 1255 田貫湖登山口

    長者ヶ岳山頂からの富士山の展望


    参考図書・地図 その他のコース
    エアリアマップ 富士山
    アルペンガイド(旧) 富士山周辺、駿遠の山
    関東の山あるき100選(昭文社)
    25000図 人穴 上井出
    50000図 富士山 富士宮
    山梨県側の上佐野より、長者ヶ岳天子ヶ岳の鞍部に登ってくる道があります。
    長者ヶ岳から毛無山方面の縦走路、及び天子ヶ岳より南に稲子への道があります。
    バス
    長者ヶ岳側
     富士宮駅から田貫湖行き(夏季のみ)湖畔入口下車
     富士宮駅から猪の頭行き 田貫湖入口下車
    天子ヶ岳側
     富士宮駅から田貫湖・猪の頭行き 立石下車
    問い合わせ先 富士急静岡バス 0545-71-2495